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掌篇・短篇小説集

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#青山羊派

短篇小説『臘月の人魚』

 すでにエレキの断ち切られた部屋にいるからか、白ペンキの剥げかけた洋窓から灰色の光がそそ…

武川蔓緒
10か月前
28

短篇小説『異人たちの八月』

『平和』とはんぺんに焼印されている。  遥か昔からあるもので、ほんとうの読み方は逆、『和…

武川蔓緒
11か月前
29

短篇小説『現場からは異常です』

【毎度馬鹿馬鹿しいお話で。  ちょっとお下品です(当社比)。  お気をつけてお読み下さいませ…

武川蔓緒
1年前
22

掌篇小説『Z夫人の日記より〜回覧板』

5月某日 慢 日曜。 今日は事務所の連中で草野球をしているが、私は出場も応援もサボり、電…

武川蔓緒
2年前
18

短篇小説『ガラスの手〜Z夫人の日記より』

<6月某日>  ガラスの手をあずかる。  男か女か判然とせぬ、右の手。そう若くはないよう…

武川蔓緒
1年前
22

掌篇小説『箱の父』

 父が季節外れの冬眠にはいった。  本人の老いと、昨年が暖冬だったのにくわえ、このところ…

武川蔓緒
1年前
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短篇小説『軀と歌だけの関係』

 或る合唱団の公演に欠員が出て、その音域パートがどうしても足りないということで急遽、私は呼ばれた。  ながい病院暮しを終え、願ってもない仕事であった。  かつての仲間も聴衆も、私自身ですらも、私の音楽を忘却していた。  それでも。ハ長調のひとつも響かぬ、浮世より隔離された空間で、声だけは衰えぬよう、心がけてきた。  当日朝。  その県でいちばんの都市。  リハーサル。  まだ誰もいない客席が紫の扇となってひろがる、岩のようにごつごつとした白壁の、ホール。歌声をあてる。

短篇小説『第十位』

午后、八時。 一寸の狂いもなく、舞台中央にちいさなスポットライトが撃たれる。両手に桃色の…

武川蔓緒
1年前
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