『反転するエンドロール』再演記念!初演キャスト対談(後編)
映画館に併設されたカフェバー。けれどその中には、壁を隔てて二つの世界が存在する。
観客が主要な登場人物を担うという、非常に挑戦的な形態を実現するムケイチョウコクのイマーシブシアター。大好評だった『反転するエンドロール』の再演が決定した。
再演には、初演出演キャスト全員の続投が決まっている。
再演に向けて稽古の始まる前、ムケイチョウコク コアメンバーの内山智絵、『反転するエンドロール』初演時の出演者、監督役の市川真也、助監督役の生田麻里菜、カフェ店員役の手島沙樹に、全3回に渡って話を聞いた。
ラストとなる後編の今回は、【再演『反転するエンドロール』に向けて】。
まさかの配役変更となった手島と生田に、妻役がふたりになる市川。
再演に向けての想いを語ってもらった。
ムケイチョウコク
イマーシブシアターを独自の目線で探求するクリエイションチーム。
2022年、美木マサオ・今井夢子・内山智絵をコアメンバーとして発足し、『OneRoom⇔dramaS―落下する記憶―』『反転するエンドロール』を
制作。発足したばかりのカンパニーにもかかわらず、
熱狂的なファンを多く獲得し、今後を注目されている。
2022年秋の『反転するエンドロール』初演は瞬く間にチケットが完売。
多くの参加者から殺到した要望に応え、2023年春の再演が決定した。
初演と同じ東中野ポレポレ坐にて上演する。
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初演キャスト対談(後編)【再演『反転するエンドロール』に向けて】
《まさかの配役変更:生田》
——再演にあたって、配役が変更された方がいるとか。
内山:皆さんご存じですか?しんちゃんは監督続投で、まりーなに監督の妻を。
市川・手島:えー!!!(騒然)
内山:まりーなのやっていた助監督をしまさきにやってもらうというスライド配役になっております。
皆:(大騒ぎ)
手島:すごい!まりーな!すごい!まりーな!
生田:もうほんと…。智絵さんから再演やるけどどうですか?って言われて「めっちゃ出ます!」って意気揚々とお返事して、その後に、
内山:まるで騙し討ちのように(笑)
生田:「ところでまりーな、役が変わるんですけど」って後出しを食らいました。
皆:(爆笑)
市川:いやー!誰なんだろうなって思ってたの!
内山:そっか。しんちゃんも今初めて知ったのか。
市川:うん!
内山:再演は、前回シングルキャストだった3役(監督・監督の妻・博打打ち)も完全ダブルキャストにすることになりまして。既存キャストをほぼ同役に嵌めつつ、新キャストを入れつつ、どういうパズルをしたら素敵になるだろうって考えたとき、アンナに関しては、できそうな人を外から新しく連れてくるよりは「うん、まりーな♥」ってなりました
市川・手島:(爆笑)
市川:具合を知ってる人の方がね、確かにね
生田:ほんっとにっ、ムケチョさんがっ、ただで終わらせるわけはないってわかってはいたんですよっ。終わったときに自分がやったことを書いといてください、提出してくださいって言う宿題も課されてたんですけど、みんなで書きながら、「でもこれ書いたところでさ、ムケチョが絶対おんなじことやるわけないじゃん」って。
——だそうです、智絵さん
内山:んー?(すっとぼけ)
生田:「絶対これ通りやる人なんて、こんなおんなじことやる人なんていないじゃん」って言いながら、宿題を提出してたんです。
内山:ありがとありがと!
生田:で、まあ、「再演します」って言われた時も「いやぁどうせまた~」って。また不可能な課題を出して「やってみようぜ」とか言って軽々やるんだろうな~と思った一発目がこれだったから、もう!
内山:ね?一発目がだいぶデカいよね(笑)
《まさかの配役変更:手島》
内山:しまさきもね、さっきアリサはタイムキーパーで、「しまさきとみかしじゃないと無理だったよ~」って言っておきながらね。
手島:うん!
