男子と女子の羨ましかった話

 今思い出しても興奮してしまう、人から聞いた話があります。私はその場におらず、友人から聞いただけの話です。何かが違っていたら、私もその場にいたかもしれない。そう思うと、より一層強く興奮する、ということが中学時代に一度だけありました。

 中学3年生の文化祭準備をしていた時のこと。私たちはクラスの出し物の劇で使う小道具を、班に分かれ連日男女で協力して作っていました。普段の放課後は皆部活に行ってしまいますが、この時ばかりは教室に残り、せこせこと工作をする日々が続きました。

 私たちの班は男子3人に女子2人、ワイワイと話しやすい雰囲気でした。発泡スチロールを加工して、草むらや岩を作ってました。それまでなかなか女子たちと長い時間話す機会はなかったのですが、この時ばかりは、その鬱憤を晴らすかのように、作業をしながら色々と下らない話で盛り上がり、徐々に下ネタも出始めてきました。果たしてそんな話をして良いのか、手探りで確かめつつ、明日のことなんて誰も考えてなかったようにも思います。

 最初の際どい話題は、女子たちの胸のサイズでした。クラスの誰が大きいという話や、揺れると痛いという話の後「二人は何カップなの?」と平然と聞く友人に、私は心からの拍手を送りました。女子2人のうち1人は明らかに胸が大きく目立っており、もう一人はほぼ平でしたが、驚くことにその胸の無い子の方が「えっ、Bだよ」とボソリと答えました。私は耳を疑いましたが、特に見栄を張って嘘を言ってるようではありませんでした。もう一人の子は恥ずかしがり「やだよ、教えない」と抵抗してたものの、男子の粘り勝ち、Dカップであることを告白させることに成功しました。

 その後もしばらく胸の話題が続き、ブラジャーの話や、Bカップでも谷間はできる(本当か?と思いました)、と盛り上がりました。また、修学旅行では女子同士で野球拳をやり、Dカップの子は上半身裸にまでなったという告白には、男子一同興奮しました。

 気づけば女子のターン、男性器のサイズはどれくらいかという話になってました。私は胸のサイズの話から全くの無口になり、作業に集中するフリをして耳はダンボ状態でした。当時クラスの女子たちに大人っぽいと思われてた私は、下ネタに食いつく姿を見せたく無かったのです。

 男子の1人がこれくらいかな?、と指で表すと、女子たちは「えー」と驚くような困ったような顔をしてました。私は黙々と電熱線で発泡スチロールを切りつつも、チラチラと女子たちを見てました。するともう一人の男子が「これに(ペニスが)入るんじゃない?」と切り込みの入ったスポンジを手に取りました。「えーマジ?」と女子はより一層困惑し、「ここで入れてみる?」「バカ、汚いからやめろよ」などと男子2人が言い合ってました。

 私はとてもではないけど話について行くことができず、居ても立っても居られなくなったため、塾があるからと残りの作業を託し、一足先に教室を後にしました。その日に塾があるのは本当でしたが、まだ帰らなくても全然問題ない時間でした。とにかくその場にいることが耐えられなかったのです。聞けば他の班も男女で王様ゲームをするところがあったりと、文化祭当日が近づくにつれ男子と女子の距離が急速に近づきましたが、我々の班はその日以降何もなく、文化祭本番を迎えました。一度熱狂した変なテンションが、翌日以降も続くかというと、そうでもないというのとを、私たちは知らないうちに学んでいたようです。

 文化祭が終わり、撤収をしていた時のことでした。自分たちの作った小道具を各班で処分することになり、理由は忘れましたが女子2人はおらず、男3人で自分たちで加工した発泡スチロールを砕き袋に入れ、焼却炉に持っていきました。「あの時はエロくてヤバかったな」と一人が口を開き、もう一人も同意してました。女子たちとの下ネタ話のことです。私も、確かに際どい話したよねと言うと、何と私が帰った後にその続きがあったというのです。誰にも言わないという約束で、彼らは俺らだけの秘密だぞと、私が帰った後に起こったことを話してくれました。

 私がいなくなった後、できあがった小道具をしまうため、一時的に借りていた音楽準備室に4人で行ったそうです。その時、何と男子2人は自分たちのペニスを女子2人に見せ、その前に持ってたスポンジのスリットに入れて見せたとのことでした。どうしてそんなことになったのかまでは教えてもらえませんでしたが、順番にペニスを入れ、一人は入れたとき勃起してしまったとのこと。「こいつ勃ってやがんの」「うるせー」なんて話してましたが、女子2人に見られてるシチュエーションに興奮してしまう気持ちはよく分かります。

 興味津々の私は、それで女子たちはどうしたのか、何か言ってたのか、と尋ねました。結構マジマジと見られたとのことで、「黒い」「キモい」「デカすぎ」「変な形」などと言いたい放題言われ、その時はさすがに酷いと思ったそうです。なおそれ以上進展することはなく、反対に女子のも見る、という展開にもならなかったとのことでした。

 そんな話を聞かされ私も思わず興奮しました。中3で同級生のペニスを見せられる、しかも同時に2人から見せられるだなんて、彼女たちは一体どんな表情をしてたのだろうと、その場にいなかったことをひどく残念に思いました。

 ただし、もし私がその場にいても、彼らのように自分のを見せることは決して無かっただろうから、羨ましいと思う一方、その場にいなくて良かったという、矛盾した感情を持ち続けました。


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