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「窮鼠はチーズの夢を見る」私的考察

2020年10月念願の窮鼠を見てきました🐭🧀1人で見に行ったので感想や考察(?)を思うがままに書きたくなり綴って見ました。あくまで個人的に感じたことなのでそうじゃないなぁと思うところあると思います…あと思いついたまま書いてるのでシーンバラバラで読みにくいですが楽しんでいただければ幸いです

🧀まず窮鼠の好きなシーン…
沢山あるから絞るの難しいけどパッと思いついたのは恭一が1人部屋でご飯を食べてからソファに寝転びこっちを見るシーン。何気ないシーンなんだろうけどあの眼差しはたまらない。そして徐々にピントが灰皿にあっていくのも今ケ瀬のこと考えてるのかなぁとか思っていいシーンでした

🧀元妻(知佳子さん)について…
こんなこと言ったら設定台無しかもしれないけど元妻はほんとに浮気してたんだろうか…恭一と過ごす時間が冷めていること、浮気してるんじゃと疑いだしたこと、恭一のことが分からなくなったこと…色々重なって探偵雇って。でも何も出てこなくて疑った自分も嫌いになって疲れて壊れそうだった。だからこれ以上傷つきたくなくて、自由になりたくて別れ切り出したのかなと。でも恭一は何も悪くない、せめてこれ以上傷つけたくなくて好きな人ができたって言ったのかなと。でも1年って具体的数字あるしやっぱり違うか…。それに後に今ケ瀬が「見た目が綺麗で人間ができてて、自分にいい思いさせてくれるような…」って言ってて(あっこれ元妻のこととも重なるなぁ)(なんでも完璧に見えた恭一にほんとの気持ちや弱音や恥ずかしいとこ見せれなくてずっと気を張って生活するのが疲れて元妻は浮気したのかな…)と思ったからやっぱり浮気っていうか不倫してたのかもしれないな

🧀カメラワークについて…
私みたいな素人が上から目線で語ることでもないけど。ドアがしまって取っ手にフォーカスされるとこが何ヶ所かありそこ良かった!この後何があったのかなぁって想像させるし、見てる側にこれ以上は…って線引きしてるみたいにも感じてドキドキした。あと鍵の閉まる音が聞こえなかった気がするんだけど(私の耳が悪いだけかもしれないが)そのおかげでくっきりと境界線を引かれた感じはしなくて覗こうと思えば覗けるとこが見てる側の判断に任せるみたいに捉えれるからよきだった

🧀最初のシーンについて…
最初のシーンで恭一の自転車乗ってる時のお尻とか顔がアップされるのは映画を見てる人の気持ちを向けるためだったりファーストインパクト強めるためだと思ってたけど感想書いてる方のツイ見て今ケ瀬の目線か!!ってなった。言われてみればたしかにそうだ、納得。

🧀グッズについて…
映画観る前にポストカードとかグッズをオンラインで頼んでてティッシュ箱がそのまま写ってたから(そこは木の箱とかにした方が雰囲気壊さないんじゃ…)と思ってたけど実際映画見て、その生活感が見る側にリアルを与えるからいいんだと思った

🧀灰皿について…
原作では灰皿が無機質なモノトーンのものに見えたんだけど映画だと黄色の目立つものになってて、それが今ケ瀬の存在感を随所で際立たせててよかった…確かな意思がなくふわふわと生きていた恭一に鮮明なでも暖かな色をつけたみたいな…(語彙力無さすぎて伝わらんな多分)

🧀成田くんについて…
今ケ瀬が恭一の家の脚が長い椅子の上で座ってるシーン…あれは(あのバランス感覚すごいなぁ)と後で思った。萌え袖気味なとこと丸まった背中が華奢さを増してて女子より可愛らしさ儚さそして粘着質で重い恋人が何たるかをわかってるなぁと…。成田くんの演技力(役への溶け込み力)も凄かったなぁ。初めて大伴先輩と体を重ねた夜が明けて光が差し込むシーン…今ケ瀬が柔らかな女の子の顔に見えたもんな。紛れもなく男性なんだけどまとうオーラが変わってた。凄い…。あと夏生先輩、今ケ瀬、恭一の修羅場。恭一が同じドリンク頼んで鼻で自慢げにマウントとったり「男には逃げ道作ってあげないと…」って大伴先輩のことわかってますよ感出すのがいじらしくて可愛いなって感情移入した。大倉くん目当てで見ること決めた節があるけど最終的に感情移入したの今ケ瀬の方だった

🧀夏生先輩について…
夏生先輩みたいな女の方が恋敵だったらすごく嫌というか怖いなぁって思うんだけど女性の登場人物で1番印象に残ってるの夏生先輩だからすごいなぁって思う。リアルでもああいうタイプの元カノの印象は男性の中で強いのかななんて

🧀ゲイバーについて…
今ケ瀬が離れたあとも時々恭一の様子伺ってたのもすごく共感できるな。何でかわかんないけどしばらくは気になったりするもんなぁ。でも恭一がゲイバーみたいなところに行ったことは知らないんだろうなぁ(たぶん恭一は別世界だと思った今ケ瀬の世界を少しでも知りたかったのかな)ゲイバー行った後恭一が涙するの今ケ瀬が特別だったことを実感したからという感想見てなるほどと思った。私はただ今ケ瀬のこと知りたくてどんな世界を見てるか知りたくて求めたけど結局自分だけじゃわからなくて…直接会って触れて聞かないと分からないと気づいた時にはそばにいないことに涙したのかな…と。