皆:(笑)
内山:まりーながアンナになってさ、次は助監督役。外から連れてくるよりは…「うん、しまさきだったらいけるよね!」
皆:(爆笑)
内山:「スライドに耐えうるのはお前だ!」ってなったの
手島:嬉しいんですよ?その信頼は嬉しいんですけどね?私もまりーなと一緒でアリサのつもりで「あーはいはい再演ね、OKOK」って思って返事したんです。でもアリサの2回目やるんだったら前回やったアリサじゃない子を連れてこよう(役作りとして)としてたので、役が変わるのはまぁ、それはそれでいいやって思ってたんですけど「まさかのレイちゃん!?」ってなって。「え、レイちゃん⁉」
内山:あの濃厚な体験をしてください
手島:ねぇ?アリサのとき、あんだけレイちゃんとあの登場人物役さんとのやりとりいじっておいて、まさか次は自分がいじられる側に回るなんて思ってないから。「やば」って思ってます。
内山:“どきどきコンタクト”を次はお客さまとできますね。
手島:なので!まりーなの話聞いてて、まりーな先生にちょっと色々教わろうって思います。教えてまりーな。
生田:私も教えて~。
《前世の元カレ元カノたち&ふたりの妻》
内山:お客様も多分、再演って聞いて、前回キャストがほぼ出るなら役も引き続きなんだろうなって思ってる人が大半だと思うんです。多分前回来てくれたまりーやなしまさきのファンの人は「別の役をやる…だ、と!?」ってなってると思う。
市川:絶対なってるよ!
手島:前世の記憶を持った元カレ元カノたちが存在するじゃないですか、この公演って。
生田:ほんとに。ただでさえそうなのに。
市川・内山:(笑)
手島:ね?だからその方たちには、また別のキャラクターとして、前世の記憶を持った状態で元カレ元カノやってほしいなって思いますね。
——そのぐちゃぐちゃ感はお客さんご本人もすごく楽しいと思いますし、それは他のお客様にも伝染していくと思います。ワクワクですね。
内山:しんちゃんはそういうことで、役は続投ですが妻が二人になります。
市川:ねー。二種類の妻が…えーもうっ!全然タイプが違うなぁっ!
生田:そうなんですっ。
手島:どんな気分ですか?妻が変わるって
市川:や、誰なんだろうって思ってたんだよ?ゆっこ(監督の妻を演じた大塚由祈子のニックネーム)はもともと知ってたし仲も良かったから全然大丈夫やなって思ってたんだけど。「わーもう一人って誰なんだろうなドキドキするなー」って、「仲良くなれなかったらどうしよう」って思ってた。まりーなって聞いて「良かった!」って、今めっちゃ安心してます
生田:頑張りまぁす…。
手島:ゆっこさん大丈夫かな(笑)
内山:「私の旦那に!」ってジェラシーモードすごかったもんね(笑)。
皆:(笑う)
内山:でも今回は監督も二人になるし。日程によってどういうシャッフルになるかはこれからなんだけど、楽しみですね☆
《再演に向けて》
——再演の稽古に向けて、今感じていることを教えてください。
市川:僕、終演後の宿題すぐできなくて、しばらく経ってから書き始めたんですね。そしたら「あれ?」ってなってるとことか、「なんで俺こう動いてたんだろ」ってもう謎になってるところがあって。なのでその辺がうまいことやれたらなって思ってます。それと、初演は曲を作りながら監督役と向き合ってたので(市川は劇中音楽も担当している)、なかなか時間が取れなかったところがあって。なので最初から監督のこと考えられるのは楽しみかも。
手島:私は前回アリサ役としてレイちゃんたちのやり取りをすごく見てたし、稽古の時はお客さん役として入ることもあったから、二人のやっているレイちゃんはすごく見てたんです。だからいいところはもちろん取り入れたい…んですけど!私台本通りなぞるの超嫌いな人間なんですよ!
——あ。それはもう伝わってます既に(笑)
手島:すごい嫌なんですよ!毎日毎公演同じ事やるのも嫌いだし、初演のお二人のコピーになるのは嫌だし、でもそもそも人が変われは役の人格だって絶対変わるから、私なりのレイちゃんを連れてこようとは思ってますけど…なんか一筋縄じゃ行かないだろうなって思ってます。ただ、深く関わる登場人物役さんと良い時間を作りたいですね。それは一番重要なことだと思うので。その登場人物役さんのためにできることをたくさん持っていこうと思っています。
——その登場人物役になった方が、ワクワクしちゃいますね。
手島:あ、そう!あとあれだプロポーズ!
