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過去に一般で雇い入れた社員が、障害者手帳を保持していたことが後からわかった場合、企業が既に雇用不足で障害者雇用納付金を納めていた場合、納付金は戻ってくるのか?

障害者雇用というワードが表に出てくることも多くなった昨今ですが、企業で働いている障害者のほとんどが、精神障害などの見ただけではわからない障害を抱えています。

障害者枠の求人は、専門的なキャリアが活かせるような求人が少なく、また給与も低く設定されていることが多いため、見た目でわからない障害をお持ちの方は障害を隠して一般求人にエントリーされるケースが見受けられます。

そのため、企業としては一般で採用した方の中に障害者手帳を保持している在籍社員の把握がプライバシーの観点からも難しい状況があります。

しかし、企業としては障害者の雇用義務を遵守する必要があり、雇用不足にあたっては、障害者雇用納付金を納めることも必須となってきます。

障害者雇用納付金を納めていれば障害者の雇用義務が免れる訳ではありません。障害者の不足が3人(あるいは3カウント)を超え、一人も障害者を雇用していない所謂「0人雇用企業」であれば、管轄のハローワークから何かしら連絡が来ると思ってください。

5人(あるいは5カウント)不足で「命令対象企業」となってきます。命令対象とは不足している障害者を2年間でどのように充足させるのかを、具体的に計画を立てて2か月ごとにハローワークの雇用指導官に報告をするというものです。

命令対象は企業活動に大変な負担になると思いますし、改善計画通りに採用が進まなければ、最終的には企業名の公表という流れとなり、企業ブランドに大きなダメージを受けますので、「できない」「わからない」という理由で後回しにすることは、結果的に企業活動の首を絞めることになりかねません。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、過去に一般で雇い入れた社員が、障害者手帳を保持していたことが後からわかった場合、企業が既に雇用不足で障害者雇用納付金を納めていた場合、納付金は戻ってくるのか?について、お話しします。

結論としては「戻ってきます」

ただし、遡れるのは2年間のみとなりますので、過去2年間に収めた納付金に限ります。手続きの方法は、対象年度の申告書を、今の日付で修正し、修正個所がわかる状態で、実際に納付金を納めた納付書と共に納付金の担当窓口に持参または郵送します。その後に確認や手続きがありますので、数カ月ほど時間がかかります。

なお、万一、障害者手帳取得者とは知らずに雇用していた社員が思いのほかたくさん居ることが判明し、調整金受給の可能性があった場合は、残念ながら調整金額は支給申請できませんので、納めすぎた納付金を取り戻せるというだけでラッキーと考えた方が良いかもしれません。

さてでは、どうやって今いる社員に障害者手帳の取得の有無を確認すれば良いのでしょうか?

それは社内に呼びかけるという方法になりますが、社員のプライバシーを保護し、トラブルのリスクを回避するためにいくつかのポイントがあります。

重要なことは、ピンポイントで手帳をもって居そうな社員に声をかけるのではなく、全社一斉に周知するということです。

その際に、障害者雇用促進法や会社としてコンプライアンス遵守やCSRの背景からとり進めることが不可避であることを書き加えておくと良いでしょう。

また、社内周知は、年に一度の周期で呼びかけることをおすすめします。多少の人員の流動であったり、社員の状況の変化等によりアンテナの高さが時期により違う可能性があるためです。

また、障害者雇用を進めるということは、社員自身が障害のある社員と関わる可能性があるという認識をうっすらとでも持っていただくことで、実際に障害者社員を雇い入れた後の雇用管理がスムーズです。

株式会社ジェー・シー・プラスは障害者雇用に関わる人事業務を代行しています。社内の呼びかけもお手伝いしておりますので、是非ご利用ください。

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