修学旅行の入浴は下着で

 中学3年生の修学旅行は奈良・京都に行ったのですが、ふと下着で大浴場に入ってきた人たちがいたことを思い出しました。今はそんなことする人いないと思いますが、当時は同性のクラスメートの前で下着になることすら躊躇われた時代でした。私たちの時代はボクサーブリーフなど無く、中学でも半数ぐらいの人が白ブリーフで、それを見られたくないから制服の下に短パンを穿いたりしてたのです。そんな時代のお話です。

 今思えば中学生というのは非常に多感な時期、第二次性徴で自分の体に変化が出始め、しかもその度合いは人それぞれだから、こういう裸のイベントはある意味とても残酷だと思うのです。小学生ぐらいまでは、皆んな多少の違いはあれど、絵に簡単に描けるようなペニスをしていますが、中学後半ともなると、そう易々とは描けないモノになってくる。それを普段机を並べている人たちの前で強制的に披露する(?)というのは、人によってはプライバシーの侵害、耐え難い屈辱だったりするのではないでしょうか。

 例えば温泉や銭湯などで、全く見ず知らずの人たちに裸を見られるのであれば、そこまで気にしないかもしれません。でも普段顔を合わせているクラスメートや同じ学年・部活の人に、自分の裸をさらけ出せるかというと、なかなかそうはいかない。明日のことなんて誰も考えてない、言動1つで人生が変わることを知らない中学生ですから、特に下半身を見せるというのは一大イベントなわけです。

 陰毛がまだ生えてない、ペニスが小さい、皮が剥けてない、などで悩む人もいれば、逆に皆ツルツルなのに自分だけ陰毛が生えている、周りよりもペニスが大きい、自分だけ皮が剥けている、などで悩む人もいて、成長が早くても遅くても悩む人は悩むのです。もしかしたら女性も同じかもしれません。胸の成長は人それぞれで、小さくても大きくても悩める人がいるのでしょう。結局は他人との比較なので「自分は自分」と強い意志を持てる人なら良いのですが、中学生でそこまで達観できる人はほぼいないですし、いるとすれば何も考えてない人だったりします(これはこれで幸せなので良いと思います)。

 そういうわけで、多くの人たちは自分の下半身を他人に見られるのが嫌なため、基本的にはタオルで前をガッチリと隠していました。自分も洗う用と隠す用、タオルを2枚持参したのは良い思い出です。洗う時は椅子に座るのでそんなに見られることもないのですが、隣に人がいたら見られてしまう、それだけでも嫌なわけです。あとは脱衣所に戻る前にタオルで体を拭くよう指導されるのですが、この体を拭く時に下半身があらわになってしまう。この対策としてのタオル2枚でした。

 私が体を洗っていると、1人の級友がトランクスを穿いたままお風呂に入ってきました。もはや水着感覚です。彼は私のすぐ近くの洗い場に座り、トランクスを穿いたまま頭・体を洗い始めました。下は脱ぐことなく、タオルをトランクスの中に突っ込んで洗っていました。すると1人また1人と、トランクスを穿いたままの人たちが現れました。彼らは今で言う陽キャグループの人たちで、周りよりも背が高かったり髭が生えていたりと、偶然かもしれませんが、成長が早い人たちが多かった気がします。多分ですが、恥ずかしさもあったのだろうけど、一目置かれる存在だったので、好奇心の目で他人に見られるのも嫌だったのでしょう。皆同じように、下着を穿いたままの状態で体を洗い始めました。

 ここで事件が起こりました。隣のクラスの担任が入浴しにきたのです。その先生はバレー部の顧問で背が高く、年齢は20代後半、授業はともかく普段は良い兄貴的な存在として生徒達にそこそこ慕われていました。彼は下着を履いた生徒たちを見つけると「お前ら何考えてるんだ、脱げー!」と手当たり次第下着を脱がしにかかりました。フルチンの男性教師対トランクス姿の生徒5人という、訳の分からないバトルが浴場で始まりました。

 全く前を隠すことなく立ち回る先生は今思えば凄いですが、逃げ回る男子達との攻防を見守っていたので、どうしても先生のペニスが嫌と言うほど目に飛び込んできました。あんなにもマジマジと成人男性のペニスを見たのは、後にも先にもそれっきりのような気がします。ちなみにその先生のペニスは、ひょろっとした体にマッチして細長く、亀頭が小さくて陰茎よりも細い、先細りの形をしていたことを覚えてます。それでも当時、やはり大人の人は皮が剥けてるのかと漠然と思いました。

