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ちょっと正気を失って(Remix&Update)

2021年の後半の最近、ストリーミングとかサブスクリプションで聴くのではなく、どうしてもフィジカルなもので入手したい音源が立て続けにリリースされたので、ちょっとレビューも兼ねたお話がしたく、レギュラーのTシャツとロック音楽とは少し外れて全部で4つを取り上げてお話しします。

■デヴィッド・ギルモアの"A Momentary Lapse Of Reason"

デビットギルモアは大好きなギタリストの1人です
技巧派と言うより抒情派というのでしょうか、感情に響くようなギターの音、フレーズを弾く類まれなるギタリストだと思います。
チョーキングやビブラートの加減が絶妙だと感じます。過剰にウェットにならないチョーキングとヘビーな雰囲気にならないビブラートがブルースのような泥臭さやほこりっぽい音とは異なって、どこか洗練されてどこか鮮やかな色を放つような音色のように感じます。
スチールギターを使っても、ブルースやカントリーの雰囲気とは全く異なる音をフレーズを弾きます。
デヴィッド・ギルモアのスチールギターは革命的だと思ったりします。
そのデビットギルモアがPink Floydとして実質1人で作成したアルバムが "A Momentary Lapse Of Reason" です。アルバムの内ジャケットにはニック・メイスンが写ってはいますが、ドラムはカーマイン・アピスやジム・ケルトナーといった名ドラマーが叩いています。公式な記録にはカーマイン・アピスが1曲叩いているだけになっていますが、デヴィッドはインタビューなどでほとんどニックが関与していないことを認めています。
リチャード・ライトに至っては "The Wall" での解雇されて以降、正式なメンバーですらなくなっています。
season7 #37 でこの "A Momentary Lapse Of Reason" のツアーTシャツを取り上げましたが、このツアーにはニックもリチャードも参加しています。やはりデビットはバンドとしてのPink Floydに思い入れがあったのではないかと思います。そんなところも私がデヴィッドのことが好きな理由かもしれません。

■ Remixed & Updated

さて、そんなわけでリミックスされアップデートされたアルバムなのですが、season7 #37 でお話しした通りオリジナル盤は聴き込んだアルバムというより、BGM的に流して聴いていた感じですので、聴く前は違いがわかるかな?と思っていました。それでリミックス&アップデート盤を聴いていてみるのですが、全く生まれ変わったと言う印象ではありません。
オリジナルのアナログ盤はプレーヤーがないので最近聴いていません。なので私が比較するオリジナル盤はBOXセットの ”Oh By The Way” 盤で、オリジナルよりは音質などは良いものリマスタリングがされているものです。音圧はリマスタなしのものより多少良くなっている者の、奥行きや各パートのバランスはそんなにいじられてないマスタリングのものと思ってください。
それから比較すると多少音圧が上がっているように感じますが、曲によってボーカルが若干引っ込んで聞こえたり、キーボードのフレーズで今まで印象になかったフレーズが聞こえたりしますので、バランスがいじられているせいかもしれないという印象です。
ドラムの音は高音のアタック音とリバーブエフェクトの効果で軽快で耳に残るいかにも80年代風の音から、ニック・メイスンらしいと言ったら良いのでしょうか、角のない生に近いことに差し替えられているように聴こえます。
リチャード・ライトのキーボードの方が違いが感じられるかもしれません。
こちらも曲の雰囲気まで変えるような大きな変化はありませんがキーボードのフレーズのニュアンスが異なるものがあります
「Learning To Fly」の間奏部分でピッチベントを使ったアクセントが強調されていたり、やはりメロディーを奏でる楽器なのでメロデイラインの違いがそのまま変化に聴こえてしまうせいかもしれません。
オリジナル盤が80年代テイストの加工品ぽいからかもしれませんが、ドラムもキーボードも全体的に生っぽい音に抑えられているように感じられました。
よく聴いたアルバムであればあるほど大胆なリミックスやリマスターをされたものよりもついついオリジナルの方を聴いてしまうのですが、やっぱり聴き慣れてしまっているので変わった部分が気になってしまうというのがあると思います。たとえばのストージズの "Raw Power" とか音が平面的でクリアでなくてもオリジナルの方を聞いてしまうんです。オジー・オズボーンの"Blizzard Of Ozz" もそうかもしれません。
大胆な変更リミックスで唯一好きなのはのオアシスの "Do You Know What I Meen?" くらいですかね。微妙にそれてしまいましたが、"A Momentary Lapse Of Reason" のリミックス&アップデート盤は大胆な変化はありませんが、Pink Floyd感が増している感じで悪くはないと思います。

