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アラビア語における太陽文字と月文字の関係は、有声音や無声音の関係とは違う?

※写真は近所の海(笑)

アラビア語におけるアラビア文字は28個あり、14は、太陽文字、14は月文字となっている。半々なので非常に分かり易い。

けど、太陽とか月って、よくわからない。とりあえず飛ばしちゃおっか。という人が多い。確かに最初は太陽文字とか月文字というものを意識しないでどんどんフレーズを覚えていくのがいい。

実際に私の生徒さんにも太陽や月の話は最初にしていない。

さて、ロシア語の場合、有声音と無声音の理解が、発音の上達に繋がってくるわけだけれども、アラビア語の場合は独特な太陽と月という概念があるので、この記事ではそれを簡単に解説していきたいと思う。

東京外国語大学のアラビア語のページに、こんな分かり易い表が載っていた。

http://www.tufs.ac.jp/common/fs/asw/ara/arabic/imlaa/7uruf_shamsiyah_qamariyah.htm

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とはいっても、24文字しかない…。のは私が何かを知らないだけ?なのか、単純に付け忘れただけ?たとえば【ش】という文字が明らかにない…。

それはさておき、横に長い表なので見にくいかもしれないが、太陽文字というのは、この中央の赤くなった部分。

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上に書いてある、歯、歯茎、歯茎・硬口蓋と3つあるが、例えば、歯の列をみてみると、5文字ある。

そういう感じで以下に解説していく。


①歯→【ت】【د】【ن】【ث】【ذ】

日本語の、た、だ、な、th(英語のサンキュの時のサ)、ざ。の要領な感じ。これらすべてを発音してみると分かる通り、全て前歯の裏に舌の先端が触れるようになっている。


②歯茎→【ر】【س】【ز】【ل】

日本語の、ら(R)、さ、じゃ、ら(L) くらいの要領。さーて、これらを日本語で、言ってみよう。

ら、さ、じゃ、ら。

どう?前歯の後ろではなく、そのすぐ上にある歯茎のほうについたでしょう?この中で一つ「さ」の音は、摩擦音の無声音なので、ら、じゃ、ら。などとは違い、前歯の後ろの上の歯茎につかなかったような感じがするかもしれないけど、きちんとついているので何度もやって確認が必要。


③歯茎(硬口蓋)→【ط】【ض】【ص】【ظ】

前歯の裏のすぐ近くにある歯茎~口の中の真上の骨、ずっと後ろに行くと骨が無くなって軟らかくなるので軟口蓋というが、硬口蓋は口の上の骨と覚えておけばいい。

これら4つの文字は日本語のみならず英語にはないアラビア語特有の音なので、これらが太陽文字だっていうふうに覚えておけば楽かもしれない。

ちなみに、上の表には書かれていなかった【ش】だけど、やっぱり太陽文字である。sh[ʃ]=(無声後部歯茎摩擦音)の音なので…。

そして上の表にない月文字は以下。

【أ】【ي】【و】→そりゃそうだよね…。だってこれら、全部母音だもん。太陽文字とか月文字とかは、子音の話をしてるからね…

ってことは、やっぱり【ش】は付け忘れだね(笑)


で、ここからは英語やロシア語の発音向上にも必要な、有声音と無声音の関係。これは色んなブログでも書いてるのでザックリ。

清音と濁音の関係に若干似ている。たとえば、

[b]ig にたいして [p]ig →ビ(有声音)/ピ(無声音)

la[g] にたいして、 la[ck]→グ(有声音)/ク(無声音)

もっと具体的にいくつか、ペアを紹介。


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f(ファ)=無声音に対して、v(ヴァ)=有声音

th(シンの英語発音)=無声音に対して、th(theの英語発音)=有声音

s(サ)=無声音に対して、z(ザ)=有声音

sh(シャ)=無声音に対して、ジャ=有声音(ジャはアルファベットで色んな書き方があるので割愛)

以下の表もそんな感じである。上の表はvoiceless なのに対して以下が、unvoiced なのは、書いての気まぐれだろう。全く同じ意味である。どちらも無声音という意味。

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https://en.wikipedia.org/wiki/Voice_(phonetics)

ちなみに、restaurant の最後の t は無声音なので結構な割合で聞えない場合も多い。が、そういう情報を音声学で整理するときに、こういう有声音と無声音のしっかりとした知識が必要になるというわけ。

で、最後に言いたいのは、このように、有声音と無声音はお互いに対応している文字も多いのだけど、そうじゃないものもいくつかある。

なので、かならず、[p]と[b]は、対応している。こんな感じで全部覚えられる!とは限らないという事が以下で分かると思う。


●無声子音

破裂音→[p][t][c][k][q]

摩擦音→[f][θ][s][ʃ][ʂ][ç][x][ħ][h] 

有声子音

破裂音→[b][d][g]

摩擦音→[v][z]

鼻音→[m][n]

流音→[l][r]

例えば、無声子音には、鼻音や流音は存在しない。けど、チベット語には、無声の l [l̥] (lhasa, ラサなど)や m [m̥] がある。

また明らかに、摩擦音の場合、無声子音のほうが多い。すべての言語の音を語り出したらキリがないので、上の子音は日本語と英語くらいの感じで考えてもらえるといいかもしれない。

覚えるコツとして、無声子音と対応しない、鼻音、流音をアルファベット順で、LMNRは有声音という風に覚える事である。

今日はこのくらいで…

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