 実際には割とあっという間でしたが、(下着を穿いた生徒達にとっての)絶対に負けられない戦いが、そこにはありました。

 まず最初に入ってきた私の近くで体を洗ってた友人は、先生を見ると逃げるように脱衣所に戻っていきました。既に体を洗い終えていたので長居は無用だったのでしょう。「パンツ脱いで体拭け!」という先生の言葉にも聞く耳持たず、そそくさと風呂場から脱出に成功しました。生徒側、1勝。

 先生が最初に捕まえた生徒は、割と呆気なく脱がされ、多くの人たちが注目する中でペニスを披露することになってしまいました。すぐにタオルで隠すも、どうしてもトランクスを脱ぐタイミングで見えてしまったのです。彼のペニスは平均的、大きくも小さくもなく、皮は被ってたけど亀頭の膨らみが分かる、自分調べですが、おそらく当時全体の過半数がそんなものだろうと思われるペニスでした。生徒側の初敗北、1勝1敗。

 次に仕留められたのは学年でもかなりのイケメンで、同級生はもとより上級生・下級生から告白された回数は数知れずという友人でした。私も中学2年の時、部活の先輩にラブレターを渡すのを手伝ってもらえないかと頼まれたことがあります。そんな彼にも先生は容赦ありませんでした。意外とガッチリとした体つきだった彼のペニスは、やはりイケメン(?)でした。陰毛はそこそこ、色は黒くなく肌色で、やや細めでシュッとした印象。先生のに比べるとサイズも含めまだ中学生のあどけなさが残ってましたが、実に彼らしい綺麗なペニスでした。一度脱いでしまったら吹っ切れたのか、その後あまりタオルで前を隠すことはしていませんでした。生徒側連敗で1勝2敗。

 4人目は小柄ながらも老け顔の人で、周りからはおっさんと呼ばれてました。必死に抵抗を続け「先生ホントダメ!ヤバいって!」と叫び、最後まで必死の抵抗を見せてました。でも抵抗虚しく、派手なトランクスがずり下ろされることに。途中まで露わになったのはとにかく太いペニス。体毛の濃さから陰毛の多さは予想できたのですが、驚くほど太く、単一乾電池よりもはるかに太いと思ったほどです(正確には分かりません)。そしてさらに脱がされると、まるで後から付けたのではないかと思えるような、大きくて丸い亀頭が現れました。先生と比較しても圧勝、見た人全員がドン引きするぐらいの、極太ペニスでした。彼は「最悪マジ最悪」と言ってしゃがみ込み、そのまま暫く動かなくなってしまいました。試合に負けて勝負に勝つとはこういうこと、1勝3敗。

 最後の5人目は、先生と格闘している間にどういうわけか反応してしまったらしく、脱がされた瞬間上を向いたペニスがチラッと見え、先生も察したのか脱がすのを辞め「向こうで休んでろ」と言って解放しました。彼だけ遠い位置にいたので良くは見えませんでしたが、そんなに大きくなかった印象です。まさかの試合強制終了、1勝3敗1分(実質1勝4敗)。

 こうして絶対に負けられない戦いは、生徒側の完敗で幕を閉じ、それ以降も、トランクスをはいた生徒が一瞬浴場に入ってくるのですが、先生の姿を見てすぐに引き返し、タオルで前を隠して入り直してました。

 その後もしばらくフルチンの先生がいたからか、下着を穿いてくる生徒がいなくなったばかりか、前を隠す人も激減しました。大人がフルチンで堂々としている姿を見て、子供の自分たちが隠すのもどうかと思ったのかもしれません。大人の模範みたいなペニスがあると、ごく一部の例外を除き皆まだまだ子供ですから、一気にハードルが低くなったのかもしれません。

 なお修学旅行2日目は、私が入浴している間は下着を穿いたまま入浴しようとしてくる人もいなければ、先生が入ってくることもなく、平和に時が過ぎて行き、私の知る限り絶対に負けられない戦いの第二回戦は開催されませんでした。

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