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T2

Keep Calm On Tee(Schatz)と言うことで、Tシャツとロック音楽について語っているチャンネルですが、このシーズンはロック音楽から少し離れて映画の中でのTシャツについて語っています。
しかしながら、どうしてももともとの土壌がロック音楽から来ているからか、映画の中での小道具として使われてるTシャツもついついロックっぽいところに目がいってしまうんです。
それは、これまで再三語ってきた90年代当時においてもそうでした。
今回は映画とTシャツと音楽がミックスした話です。

■1991年の大ヒット映画『ターミネーター2』


90年代、CG技術の導入により映画の表現は革新的に広がったと思います。
ターミネーターという映画も1984年の第一作目ではいわゆるVFXを多用したSF映画の1作品に過ぎませんでした。しかしながら、アーノルド・シュワルツェネッガーと言うスター性を秘めたアクターと明快なプロットをスリリングに見せた演出のうまさでスマッシュヒットしました。シュワルツェネッガーのアクションスターとしての出世作となりました。
演技より肉体の説得力で画面を成立させることができるすごい役者の1人だと思います。
90年代に入って最新のCG技術と潤沢な制作費用を使って撮られた続編はプロットはオリジナルとほぼ変わらないもので、未来からやってきた刺客とそれを阻止すべく同じく未来から送られた使者との追っかけっこなのですが、全編では刺客だったシュワルツェネッガーが大スターになったことで阻止する側のヒーローになっている事と(その当時)度肝を抜くCG映像と前作以上の切ない感動をさらうストーリー展開でメガ・ヒットになりました。

T2は大ヒット映画となりさらに続編がいくつも作られますが、シュワルツェネッガーの肉体の説得力の衰えとターミネーターと言うタイトルからどうしても変えることのできないストーリー上の制約が、単純にすれば飽きられてしまい、複雑にすると受け入れられなくなってしまうというジレンマに落ち入り、T2を超えるヒットにはなりませんでした。個人的に『新起動:ニュージェネレーション』は視点を変えていて面白かったんですが。
噂ではもう続編は作られないとか、それも残念ではあります。
といった映画『T2』なのでもう皆さん見た事はありますよね?と言う前提で話して良いのかと思いましたが、それでももう30年も昔の映画なので見たことない、知らない、と言う人も多いことを知り、これまた自分が年寄りになってしまったんだということを思い知り、残念に思うわけです。なのでなるべくストーリーには触れず話します。

■90年代のティーン・エイジャーBAD BOYのイメージ


映画のお話の中で重要な人物として10代の少年が登場します。少年はいわゆる『不良』として描かれています。
ところが、80年代の『不良』のように粗暴な感じはありません。悪事もデジタル・ツールと知識を使ってカードのスキミングをしたりします。見た目も自己顕示欲を丸出しにしたような派手な格好はせず、どちらかと言うとN.E.R.Dな感じ、当時のグランジ的なスタイルです。それが90年のクールなBAD BOYのイメージだったのでしょう。役者もエドワード・ファーロングと言う当時はクールな美少年が演じています。
そのクールなBAD BOYが劇中で着用しているのはHIP HOPグループ パブリック・エネミーのTシャツです。
そしてこの少年の部屋にもパブリック・エネミーのポスターが貼られています。
この辺、物語の重要人物であるので、細かいところまで丁寧に演出がされていると思います。この人物の映画では語られない背景までしっかり作られていると言う所の表れです。
そして、やはり重要なのは、90年代における、この時代のクールなBAD BOYはヒップ・ポップだと言うことです。いかにも悪いとイメージしやすかったメタルやパンクのようなロックでは無いのです。

■こんなところに垣間見る産業ロック


演奏する側の哲学とは別なところで、お金を生み出す音楽として産業化されたロックという音楽は大衆に受け入れられることを前提にエッジがことごとく削がれ、当たり障りのない心地の良い音楽になっていました。
それはかつて『不良』の代名詞であったハードロック/ヘビーメタルといった音楽においてもそうでした。
そうして産業化されたロックは既にくそダサイおじさんやおばさんが聴く音楽でしかなくなっていたのです。
なのでこの大衆に大受けした映画『T2』の主題歌はガンズ・アンド・ローゼスの『ユー・クッド・ビー・マイン』なのです。
Gun's n Rosesはこの曲のPVでシュワルツェネッガー演じるターミネーターと共演しています。
そしてこの曲が入ったガンズのアルバム『ユーズ・ユア・イリュージョンⅡ』はビルボードでNo.1になっています。

■パブリック・エネミーのTシャツ


映画の中の小道具としてパブリック・エネミーのTシャツはカッコいい『不良』なものの記号であればよく、それは大衆には理解不能なもの、知らないもの、であれば良いわけです。
パブリック・エネミーというグループの音楽はまさにそういうものだったと思います。
ヒップ・ホップの音楽やパブリックエネミーの音楽についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
今回紹介するこのTシャツは『シュプリーム』と言うブランドと『アンダーカバー』と言うブランドがコラボレーションして作ったTシャツです。『シュプリーム』のデザイナーであるジェームズ・ジェビアさんも『アンダーカバー』の高橋盾さんも
パブリック・エネミーがクールだった頃、80年代後期から90年代のことをよく知っていることから取り上げたんじゃないかなぁ、と思っています。
パブリック・エネミーのロゴそのものズバリなんですが、バックプリントにデザインがちょっとこのコラボ商品特有のものが入っているようです。

■終わりに


ちなみに、Gun's n Rosesの『ユー・クッド・ビー・マイン』は映画『T2』の主題歌というお話をしましたが、そのPVの中でも物語の重要人物の少年が登場していますので、パブリック・エネミーのTシャツがチラリと映り込んでいます。
このプリントのTシャツを持っている人で『T2』を観ていない人もいると思いますし、Gun's n RosesのPVを観たことないという人もいると思いますので、もしよかったらこの機会にいかがでしょうか。

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■おまけの話


Gun's n Rosesの『ユー・クッド・ビー・マイン』のPVのお話をしましたがここにはこのPUBLIC ENEMYのTシャツが映り込んでいるだけではなく、このチャンネル第1シーズンの第2回目、アクセルローズが着用していたナイン・インチ・ネイルズのTシャツで紹介しものを着用してアクセルローズが歌っている場面も一瞬チラリと映っていたりします。

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