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【コラム】ぬいぐるみを作り続ける理由

私はぬいぐるみというものに特別な思い入れがある。

ぬいぐるみは愛されるためにあり、
時には悲しみのためにあり、
時に怒りのためにある。

そんな性質が面白くて
16~20歳ごろの私は
今の自分に寄り添って欲しいパートナーを思い浮かべては
こつこつぬいぐるみを縫っていた。
不思議なことに、作りあげてしまうとさっぱり心から離れてしまう。
路上に出ては
ほとんど原価のような価格で売っていた。
私のぬいぐるみはスッキリと旅立って行った。
寂しさを紛らわしてるようだと茶化されることもあった。
風呂なしアパートに住んでた頃は
その日の売り上げで銭湯に行った。
ヘンテコな生活だった。

そんなぬいぐるみを売っていたときに
同級生のお母さんがやってきて
わたしもぬいぐるみを作ってるんですと挨拶されたと思う。
彼女(以下M子さん)と話したのは
これが初めてで最後だった。

同級生のT君は
たまにM子さんの作ったオオカミのウエストバッグを付けていた。
私はこれがとても気になっていて
またM子さんに会うことが叶えば、
どうしたらこんな面白いものを作れるのか聞きたいと願っていた。
T君も、きっと話が合う気がするよと笑っていたのを覚えている。


しかしそれも叶わず、
2年後にT君のお母さんが亡くなったと担任から聞いた。
ガンで闘病していたそうだ。

私はT君宅で久しぶりに集まったときに
M子さんの作ったクマのぬいぐるみを譲り受けて
これは以後、私の宝物になる。
あまり多くは尋ねなかったけれど、
それがとても大事な遺品の一つであることに変わりなかった。

クマのぬいぐるみは堂々と、生き生きとした表情をしているように見えた。
なんだか不思議な感覚だった。


いろんな制作を経て、
私がこのウサギのぬいぐるみを商品として形にしようと決めたとき、
私が作りたいものはなにかと考えると
M子さんのぬいぐるみが頭から離れなかった。

私はT君にお願いして、M子さんのことをもっと知りたいとメールをして、
彼女がブログをやっていたこと、
生前の約束でブログは消したけど
プリントしたものならあると聞いて
ぜひ読ませてと約束をした。

ブログの記事を読み進めると、

“ 病気をすると、何が最優先か考えなければならなくなります。
それでもって答えはすごくシンプルになるんですよね。
シンプルって最強の答えじゃないでしょうか?
そこに「作る」があって、つくづく私は幸せだなと思いました。”

とあった。

作るということは、それに命を吹き込むことだった。
M子さんの作品はとても生命力に溢れていて
それでいて人に寄り添うことのできる不思議な魅力がある。


ブログの最後のページには「途中下車」というタイトルで
M子さんが亡くなったことを記す記事で締めくくられていた。

私はたびたび彼女にとても会いたくなり
お墓に行って、まだ作り続けていますよ。と報告しにいく。

とにかく生み出したい気持ちに真剣に向き合って
作り続けることを苦にしない人。
私もそんな作り手にならなければ。と思う。



リンク

わびすけ 手作り木のボタン
http://wabisuke.store-web.net
彼女がよく『鼻』に使っていた、せかいにいっこの木のボタン


“いつも創作意欲をかきたてられるのは、
素材の持つキズ・ズレ・アンバランスな形などの「偶然性」です。
命の持つ「唯一無二」に通じるものがあって、
いとおしく感じます。”
(M子さんのコラムより抜粋)

MUKU ART PRODUCT うさぎ

Webで販売予定

WEBSITE
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剥製/https://twitter.com/muku_mio
プロダクト/https://twitter.com/muku_miomori

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剥製を使った作品・空間装飾で表現する傍ら、 日常にそっと寄り添う少し奇妙なプロダクトブランドを経営 WEB http://miomori.wixsite.com/muku

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