『メガトン級ムサシ』内の聖書・キリスト教モチーフ考察

はじめに

 レベルファイブのクロスメディア作品『メガトン級ムサシ』には様々なオマージュが含まれています。往年のロボアニメや神話等の要素があり、書き出したら切りがない程です。
 その中でも私が注目したのが、聖書やキリスト教モチーフの部分です。『メガトン級ムサシ』はローグ(作品に登場するロボット)が『鋼鉄の侍』と表現されるといった和の要素も取り入れていますが、それと同じくらい洋の部分も取り入れています。今回は今までの考察にも記した聖書モチーフの部分をまとめていきます。

 それではいきましょう。レベファイ!


サイコライズ(シフト)→『奇跡の力』

 『メガトン級ムサシ』の雨宮零士や主人公の大和は、サイコライズという超能力を行使する事ができます。後のストーリーで、それはエルゼドとの『共鳴反応』というのが明かされました。その力はSFである『メガトン級ムサシ』でも異質な存在です。

 聖書の中で『救世主』と呼ばれたイエス・キリストや、聖人と呼ばれる人々の中には『奇跡』と呼ばれる力を使ったという伝説があります。それが、『メガトン級ムサシ』のサイコライズの元になったのではないかと私は考えています。

宇宙戦艦『アメノムラクモ』

 まず考えたいのがこちらです。名前は日本神話に登場する三種の神器のひとつである『天叢雲剣』から取っていますが、その内容は聖書の物語の『ノアの方舟』を彷彿とさせます。
 ノアの方舟というのは、地上に増えすぎた挙句良くない行いをする人間を神が洪水で滅ぼし、世界をリセットしようとします。それを聞いたノアという人物が舟を造り、動物の番を乗せて凌ごうとするという物語です。

 滅亡から逃れる為に舟を造るというのは『メガトン級ムサシ』の『アメノムラクモ』と共通していますよね。
 そして、神に選ばれた人、心当たりがあると思いませんか?そう、カルト教団の『創世記教団』です。彼らは『アメノムラクモ』を奪い、一人勝ちをしようとしていましたよね。

『アダムとイブ』

 『エデンの園』で暮らすアダムとイブ、彼らも有名な存在ですよね。旧約聖書に登場するアダムとイブは、神に造られた始祖の人間です。かれらは楽園である『エデンの園』で暮らしていましたが、そこに生えている知恵の実を食べたことによって追放されてしまいました。
 一方、『メガトン級ムサシ』のアダムとイブはその『エデンの園』で暮らしていますよね。何があったのでしょうか。

『メガトン級ムサシ(クロス)』

 現行ゲーム版のタイトル『メガトン級ムサシX』、Xは『エックス』ではなく『クロス』と読みます。元々は『メガトン級ムサシ改』というタイトルだったそうですが、変えられてますね。
 それなら何故変わったのでしょうか。『メガトン級ムサシ』がクロスメディア作品というのもあるかもしれませんが、私はそこにもキリスト教モチーフとなる部分があると思っています。
 クロスは交差とも訳されますが、十字架とも訳されます。そして、十字架はキリスト教にとっては重要なものになっています。そう、救世主のイエス・キリストは十字架に磔にされました。その事を忘れないようにと今も十字架を大切にしています。

サンクチュアリ→『約束の地』

 『メガトン級ムサシ』シーズン1の後半から、シェルター『イクシア』は伝説の土地『サンクチュアリ』へ向かう果てなき旅へ赴きました。その元と考えているのが、聖書に登場するカナンへの旅です。

 『ノアの方舟』のノアの子孫アブラハムは、神の啓示を受けて約束の地であるカナンへ向かいました。その旅は子孫の代まで続き、途中エジプトの捕虜にされましたが脱出し、カナンの地に辿り着いて王国を建てました。

(詳しくはリンク先を参照)

 ちなみに、カナンというのは現在のイスラエル、パレスチナ地方に当たります。この地はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であり、世界的に重要な土地です。また、その為に現在にも続く宗教問題が絡んでいる土地でもあります。


『母なる星』→『聖地』

 エルゼドは、シドルを『派生種』として軽蔑し、根絶やしにしようとしました。そして、地球を『母なる星』と呼び、支配しようとします。実は、これにもモデルとされる出来事があります。

 この話は聖書の時代からかなり後の時代です。西欧の国々はイスラムの国に支配された『聖地』を解放しようとしました。『十字軍』の時代です。先述したパレスチナ地方を巡ってキリスト教の国とイスラム教の国が約200年に渡って戦争を繰り広げます。結局、『十字軍』は失敗に終わりましたが、中東と呼ばれる国々との交易が盛んになり、後にルネサンスや『大航海時代』が始まります。



カムウの『トカゲ』

 カムウの兵を呼び出したトカゲ。今はなきシドルにも同じトカゲが居ました。トカゲ自体は聖書には登場しませんが、同じ爬虫類の生物が登場しています。
 そう、アダムとイブを唆した蛇です。実はあの蛇は悪魔で、アダムとイブは神に背くという罪を犯してしまいます。

 もしかすると、『神』エルゼドに反する『悪魔』がカムウだったのかもしれません。そして、その子孫であるシドルをエルゼドはずっと滅ぼそうとしていたのかもしれませんね。

『愛』がテーマ

 『メガトン級ムサシ』のテーマの一つが『愛』です。これはキリスト教のテーマでもあります。
 イエス・キリストは神の愛と隣人愛を説きました。その中には友人や敵を愛せというものもあったそうです。
 本来は敵対関係である地球人や虐げられていた下民兵を慈しんだのは、シドルの王女であるアーシェムです。そんな彼女の思いにも繋がる部分がありますね。


『聖遺物』

 『メガトン級ムサシ』に登場予定のレアリティ『レリックレジェンダリー』。そのレリックというのは英訳すると『聖遺物』となります。実はキリスト教が由来の『聖遺物』も多く、『十字軍』の時代にはその移葬も行われたそうです。


大和の『復活』

 宇宙戦艦『アメノムラクモ』の戦いの中、『英雄』である大和は爆死してしまいましたがアダムに助けられ、その後復活しました。
 聖書の中にも復活を遂げた人が居ましたね。救世主であるイエス・キリストは、処刑後に復活を遂げました。日本でもイベントとして注目されているイースターは、キリストの復活祭です(間違ってもたまごテロの日ではない)。この歴史的な復活は現在も世界中で祝われているという訳です。
 大和が復活した事に意味は必ずあると思っています。今後の展開が待ち遠しいですね。


あとがき

 今回は『メガトン級ムサシ』の聖書・キリスト教モチーフの話をしました。私はクリスチャンではなくただの一般人ですが、なるべく分かりやすく簡潔にまとめたつもりです。聖書の物語は昔から伝わっているものなので、様々な人がまとめています。もし興味がありましたら本を読んで知識を深めてもいいのではないでしょうか。
 それでは、また次の考察をお楽しみに!






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