好きな恋愛漫画の話を聞いてくれ▶︎6月2日の日記

・今日はこの漫画を買って読みました。

不死身の命日【電子限定描き下ろし付き】 (ドットブルームコミックスDIGITAL) 虫歯 https://www.amazon.co.jp/dp/B08629RZ1B/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_zAI1Eb5NBY8ZG

・おもしろ〜い。

・短い恋愛漫画の多くは起承転結全てが一瞬で過ぎていく。登場人物がひたすらに思い悩んで、悩んでいるうちにすれ違って、取り返しがつかないスレスレまでいったのちに和解。みたいな展開はほぼほぼ無いといってもいい。

・そういう、ある種のサラッとした手触りがひたすらに好きだ。

・という意味で私の中のサラッとした恋愛漫画第一位は兄友かもしれない。

兄友 1 (花とゆめコミックス) 赤瓦もどむ https://www.amazon.co.jp/dp/B01EFENM4C/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_E-I1Eb31AZQPF

・全10巻なのにさらりとした肌触りの少女漫画。細々とした問題が起こるものの、割と数話で解決する。
なんなら第一話で主人公二人がくっつく。良い。

・しかしながら、恋愛漫画において個人的に一番感じいるのは登場人物の感情の機微の描き方かもしれないなと思い言語化しておくことにしたよ。

・どんな人間関係にも言えるけれど、こと恋愛においては相手に自分を明け渡す段階が結構大切な感じがしていて、そこの程度によって読み手に友情なのか恋愛なのかの線引きをさせているのではないかと思っている。
友情と恋愛はグラデーションであればあるほど個人的には好ましい。友情以上、恋愛未満という関係性も好きだ。(そしてその関係性を恋愛に押し上げる二次創作も大好きだし、友情だとして描ききる二次創作も大好き。)

・「夢中さ、君に」に収録されている二階堂くんと目高くんのお話なんかは友情以上、恋愛未満の輪郭をなぞっている。
「繭、纏う」の佐伯さんと横澤さんとかも、比率は違うもののそんな風味を感じる。
思えば「もやしもん」の蛍くんと沢木もそうなのか?

・人には誰にも言えない面や、誰にでも明かしている面などいろいろな面がある。もちろんキャラクター一人一人にもきっとある。
誰にも言えない面以外の面を少しずつお互いに開示しあって、むしろ自分の知らない面までも開示して影響しあう関係に対してすごく素敵だなと思う。人間と人間が分かり合って、相手を許容しあっている……と感動する。

・自他境界を曖昧にしろ、というわけではないけれど、全然関係のない時にふと「あの人だったらどう思うかな」「あの人はこういうものが好きそうだな」と親しい相手を重ねて思考するの、涙が出るくらい美しいと思いませんか?私は情緒不安定なのでそういう描写を見るとすぐに泣いてしまうんですけれども……。
その人の中に小さい相手が存在している感じというか。他人の全てを理解することはできないし、もちろん自分の中の小さいその人は間違っていることもあるだろうけど、それだけ自分の中に相手を受け入れているという事実はとっても綺麗だと思うし、それはお互いが自分をある程度開示しているから成り立っているんじゃないだろうかと思い嬉しくなる。
相手を迎え入れている感じが、ワー!となる。

・自己開示はセックスよりも色っぽくて、理性的で、私はみていて嬉しくなる。

・なんだかすごく文章がとっちらかっているな。

・ところで、永井均著の「子どものための哲学対話」の中に

”世の中の中心っていうのは、もっと深い、すべての意味の源であるような、そういう中心なんだよ。どんなに世の中の中心にいても、世界の中心とつながっていないって感じることはあるさ。もし、きみがだれかに対して、そういう世界の中心がそこにあるって感じたなら、それは愛だよ”
”自分自身に、すこしでも世界の中心とつながっているっていう安心感があって、その安心感をすみっこにいるあの人にも分け与えてあげたいって感じたとすればね。それも愛だよ。”

子どものための哲学対話 434頁より

この文、あんまりにも嬉しくて私は思わず線を引いてしまった。(Kindleで線を引くと一瞬でそのページが開けるので便利ですね)

・特に二つ目の文が好きだ。読んでいるだけでなんだかとっても良いなとなる。

・愛って一体なんなんだろう、線引きはどこで為されるんだろうと考えることがしばしばあって、私はその度に特別な許容かなと結論づけているから上の文とはまた考えとしては違うんですけど。

・許容といっても、寛大であれとかそういうことではない。嫌なことには嫌だと言いたいし、考えが反発しあうのなら膝を突き合わせて話をするべきだ。結論が出なくても。
ただ、嫌だと感じた時に無言で去るのではなく言葉にすることも一種の許容なんじゃないだろうかと思っている。限度はあるけど。
その上で、自分が否定されることもある。そこでも一度否定を受け入れて解決法を見つけていきたい、一度きちんと話し合ってみたいと思えるのならばそれは愛なんじゃないかと思う。

・そしてそうやって相手と自分の線を手探りで見つけていく営みを漫画で描かれるとテンションが上がる。
分かり合えとは言わないまでも、そうやって意見をぶつかり合わせていくのは良い。相手を分かろうとする姿勢が良い。
相手の良いところ、悪いところを知りたいと思う姿勢が素敵だ。

・ケンカップルってそういうことの局地じゃないか?

・なんというか、その知り具合みたいなものが友愛から恋愛のグラデーションを作っているといいなあ。
友人にしか知り得ない面もあるし、恋人しか知り得ない面もきっとあるし、友愛も恋愛もどちらが上とかそういうのはないんだけど。

同級生 (EDGE COMIX) 中村明日美子 https://www.amazon.co.jp/dp/B074CF91MQ/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_8GJ1Eb9065WTS

・もはや知らない人は居ないんじゃないかというBL漫画の巨頭「同級生」も、相手の性的指向や、進路という人生に関わる大きな事柄を絡めてお互いを知っていく感じがとっても好きだ。
まじめに、ゆっくり、恋をしようというキャッチフレーズは水のように体に染み渡りますね。

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 赤坂アカ https://www.amazon.co.jp/dp/B01C3ZR3X6/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_fOJ1EbRTDSAAA

・相手を知るという意味ではかなり変化球ですが、「かぐや様は告らせたい」も、極限まで相手のことを考えて行動を予測して最善の回答を選び取った上で相手の反応すらも予測するっていうのはもうめちゃくちゃな信頼と愛があると思う。いいよね……。

・知りたいというのが愛というのであれば「バイオレット・エヴァーガーデン」とかね……

錆のゆめ 上 (cannaコミックス) 久間 よよよ https://www.amazon.co.jp/dp/B01N9XRR1O/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_LZJ1EbGGFF5MD

・これはまたちょっと趣旨が違うんだけど好きなBLなので読んでください。(え?)

・これはどちらかというと、愛とか恋とか友情とかそういうのではない、もっとひりついた感情の機微が描かれた漫画です。
自分の倫理観、周りの倫理観、社会性、献身、庇護欲、諦念などがカラメル状に煮詰まって宝石のように煌めいている何か

・私ポエム作るのうまいかもしれない。

おわりです。


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