■ 海辺のメイド

さて肝心なのは音だけではなくて、やっぱりこのジャケットです。そしてこのDeluxe Editionにはなんとこの海岸線の無数のベッドのジャケットの撮影風景や撮影秘話のインタビューが映像ディスクでついているのです。実はこれがメインで入手をしたと言うところです。
もちろん海辺のメイドさんも大きくしっかりと映り込んでいて、それを見ると何十年も会ってない憧れの女性に初めて会ったような矛盾したわけのわからない感情で胸が高鳴る思いでした。このジャケット風景を制作したヒプノシスのストーム・ソーガスンはインタビュー証言で「メイド役の女性は、なぜそこ(海辺の多数のベッド)にいるのか意味が解らなくて、それを考えてるような様子だったと言っているようです。そんなことも知ることができて、それはもう興奮でした。
このチャンネルの動画に差し込んでいるイラストも恥ずかしながら私が描いているのですけれど、また描けて楽しいというか、一番出来に納得できなくて、何度も描き直しました。結局、完成したものを見返しても「あー、ここがもっとこう描きたかった」となってしまいましたね。
メイドさんのイラストは、さすがに、もう描く事はないと思いますが、それでも今回最後に描けて本当に本当に楽しかったです。
そういった意味でもデヴィッド・ギルモアとPink Floydに感謝します。本当にこのバンドと "A Momentary Lapse Of Reason" 出会えたことを幸せに思います。

■ストームとデヴィッドのコメント


「A Momentary Lapse Of Reason」は、ロジャーが脱退した後の最初のアルバムだった、それは大きな試練だったと思うよ。(ストーム)
私が描いた一台の空っぽのベッドの絵をストームに渡したところ、彼は「いいね、でも空のベッドを500台にしよう」と言ったんだ。(デヴィッド)
アルバムには「Yet Another Movie」という曲が入っていて、その中の一節を空のベッドのイメージに置き換えてみたんだ。
それで、ものすごい数のベッドは「A Momentary Lapse Of Reason」のイメージにとんでもなくぴったりだと思ったんだよ。それで、光がよく当たる場所で撮影したかったんだけど、そんな数のベッドがなかなかなくてね、イギリスのビクトリアン病院の錬鉄性ベッド700台使えるってのを見つけて、デボンのビーチに運んだ。「Learning To Fry」の曲(のプロモーションフィルム)で実際に使ったライトプレーンを飛ばしたよ。
犬が4匹、フランス人のメイドもいた。
フランス人のメイド役の彼女はなぜメイドがそこにいるのか、わけがわからないような様子だったよ。
いざ撮影をしようとなったら雨が降ってきたんだ。これはイギリスの雨で、イギリスでは灰色のイベントのようなものなので、その場で撮影を中止しなければなら亡くなった。
700台のベッドを崖の上まで運び、車に積み込んだんだよ。
マネージャーだった故ステファン・ロックが私にこう言った。
「撮影は済んだのか?」そう聞かれたので、「イヤ、していないよ」と答えた。
すると「ストーム、スケジュールがあるんだ、君は完全に○○○○に狂っている!」って言うから
「できないよ、ベッドが見えないんだから」と言ってやったんだ。
彼は何か言いたそうだったんだけど、とにかく2週間後にやってみたら良かったんだ。
しかし、あれはとんでもない撮影で、マジでとんでもなく高くついた。
とてもじゃないけど言えないから、いくらかかったなんて聞かないで。(ストーム)

"a momentary lapse of reason"was first album after Roger had departed so I think it was a huge test.
I gave Storm a drawing that I had done of an empty bed a single one and he said great but let's have 500empty beds.
there was a song on it called "yet another movie" which has a line in it which I changed to a vision of empty beds. 
and thought that a whole lot of beds would be so insane as to qualify as "a momentary lapse of reason"and wanted to shoot it in where the light would be better couldn't find the beds so we had to in England and we found 700 wrought iron victorian hospital beds and we took them down to a beach in Devon. 
the microlight is there in the flesh for learning to fly.  
the dogs are there in the flesh four dogs and there was a French maid 
I'm trying to work out why the French maid was there 
we were just about to shoot and it rained and this is English rain in an English vein is more like grey event so I had to cancel the shoot there and then 
and all the beds all 700 of them carry them back up the cliff put them back in the lorries. 
I remember the manager the late Stephen Rock said to me
did you shoot the shots I said no he said what we've got schedule Storm you completely XXXX mad I said no I didn't do it.
he said why I said well I couldn't see the beds he said so I tried to explain and was the idea anyway we did it two weeks later and it was fine 
but it was a crazy shoot seriously crazy and unbelievably expensive.
so don't ask me what it costs because it's embarrassing and I won't tell you.

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■最後におまけの話

デラックスエディションについている映像の一部はYouTubeでも観ることができます。その中ではなんとメイドさんのオフショットが映っています。撮影の合間でしょうか音楽を聴くためにヘッドフォンをする姿が...私にはこの上なく尊い姿に映りました。想像してみてください。700台ものベッドのシーツを交換してベッドメイキングを黙々とこなすプロのメイドさんがふと休憩の合間に見せるリラックスした姿。この上ないと思いませんか?(思いませんよね)
そんな映像を観て思い出したのが、シャッツキステのあるメイドさんと話した「ヘッドフォン男子」「ヘッドフォン女子」の話。ヘッドフォンをして音楽を聴いている姿やヘッドフォンを首にかけてる姿が萌えるよねーって話です。それに萌えるって言ってるそのメイドさんが一番ヘッドフォンが似合うんじゃないか!って思ったっていう気持ちを被せて、それをイラストにしました。


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