ただ一本の木があるだけで、そこに日陰ができる。小さな芽は親鳥に守られて育つ雛のように大きくなった親株の葉の下で柔らかな葉を伸ばしていく。ただ一本の木があるだけで、そこに次の命が育まれていく。

ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。