生田:うんうん。
手島:私プロポーズされたことないんですけど(その登場人物役との1on1で課される)、あれって絶対、パワーがすごいじゃないですか。だからなんか、それを毎公演浴びるとどうなってしまうのかっていうのが…
皆:(笑)
生田:いやーもう…。また浴びたかったよぅ…。
内山・市川:(笑)
手島:あのふたりを見ていて「いいなー」「ずるいなー」「羨ましいなー」ってずっと思ってたから。
生田:ほんとに幸せだよ?
手島:まじかぁ~
内山:お客さんに課すミッションとしてはすごいよね(笑)
手島:しかもいろんな人のを受けるわけじゃないですか、そんなこと普通体験できないし!
生田:ほんとに。
手島:だから多種多様なプロポーズバイキングを味わえる!
皆:プロポーズバイキング!(爆笑)
内山:日替わりプロポーズ
手島:そうです!日替わりプロポーズバイキング!(笑)
市川:初演のとき、片膝ついてしてくれたお客さんいたよね?俺も「あ~♥」ってなったもん
手島:あ~♥そんなの感動して泣いちゃわない?大丈夫だった?
生田:いやもう素敵すぎて…。でも素敵すぎるのに次に進まなくちゃいけないから…
手島・市川:あ~。
——ムケチョの特徴の一つ。《時間に追われている》ですね(笑)
手島:(内山に)ねえさん!ワンオン※3分は短いです!
内山:そっかぁ~ごめん、でも上演時間がね、退館時間があるのでね、すいやせん(笑)
手島:プロポーズのとこだけ5分に!
内山:うーん、じゃぁね、調整を考えましょうかね。
手島:ありがとうございます!
皆:(笑)
※ワンオン《1on1》:キャスト1名が登場人物役のお客様1名と1対1で向かい合ってシーンを作ること
生田:私、アンナはゆっこさんていうイメージがやっぱり強くて、どう考えても今考えうる私の要素がないんです。でもさっきしまさきも言ってたように、私はゆっこさんにはなれないし、そこと向き合う楽しさを…うん。楽しみたいなって思っています。
内山:おお!
生田:たぶんムケチョと出会う前だったら、こういうこときっと嫌だなって思ってたと思うんです。でもムケチョだと「とりあえずまぁ、いけるっしょ」って(笑)。お客さんも我々キャストも全員を信じてくれる現場なので、私も来てくださるお客さんもムケチョも全員信じて、楽しんで臨みたいと思います。
内山:ありがとうございます。
生田:時間に追われると思うけど、それよりもそこを越えていきたいと思います!
——ムケイチョウコクの現場は、ポジティブ、というか、さらに広い意味のエネルギーが伝染していく感じがしますね
内山:えへへ。
生田:めっちゃ最高です
内山:いいひとを集められたというキャスティング勝利でございます
生田:それもムケチョメンバーの人柄というか、みんな単純に表現とか人を信じるのが好きな素敵な方が多いんだなって思います。
内山:えへへ。
——最後に、話しておきたいことはありますか?
手島:ムーブメント超苦手なので頑張ります!
——え、そうなんですか?
手島:ダブルがみかし(カフェ店員役の山本美佳のニックネーム)なのが良くなかった!みかしのほうがずっとダンスうまいんだもん!そんなみかしに勝てるわけがない!
皆:(笑)
内山:みかしはがっつりバレエ踊れる子だからね。でもしまさきダンス苦手だっけ?
手島:私、苦手だから人の4倍くらい練習して間に合わせてるとこある。
内山:努力家さん!
市川:リフトされるたびに絶叫してたもんね、最初の頃(笑)
手島:いや!あれ!まぢで一回リフトされてください超こわいんだから!ほんっとに!
内山:マサオさんも攻めた振付つけたなって思ってた。
——あれは観ていてとてもキュンキュンドキドキしました。
手島:貴重な体験でしたけど、もう二度とリフトされることはないので安心して臨みたいですね。
市川:わからんよ?前回しまさきリフトできてたから、レイちゃんにその振付が付くかもしれない。
手島:わかりました!じゃぁリフトできない衣装を着ます!リフトなしで!マサオさん!リフトなしで!なしです!
皆:(笑)
市川:再演、すごく楽しみです。アンナがまりーなだと知って安心もできたし。不思議なことに、ムケチョの公演をやったり稽古をやったりした後って、世界がすごく平和に感じるんですよね。人のやさしさみたいなものにめちゃめちゃ触れられている感じがして。お客さんともそうですしキャストのみんなも大好きなので、たくさんの人に観てもらいたいです。
あと僕の楽しみは、僕もダブルキャストになるので傍観者ができることです。
内山:ああ!