🐭いちばん色々考えたこと…
みんなの感想で聞いてみたいなって感じたことは、なぜ今ケ瀬が最後恭一から離れたかについて。そして戻ってきたのかについて。仮説いくつか考えてて…1つは今ケ瀬のいままでの恋愛スタイルとしてゲイといるか本命ありきの人と付き合うかの2パターンだったのが恭一が今ケ瀬の気持ちに答えることになるといままでと違うイレギュラーなケースになるから。自分にとっても相手だけ、相手にとっても自分だけな関係…だけど世間の目とか考えると男性同士の恋愛は困難が多い。それを含めて付き合うのは責任があるのと怖かったから離れた。2つめは流され侍のクズな恭一が好きだったから。誰か1人に絞ることが嬉しくもあり何か違うと感じる部分があったから。3つめは多数と関係を持つ受け身な恭一を変えてしまったのが自分だと言うのが怖かったから。自分を選んでくれたのはとても嬉しい。でも変えてしまったからにはある程度の責任がある。それにクズな恭一を振り向かせるために頑張ったけどそのおかげで今ケ瀬が魅力を感じた恭一ではなくなってしまったのかもしれない。そんな葛藤があったのかなと。好きになりすぎるとその人しか見えなくて自分まで見えなくなっちゃうんじゃないかな…なんて色々考えた。結局今ケ瀬は帰ってくるのか…誰か他に強烈に今ケ瀬あるいは恭一を変える人物が登場しない限りは戻ってくるんじゃないかなって思う…。恭一にとって初めて自分から歩み寄る行動(ゲイが集まるクラブに行く行為や婚約破棄など)をした相手だし、今ケ瀬にとってはおそらく人生の中で1番長い間好きだった相手だから…それに人ってそんなに強くないんじゃないかなと。1度決断してもダメだとわかっていても幸せにはなれないとしても。というか幸せって何で…ゴールって何なんだろう。どんなに忘れようとしても簡単には忘れられなくてそれこそ人生観がガラリと変わるような出来事や出会いがないとその人と歩いた道や行ったお店を見る度に影がチラついてやっぱり戻りたくなるのかなと。それでも今ケ瀬が二度と戻って来ないなら極限に切なくて苦しいラストだなと。

🐭最後の場面について…
今ケ瀬が最初は一方的に好きで何とか振り向かせようとしている印象だったけどだんだん恭一の今ケ瀬への思いも強くなって最終的に同じくらい両片思い、もしかしたら恭一の方が上になってる気がする。そう考えると今ケ瀬は女ではないんだけどもなんだか魔性な女の要素もあるんだなぁなんて。のらりくらりな恭一の恋愛スタンスを変えたんだから。(男とか女とか書いてる時点で自分はこんなふうに固定概念や先入観持って生きてるんだなぁと書いてて思った。)でもだからこその「変えてしまった恐怖」や「ストレートだった先輩を少なからず(今ケ瀬だけが特別であるとしても)ゲイの世界に導いた責任」を感じているのかな。たとえそうでも相手の今までを変えてしまう魅力が今ケ瀬にはあったということで、受身な恋から自身で動く恋(今ケ瀬のことを考えて部屋を整えたり、婚約破棄したり)に変化したことはこの物語の最大の見どころのひとつだなぁと。そもそも恋をしてその人のこともっともっと知りたくなると少なからずそれまでにない価値観や考えに無意識に傾くからBLだからとか関係なくそれまで知らなかった新たな道に行くことになるんじゃないかなとか色々考えさせてもらった。
あと最後のシーン…。(夜だけじゃなくて)昼間の世界でも今ケ瀬を想うって解釈の方いて素敵だなぁって思った。ちなみに私は陽だまりのような暖かくも冷たくもない(夢の中みたいな儚くもろい)世界とそれでも今ケ瀬を待ち続ける恭一の覚悟が見えた。ふわ〜と風が入り込みカーテンが揺れる。今ケ瀬が座っていた印象が強い椅子に座り、なんだか微笑んでいるような恭一と、今ケ瀬を思い整えられた部屋。館内が暗かったからかやや明るすぎるように見える室内。まるで陽だまりみたいな夢の中のような…今にもガチャっという音とともに今ケ瀬が帰ってきそうな…そんな雰囲気。
あぁこれが窮鼠はチーズの夢を見るかと。

最後に…
R指定の映画を見るのは初めてででも美しくて儚くてBLだけど人が人を好きになるとはどういうことなのかについて深く考えさせてくれた作品でした。濡れ場が多く感じんですがエッチだなぁと言うよりも心の奥底の情熱の移り変わりや葛藤をまざまざと見せられているようでした。映画を批判している訳では無いんですがあの恭一と今ケ瀬ならばもう少し濡れ場が少なかったとしても心の機微や恋の儚さ危うさ、そして人が人に惹かれるということを描けたのかなと思うと同時にもう少し2人の言葉でなくて眼差しや視線の動き、間で語る姿が見たかったなと。でも2人の姿はどのシーンも切なくて美しくてほんとに見れて良かったと思う作品でした。

1度じゃわからなかったこと…
原作を後に読んで思ったのですが海に向かうシーンで運転していたのは映画では今ケ瀬でなく恭一だったのは何故なのか。
たまきちゃんと恭一が部屋にいるシーンで手ブレのように画面が揺れていると感じたのは演出なのか映画館の画面が揺れていただけなのか。演出ならばどんな意図があったのか。
シーンとシーンの間の時間軸がだいぶ経ったところもあったと思うのですが1度見ただけだと展開を読むのに精一杯でよくわかってないとこもあったなぁとかいくつか疑問や不思議なところが出てきて観客にこんなにも考えさせてくれる映画はやはり素晴らしいなと感じました。

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