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2021年見てよかった映画5選

2021年も気づけば明日で終わり。映画は見るの好きだけど今年は全然映画館に足を運ばなかった・・・。来年はリアルタイムで劇場に通いまくってみていこうと思う。

ほとんど配信で映画を見ていた2021年だったが、映画館で見た作品5選で選ぼうと思う

素晴らしき世界
ノマドランド
ファーザー
007ノータイムトゥーダイ
あの頃。

1.素晴らしき世界

素晴らしい。本当に心が震えた。原作はこの映画を見て初めて知って、読んだことがなかった。映画を見た後原作を読んでみるとかなり元の話を現代寄りに再構築して脚本を書いていたとこがわかり、映画を先に見たからか、個人的には原作よりも映画のほうが面白かったし満足できたという俺にしては珍しい形となった。映画を見た後、ただただ茫然としてしまった。主人公の三上はやくざで人を殺し何回も犯罪行為を犯している過程が映画が始まってからわかるが、三上自身も社会的弱者であり、やくざの道に走ってしまったのは親に捨てられたという家庭環境が原因であるとわかる。

もし三上のように元やくざで刑務所から出てきた人を迎えるには我々はどうすればいいだろうか?間違いなく偏見の目で見てしまって、怖がってしまうのは事実だと思う。しかし映画を見ていく中で分かるのが、登場人物の中で彼だけがまっすぐ生きている、ということだと思う。彼は刑務所から出たばかりで価値観が昭和の時代で止まっている。これから何年たっただろうか。昔は助けを求めて手を伸ばしている人を三上のような真っすぐな人が止められたかもしれない。だが今はどうだろう?昔より今は個人主義化してしまいなるべく人と関わらないような人間関係になっていると思う。目の前で人がチンピラに襲われていてもかかわりを避けてみて見ぬ振りが当たり前だがそんな人にも三上は躊躇なく助ける。果たして俺には彼のような純粋さや真っすぐさは今の我々にはあるだろうか?見ていく中で自然と三上の境遇に同情してしまい、三上の視点にシンクロしていく。その物語の線引きや持って生き方が抜群にうまいのだ。ある意味では現代から昭和の人間の価値観に持っていき、今の現代の世間の空気感を映し出すのがとてもいい。
それに三上が更生しているようでなかなか抜け出せてないのが良い。人はそう簡単には変えられないし、最後にまたある出来事がありキレそうになる。その導火線に火が付くヒヤヒヤまで残すのがちゃんと物語に説得力を持たせている。その人物描写まで本当に丁寧なのだ。

2.ノマドランド

一人の女性の放浪生活を描くこの一本はホームレスならぬハウスレスという言葉が新鮮に感じられた。ホームレスではなく一応は住むところがある。しかしその家は自分の車を改造して平屋ともいうべき役割を果たす自家用車だ。主人公はAmazonの市場で働いていた女性だがそこから転々と旅をし日雇いの仕事で生活する人間である。
正直今の世の中を説教するような中身なのかなと鑑賞前はすこし穿った見方をしていたがそこまで説教じみたような中身ではなく、これからの人の生き方の多様性を感じられた。ミニマリズムという言葉が少し前に流行ったが、ミニマリズムという言葉をさらに進化させたような生活様式で、徹底的に無駄を省いているように思えた。と同時にそこまで物に埋もれなくていいし、支配されなくていい。思い出のものを手放すことのすがすがしさ、生きていくためには必要最低限の物だけでも生きていけるのでは、という価値観の再発見にもつながりなかなか面白い生きざまだとは思った。

3.ファーザー

見る前は「はいはい、どうせヒューマンドキュメンタリーでしょ」とそこまで期待はしていなかったのだが、ふたを開けてみれば物語の更生の時間軸の編集さ、親子と言えど寄り添う関係さ、人生の選択、認知症に発症した人間にどう接するか、世界観の認識のすれ違いなど、内面的な世界を体験するうえではいい教材だと思った。映画はVRだと思っているのだが、これはその一本に値する。

4.007 ノータイムトゥーダイ

2020年に発生したコロナで何度も延期した本作はダニエル・クレイグの卒業策としていち早く見たかった一本だ。何度も延期して本当に早く見たかったが、公開されていざ見てみるとこれまでジェームズボンドとして描いてた007シリーズと違い、これはダニエル・クレイグの卒業作だと鑑賞中受け止めた。本来ならばスペクターで卒業だったダニエルだが今までの伏線をかたずけてからじゃないと引退できないという主演の意地を感じたし、いざ離れようとなっても愛着が生まれているからすべて終わらせようという心意気を感じた。「女王陛下の007」とは真逆の終わり方。一人のボンドという男の生き様、それを十二分に感じさせてくれた一作だ。

5.あの頃

モーニング娘。という一大ブームが起きた時代に、モー娘。がすきな野郎たちの愛と青春の日々の物語。王道な青春物って感じでよかった。俺はアイドルグループにはまったく疎いけど、彼らが好きなものに一生懸命だということはちゃんと伝わる。好きなものに境界線はなく、趣味嗜好が違ったとしても伝わるものがちゃんとある。終盤、一人の人間の人生が幕を閉じるがオタクとしても男としてもこれ以上ない卒業式だった。好きなものを追い続けるっていつの間にかぱったり終わるけど、死ぬ間際まで貫いたっていいじゃない

以上5選だったが、今年は邦画が面白かった年だなあと思う。ハリウッドのような何千万もかけられる余裕はないとは思うけど、小粒な人物劇を描くのは日本は得意なように思えるし、アニメ実写化よりも俺はそっちのほうに興味があるな。来年はなるべく映画館に通いレビューをどんどん書いていこうと思う。



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