手島:ほんとだ!
——『反転エンド』のチケットは二種類あり、ひとつが作中の主要な登場人物になる《登場人物チケット》。もうひとつが《傍観者チケット》。傍観者チケットの観客は、作中の人物たちには『見えない存在』として、黒いケープと黒いマスクをし、会場内を自由に観て回ることができます。
市川:初めて!傍観者が!できるんだっていう
内山:シングルキャストだったから、初演の時は稽古でもずっと監督役しかやってなかったものね。
市川:これはもう絶対にやるんだ!って。再演決まって全員ダブルだよって聞いたときにすぐ「やった!傍観者になれる!」って思ったの。これはもうほんとに楽しみ。
——私は市川さんの傍観者を追っかける傍観者になりたいです。
手島:私はちょっとびっくりしちゃうかもしれない。「この時間にどうして監督ここにいるんだろう」って、きっとバグる。
皆:(爆笑)
内山:しんちゃんにはしっかり黒い仮面付けてもらおう。
手島:壁の隙間行ったり来たりしてるの見たらにやにやしちゃうな。
市川:だよね~。ほんとに楽しみ。なので!傍観者を頑張ります!
皆:(笑)
生田:私は前回はレイちゃんで、主に二人の登場人物役の方と密にかかわることが多かったんですが、アンナを見ていると今回はより多くの人と喋る機会が多いんだなって思います。なので、「みんなと関わっていくから覚悟しとけよ!」って気持ちです。
皆:(笑)
生田:観に来て下さる方とめちゃくちゃコンタクト取っていくので、よろしくお願いします!覚悟しててくださいね!
——楽しいお話をありがとうございました!
チケットの完売のみならず、多くの人のリピート欲を搔き立てた『反転するエンドロール』初演。切望と言っても過言ではない要望の声に応えてのこの再演で、さらに多くのファンが生まれることは間違いなさそうだ。
チケット発売は2023年3月11日(土)20時!
さらにムケチョのリアルタイムを発信するムケイチョウコクLINEオープンチャットconnectでは、先行抽選受付も!
詳しくは下記公演情報にてご確認を。
【再演『反転するエンドロール2023』公演情報】
『反転するエンドロール』2023
構成:今井夢子
ムーブメント:美木マサオ
演出:ムケイチョウコク(美木マサオ.今井夢子.内山智絵)&all cast
【会場】
Space&Cafe ポレポレ坐(東中野駅より徒歩1分)
東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル1F
【チケット発売】
一般(先着):3/11(土)正午より:チケット購入はこちら
connect先行(抽選):3/4(土)〜6(月)23:59:connect参加はこちら
【チケット】
当公演にはチケットが2種類ございます。
★登場人物チケット:7,500円
あなたは物語の登場人物です。
ひとりひとりに名前が与えられ、出演者はあなたに直接話しかけてきます。
登場人物として物語の中を生きることで、あなただけのドラマを体験することができます。
★傍観者チケット:5,500円
あなたは物語の傍観者です。
目に見えない存在として空間の中を移動しながら、
登場人物たちが繰り広げる物語を、自由な視点で楽しむことができます。
※それぞれのチケットに別途ドリンク代500円がかかります。
【Cast】
AGATA(Project UZU)
生田麻里菜(キャラメルボックス)
池田レゴ(ClownCrown)
市川真也(マサオプション)
大塚由祈子(アマヤドリ)
窪田道聡(劇団5454)
小島啓寿
小林未往(合同会社flipper)
佐野功
塚越光
手島沙樹
藤田祥
村上ヨウ(豪勢堂GLove)
望月 光(疾駆猿)
山本美佳
遊佐邦博(大統領師匠)
※ 各回8名が出演
【公演日程】
4/21(金)
4/22(土)
4/26(水)
4/29(土)
5/2(火)
5/6(土)
5/11(木)
5/13(土)
各回
19:00〜19:10 登場人物チケット 受付開始
19:10〜19:20 傍観者チケット 受付開始
登場人物と傍観者それぞれの物語の楽しみ方をご案内したのち、開演となります。
終演は21:15を予定。
終演後30分程度、会場内にてドリンクを飲みながらおくつろぎいただけます。
【ステージ別出演者】
下記画像をご参照ください。