「リズと青い鳥」視聴後ノート

「リズと青い鳥」とは

個人的推しシーン

鳥の演出

本編で終始扱われる「リズと青い鳥」では最後にリズが青い鳥を自由な空へ羽ばたいてという気持ちを伝え、別れるシーンが印象的です。
この物語中でも「鳥」を使った演出が随所に現れています。

特に印象的なのは最後のシーン。
大学受験に向けて図書室で勉強するのぞみ
音大受験に向けて音楽室で練習するみぞれ

それぞれの背に映る窓には、一羽の鳥が羽ばたきます
のぞみの後ろの窓ではのぞみの映る位置から反対方向へ、まるでどこかへと飛び立っていくように、
みぞれの後ろの窓では鳥籠から出て、大きく自由な空へ羽ばたくように、

「リズと青い鳥」の物語中の二人のキャラクターと、のぞみとみぞれがシンクロしたように、それぞれの今後の道を示唆する鳥が羽ばたく演出がとても美しい構成となっていました。

「嫉妬」「認められたい」という誰しも抱く等身大の感情

京アニさんといえばキャラクターが抱く等身大の感情を、視聴者の心にダイレクトに揺るがす表情を神作画してくれるのが大好きなところの一つです。

今作でものぞみがみぞれに抱いていた感情を、吐露するシーン。
自分で惨めに感じてしまうような、それでも抱いてしまうことはどうしようもないといった感情を、決壊したダムのように溢れ出てしまうその感情を、どうしようもなく吐露してしまう、こんなこと言いたくない、それでも、、
といった感情をカメラ位置、表情、目の細かな動きなどをうまく作り上げ「視聴者側の目を通して、心を大きく揺らしてくる」ような演出としています。

やはりこういった感情を描くシーン、京アニさんは本当に素晴らしいクオリティでものづくりをされているなぁと思います。

終盤の「それぞれの道を歩み始める」シーン

レイアウトという意味では終盤の、のぞみとみぞれがそれぞれの道へ歩み始めるシーンで用いられる「対比」はとても印象的でした。

お互い前に歩み始める。
それを表現する足元を映しながら二人がそれぞれ歩みを進めるカット。
そして、ふと方向転換をするのですが、ここで
左右逆にそれぞれ進み始めるのです。

ここは「一般大学受験をするのぞみ」と「音大受験をするみぞれ」の対比、けれども二人は決してネガティブなものではなく、お互いに歩み始めているということを示唆する前進カット。
しかし、道は異なるんだ、、という左右異なるカット。

このレイアウトは「リズと青い鳥」という物語全体をかけて進めたストーリーがあったからこそ生きてくる素晴らしいレイアウトで、視聴者側としてもグッとくるものがありました。

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