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ピンク・フロイドに対峙する1994年。

■リアルタイムで聴いたピンク・フロイド

忘れもしない1994年。その年は私が東京に出てきた年で、東京に出てきた途端にカート・コバーンが亡くなった年で、地味にピンク・フロイドが前作から7年ぶり奇跡のニューアルバム”Division Bell"が発売された年でもありました。

ピンク・フロイドは私がロックを聴き始めた頃にはすでに伝説的なバンドでした。
フリートウッドマックの”Rumours”(邦題:噂)とピンク・フロイドの”Dark Side Of The Moon"(邦題:狂気)は何年もチャートに居座る70年代ロック黄金期の象徴でしたし、プログレッシブ(進歩した)ロックという言葉も敷居の高い高尚なイメージがありました。難解な歌詞、アルバムを通したコンセプト、複雑に構成された曲と印象的な効果音、そして超絶的なテクニック、プログレッシブロックというとそんなイメージが浮かぶのですが、ピンク・フロイドのリアルタイムな経験である1987年の"A Momentaly Lapse Of Reason"(邦題:鬱)や今回取り上げた1994年の”Division Bell"もそんな難解で凝ったイメージのものではなく、もっとオーソドックスな大人の落ち着いたロックで、80年代的インダストリアルな雰囲気やAORみたいなもので、ピンク・フロイドという名前やジャケットの雰囲気からイメージが膨らみ、緊張して気合いを入れてその音に耳を傾けていたところ、少々肩透かしを食ったような印象がありました。悪い意味では大して「いいなぁ」と感じたわけでもなく印象に薄い音でした。良い意味で取れば一気に敷居が低くなりフラットにすんなり聴くことができたのです。

■90年代のプログレッシブ・ロック

1994年ロックの狭義なところで主流だったのはグランジとヘヴィネスなロックでした。内向的で陰鬱で重い音がロックだったわけです。
そんな時流の中でロックの化石のようなプログレッシブロック、その代表的なバンドであるピンク・フロイドの新作でこの”Division Bell"です。70年代のプログレの音をさりげなくアップデートして聴かせるわけですから、正直70年代のロックを10代、20代の頃に体験したロック好きの大人にはアンビエントな音であったわけです。派手さは皆無で聴きどころもなかなかピンと来ないこのアルバムですがついついリピートしてしまう沼にハマるような感覚がありました。
例えば”Division Bell"アルバムの最後の曲に『High Hope』という曲があるのですが、この曲は鐘が打ち鳴らされる効果音が遠くから小さく聞こえ、その音が段々と大きくなって始まる曲なのですがアウトロでもその鐘の音が段々と小さくなって消えていくんです。この一曲をループすると鐘の音が小さくなって消えたと思うとまた段々と大きくなって曲が始まるという無限ループになっていつまでも聴いていられたりします。その時、どんな音が主流だろうが全く関係ない所に存在するのが正にプログレッシブであり、ピンク・フロイドというバンドだと思うのです。

そんなピンク・フロイドの90年代唯一のアルバム”Division Bell”。音は一聴して派手ではないという話をしましたが、アルバムジャケットはものすごいインパクトです。これはこのアルバムのコンセプトである「コミュニケーションの欠如による対立」をイメージした二つの巨大な顔の立像がエリー大聖堂が遠くに見える田園にドーンと立っています。この立像は何種類かあってジャケットのパターンもCD、アナログレコード、カセットテープ(MD?)とメデイアによって異なっていたりしました。

■対のTシャツ

今日紹介するTシャツもその対立のコンセプトをイメージしたグラフィックデザインになっています。コチラのものは立像が白い大理石のような雰囲気で作られれいるもののグラフィックをプリントしたもので、1994年よりずっと後に発売されたものです。2000年代かな?これと同じデザインのものをジェリー・ロレンゾを通じてジャスティン・ビーバーが着用して人気になり高騰しました。
コチラはその"Division Bell"に伴うワールド・ツアーのもので、コチラは北米ツアー、ヨーロッパツアー通じて作られていたものでかなりの数が流通していたものだと思います。バックプリントにツアーPlace、ツアーDateがプリントされたパターンのものもあります。コチラの柄はレコードの真ん中のレーベルデザインの柄に近いものです。魚みたいな生き物が顔を突き合わせて対立しています。
ツアーDateのプリントがあるパターンのものがあることは最初知らなかったので、コチラの「World Tour」とプリントされたものなのですが、ツアーPlaceプリントバージョンが欲しかったです。コチラは90年代製のものです。
二つの顔なんですが、こう突き合わせると一つの顔に見えます。むしろ意図的なんでしょうが。

ということで、”Division Bell”のTシャツ2パターンをご紹介しました。
(どちらも)90年代に作られたものは高騰しています。
もっていらっしゃる方は大切にされるといいかと思います。

■おまけ(有料にしますが、そんなに価値のある内容ではないと思いますので、興味のある方のみお願いします)


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