プライベート展示会 part2

無期迷途のweiboに掲載してあるディス秘話。
不思議な夜にの外伝小説です。
前回のパートはこちらから。
プライベート展示会 part1

プライベート展示会 part3

翻訳機をかけて拙い意訳をしながらまとめたものですので話がなんとなく分かればいい方向けです。
それでも良ければ下へお進みください。




PART2

電話を切って、エンジンを切った。
細い指が焦るようにハンドルを叩く。

契約通り、マックイーンはエンフェルの作品を持ってきた。
油絵もあれば彫刻品もあった。
芸術的観点からすればどれも例外なく傑作だ。
納品さえ完了すれば最終的に3500万の金額が事務所の口座に振り込まれる予定だった。
ところがこの時マックイーンは全然興味がなかった。
ベルフェゴール美術館で起きたことに不安を感じていたからだ。

ジェニーンという画家はまだ生きているのか?

マックイーンはバックミラーに映った自分を見つめた。
有名ブランドの衣装と高価な装い品がいつものようによく調和し、優雅な姿を誇っていた。
しかし、今の鏡の中の姿は、またいつにも増して見慣れないものだった。

マックイーンはジェニーンに芸術界の最も暗く、そして最も現実的な側面を見せて彼女の馬鹿げた夢と芸術への渇望を打ち砕いた。
世の中は元々そうなのだ。
その純真な新鋭画家が非現実的な夢を見ていただけだった。
人の心を見抜いて世の中の道理を悟ったマックイーンは、あえて努力する必要もなく、まるで生まれつきのように自然に自分の名声を響かせていた。
偽造品が闇市に流れ込むたびに、いわゆる上流社会に属するという人々が一点の偽造品を得るために目に火をつけて飛びかかる姿を見て、彼女は一種の喜びを感じていた。
所で、ジェニーンという名前の新鋭画家が生きているというニュースは一体誰が言ったのだろうか。

へぇ、これはまた何のひどい冗談だ。

ベルフェゴール美術館から5キロ足らずの距離にある別荘の正門がゆっくりと開かれた。
笑顔にしわができるほど太った巨像を眺めながらマックイーンは笑顔で皺を寄せ、マックイーンはその表情を押し殺した。
儀礼的な握手と挨拶をしながら意味のない自己紹介を続けていくうちに、いつの間にかマックイーンは別荘の展示室の真ん中に到着していた。

巨商はすぐに人にエンフェルの作品を展示し、ほどなく展示室は感嘆と討論の声でいっぱいになった。
妖艶な青みを帯びたダリアの絵の前で巨像は興奮を隠せず、虫眼鏡でキャンバスの際まで一つ一つをじっくり調べた。
当然「本物」だった。
能力で複製した作品なので、エンフェル本人が直接来ない以上、 本物と偽物を見分けることは絶対に不可能だ。
だが、方法が全くないわけではない。
その<地獄の門>は彼女が断ち切れなかった過去を呼び起こす。
そして、これらの枠に囚われた作品には、ある種の力が集まるのがマックイーンには感じられた。
純粋で狂気じみた···エンフェルの作品に意図されたものとは異なる力だった。

作品が一つ一つ展示室に入ってくる度に、金持ちの実業家や来賓の狂気に満ちた眼光がますます熱くなる。
マックイーンが感じたエネルギーは時間が経つにつれて強くなっていった。
「レディース&ジェントルマン!」
金持ちの実業家は興奮を隠すことができず、手のひらをこすった。
「これらの作品は間違いなくマスターエンフェルの実作です!」
彼はすぐにマックイーンに頭を下げて挨拶をした後、言葉を続けた。
「マスターエンフェルを支えてきたファンとして、この場で皆さんに保証します。 今、皆さんは有史以来初めて 世の中に知られたマスターエンフェルの作品を見ていらっしゃるのだ!」

観客は熱狂した。
芸術に対して少しでも識見があれば「初めて」という単語の重さを知らないわけにはいかなかった。

すぐに作品を買おうとする人が出てきた。
これは連鎖反応を起こしわずか数分でこのプライベート展示会が一種の「ゲリラ」オークションに変わった。
そうかと思えば、金持ちの商人が一番先に値を叫んだ人たちが静かに群衆から退く姿を見たマックイーンは、この「プライベート展示会」と呼ばれる場所の用途に気づいた。
その場にいた招待客が数十人に過ぎなかったにもかかわらず、マスターエンフェルの初公開作であることを強調すれば、ここで取引される金額が2億に達することが明らかだった。
契約の残額を支払った後、彼女は 1 億元以上の純利益を得ることが出来る。手腕が相当だ。

まあ、これがニューシティ。そうだろう?
マックイーンは笑いながら席を後にした。
室内に漂っている狂気の雰囲気は彼女の心の最後の疑いも払拭した。

ジェニーンという新鋭画家が生きているかどうかは、そもそも無意味だった。
ここはニューシティ。
規則に適応できなければ誰でも耐えられないところだから。
違うよ。もしかしたらその蝶のそばに…
マックイーンは首を横に振りながら頭の中をかき乱すあの無邪気なやつを振り払おうとした。

数歩歩いた後、数人の女性観客で構成された群れがマックイーンを引き付けた。

「美しい女性の皆さん、今エンフェルの作品の話をされているんですか?」
「もしかして今回の展示会開催の仲介を担当された方?」
「その通りです。」
「それでは、これらの作品について見識がありますね! この中で作品の芸術的価値が一番高いのはどれですか?」
その間、他の女性観客は休む暇もなく携帯電話を叩いた。
マックイーンは彼らが急いで友人にお金を貸してほしいと連絡を取っていることを素早くキャッチした。
「私の意見が本当に聞きたいのであれば…」
マックイーンは声を遅くし、わざと恐ろしい口調が言った。
「 これらの作品とは何の関係も持た​​ないのが最善だと思います。魔女の夜の奇妙な話を聞いたことがありますか?」
誇張された恐怖が効果を発揮し、数人の女性ゲストがぼんやりと首を横に振った。

「エンフェルの作品は長時間見ないほうがいいと言われています。さもないと…」
「さもないと…?」
「自分の恐怖に飲み込まれてしまいますから。」
しばらくの沈黙が流れた後、数人の女性観客がけらけらと笑った。
「どういうことですか、この絵の中に人を食う魔物が隠れている可能性はありますか?」
笑い声はすぐに収まった。
女性達はマックイーンを無視して再びオークション会場に目を向けた。
マックイーンは肩をすくめた。
人を食う魔物はいないけど、人が隠れているなんてね…
「美しい淑女の方に幸運がありますように。」

マックイーンの後ろで欲望の渦が展示室に集まり始めた。
その団結した欲望に囚われた観客は、来るべき混乱を全く意識していなかった。

……

「ミランダ。食堂の席予約はしてあるかい?
分かった。ウェイターに…あ、ちょっと待って。」
車のドアを閉めたマックイーンは、事務所のドアの前に立っている灰色のシルエットを目撃した。
結局···訪ねてきたのかな?
「ミランダ?」
「はい、先生。なんでしょうか」
「急いで処理することがあってね。食堂の予約をキャンセルして」
マックイーンはミランダの返事を聞く前に電話を切った。
そして彼女は、向かい合ってくる灰色の姿を微笑んで眺めていた。

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