パトカーにつかまった!

ひさしぶりに自分に向かってくるあのイヤなサイレンの感覚が呼び起こされた。

丹波の山奥でオレの一旦停止無視を目撃したパトカーが追いかけてきたのだ。

スピード違反をしたときのように「やってしまった」という感覚もなかったので、「なにか用ですか?」という感じで静止したのだが、「一旦停止を無視したんですけど、その自覚はありますか?」と聞かれたので、さっきのやつかと思いつつも「自覚はありません」と答えた。

「こんな山奥のしかも交通量がほとんどない道路で何が一旦停止違反だ!」と憤る感情が芽生えた。

確かに言われてみれば脇道から本線に入ろうとしたオレは、減速して左右確認をしっかりしてから左折したものの完全に停止はしていなかったような気がするが、「減速はしてましたし、安全確認もちゃんとされていたとは思いますが、あれは一旦停止とは言えませんよ」と言われると、「納得はいきませんね」と反射的に答えていた。

それでも違反は違反だから潔く認めて罰金を払えばいいんじゃない?というもうひとりのオレもいた。

でも以前から悪質な運転行為をしている人をのさばらせておいて、こんな田舎のほとんど車も通らないようなところで、しかもこっそり影に隠れて一旦停止違反を待ち伏せしているような警察のそのやり方に腹を立てていたことも事実だ。

別に自分を正当化しようなどとは思わない。

さっきも言ったように違反は違反だからそれは認めなければいけないとは思う。

けど、こんな警察の無意味な取締り行為にはまったく納得がいかないのも事実なので、切られた青色きっぷにサインはしなかった。

パトカーについているドライブレコーダーにも一時停止していないことは明らかに映っているから認められた方がいいんじゃないですか?とまで言われたが、やっぱり納得いかないからサインはしなかった。

ほんとに警察っていやな奴らだなとは思うのだが、ここでふと冷静になって考えてみる。

もし仮に捕まっていなかったとしたらどうなっていたのだろうか。

そして捕まった意味とはなんなのだろうか。

身に起こることはすべて自分にとって意味があることだと考えてみると少し冷静になれる。

あのとき、実は少し眠気があった。

捕まったことで目が覚めて、自宅まで無事に帰れたことは事実だ。

もちろん捕まらなかったらどうなっていたのかというのは検証のしようもないことではあるが、ひょっとしたら居眠り運転して家族みんなで死んでいたかもしれないし、誰かに大怪我を負わせてしまっていたかもしれない。

その日は何もなかったとしても、今回捕まって運転に対する考え方が変わることで、未来に起こる事故を防げるのかもしれない。

さらにこんなしょーもない違反で捕まるということは、自分がこれをきっかけにまだ立ち直る余地があるから捕まったのであって、立ち直る余地がない人は大きな事故を起こしてしまったり、あおり運転とか重罪で捕まる運命にあるのではないかとも思えた。

そう考えてみると、警察のやり方が気に食わないから反則金を払わないというのはなんとも子供じみた理由だなとさえ思えるようになってきたので、しっかりと事実を受け止めて今後に活かせるよう改心するという意味でも、前言を撤回して反則金を支払うことにしようと思う。

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