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KAKUTA「往転」を観てきました!

作・演出:桑原裕子
出演:峯村リエ、入江雅人、小島聖、米村亮太朗、岡まゆみ ほか
劇場:本多劇場
観劇日:2020年2月27日 19:00~/3月1日 13:00~

新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、多くのイベントが中止される中で上演されました。おそらく、劇団も劇場も慎重すぎるほどの検討を重ねたうえで、上演を続けることを決定したと思われます。観劇に際して、消毒やマスク着用を推奨し、返金を希望する人に対応することなども案内されました。

僕の個人的な意見ではありますが、演劇の上映時間はせいぜい2~3時間。観客はみな舞台に向いて座り、喋ったり、食べたり飲んだりはしません。本多劇場のような比較的広い劇場であれば、天井が高く、換気設備も整っているため、さほどの密集感は生じません。報道の通り、空気感染をしない前提であれば、衛生面に配慮すれば、感染のリスクはさほど高くはないと思います。

でもね、安倍首相が記者会見をして、国民に感染防止対策への協力を要請したのが千秋楽の前夜だったので、今回は公演が1週間先だったら、上演できたかとどうかが微妙だったかと思います。

演劇を生業とされている方には、公演が中止になることは、生活を脅かすことになりかねないと思います。なので、僕は、今回の本多劇場とKAKUTAの決断を支持したいと思います。応援も気持ちもあり、というよりも、非常に心を打たれる作品だったので、2回観に行きました。でも、今回の状況が、役者たちさんを駆り立てたというか、パワーを与えたというか、そういう部分もあったかと思います。

「往転」。素晴らしい作品でした。まず、脚本が巧みです。長距離バスが横転事故を起こし、そのバスに乗り合わせた人たちの、事故前と事故後の物語を交錯させて描いた作品。登場人物がみんな、生き方が不器用なんですよね。でも、一生懸命に生きている。確かな根拠がない何かをすがるように生きています。人って、誰しも、そういう部分があるからでしょうか、舞台上の人物を特殊で、危うくて、滑稽だと思いつつも、共感してしまうんですよ。人物像が明らかになるほどに、一挙手一投足が愛おしく感じられました。

桑原裕子さんが作・演出された作品を観たのは、これが3作目ですが、観るたびに好きになっています。セリフはわかりやすいのに内容は深くて、登場人物の一人ひとりが魅力的で、基本的には性善説。役者さんたちも、誰が主役でもおかしくないほど、それぞれの存在感を示している。

次回作も楽しみです。


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