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一般求人で採用した方が、採用直後に障害者手帳所持者であることが分かった場合に、助成金の対象となるのか?

採用しようとしている求職者が、障害者手帳を取得しているのかどうか。これは、障害者の雇用義務のある企業にとっては大きな問題です。

なぜなら、障害者の雇用に関わる助成金は、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)で最大240万円、更に東京都の場合は東京都障害者雇用安定奨励金が上乗せで最大180万円、合わせて420万円も受給できる可能性があるわけですから、安易に見過ごせないのではないでしょうか。

しかし、昨今、労働現場においては、精神障害者等、一見して障害者とはわからないような障害者が急増しています。

また、障害者求人は企業としては障害者のカウント対象とするために、週労働時間20時間以上であったり、キャリアを活かせない簡易な業務、昇格昇給なし等のシビアな労働条件の求人が多く、障害当事者からすれば、そこにエントリーするくらいなら、障害者であることを隠して一般求人にエントリーしよう・・・、そう考える障害者は少なくありません。

そのような背景から、一般求人に応募される障害者は後を絶たないわけですが、残念ながら、障害者手帳を保持していることを知らずに雇入れた場合は、入社後に障害者手帳を持っているということがわかったとしても、特定求職者雇用開発助成金の対象になりません。

では、内定を出す前に、障害者手帳保持者か否かを確認するには、どうすれば良いのでしょうか。

面接時に「障害者手帳を持っていますか?」と訊きたいところですが、公正な選考の観点からNGです。一般求人票の備考欄に「障害者手帳をお持ちの方は応募の際にお申し出ください」と書くこともNGです。

つまり、企業として取れる手段は残念ながらないと思った方が正しいのです。求人票が一般枠である以上、障害を開示するかどうかの判断は障害当事者の権利であり、障害当事者からの申し出の限りでなければ、企業の立場で手帳があるのかないのかを訊こうとすることは、プライバシーの侵害でしかないのです。

しかし、このようなケースが非常に顕著であるということを意識して採用活動を進めることができれば、企業として取れる予防策がない訳ではありません。おすすめの対策をお伝えしていきたいと思います。

(1)一般求人に出している求人を同条件で障害者枠でも出しておく

障害を隠して求人にエントリーする当事者がたくさん存在している訳ですから、ハイパフォーマンスといえる障害者も存在しています。

そのような方々も、うまく企業の戦力にしていくために、一般求人と同条件の障害者求人も出しておくことをおすすめします。

給与等の待遇が一般求人と変わらなければ、障害当事者にとって、それでもなお一般求人にこだわるという可能性は減るのではないでしょうか。

障害者であろうとも当然、求める職務スキルに見合わなければ、不採用としても問題ありません。

もし、障害者は生産性、パフォーマンスが劣るのではないかと不安があるのであれば、それは人それぞれ違うことをお伝えしておきます。障害者に対する偏見や思い込みを採用担当者が持ってしまうことは危険です。

(2)ホームページに障害者雇用の取り組みやポリシーを掲げておく

障害者として雇用された社員が実際にどのように社内で活躍しているのか、どのような配慮であれば会社として受け入れることができるのか等、障害者であることを開示しても、安心して働けそうだなという雰囲気を、ホームページなどで常に発信しておくことは大事です。

障害を隠しての就労を選択しようとしている障害当事者も、障害を抱えながら働くことに全く不安がない訳ではありません。そのような情報があれば、障害者自身から手帳の開示に踏み切れるかもしれません。障害があっても、安心して働けるという職場の雰囲気作りに取り組み、積極的に情報発信をされてみてはいかがでしょうか。

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★人材紹介会社を通して採用した場合、助成金の対象になるのか?

本記事は助成金が絡むことから、ハローワークからの求人応募を前提として書き進めていますが、人材紹介会社から紹介された方が、内定の際に障害者手帳保持者と判明することもあるのではないでしょうか。

そのような場合、人材紹介会社が、雇用関係給付金取扱事業者であれば、紹介会社から労働局に「特定求職者雇用開発助成金対象労働者雇入登録届」を出していただくことで、助成金の対象になりますので、人材紹介会社に早めに相談すると良いでしょう。

また、近年は障害者専門の人材紹介会社も増えて来ています。

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障害当事者の立場に立ってみれば、障害があっても生きて行くために働かなければならない、通院のために稼がなければならない、将来どうなるかわからない、そのような状況の中、障害を隠して働こうと考えてしまうことは、当然のことと言えるでしょう。

しかし、実際、障害を隠して一般就労をしても1年間続く方は2割程度です。これは障害を開示して支援を受けながら就労される方の1年定着割合の7割と比べるとあきらかに少ないと言えます。

障害者雇用の実際の状況を見極めて、障害当事者の気持ちに寄り添える会社が、障害者雇用の現場でも勝ち残って行けるのではないでしょうか。

ぜひ、障害者雇用を企業の経営戦略として、積極的に取り組んでいただければと思います。

株式会社ジェー・シー・プラス(JCP)
障害者雇用コンサルタント 小池梨沙

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