満月の夜に奇跡を起こした神様

おそ松さんあたりからコナンの現在、バイト先の劇場は大繁盛。

ドラえもん観るお子様方より、学生あたりのポップコーンの散らかしの様、持ち込み禁止のはずの他店のテイクアウトのゴミのヤバさ、それを分別しながらチリトリホウキと消毒液を両手に掴み小走り回る自分。時給を鑑みるととてもじゃないがやってらんねー使われようだが、自分はそうは思わない。

真っ暗な劇場の中を音を立てずにダッシュして手すりを消毒して往復してる私をみた先輩が、びっくりしたーとひいていたので、「自分は自分を、飼い主さんの　go!の合図で障害物を飛びながらタイムを競う犬だと思ってこのバイトをしてるんです」と言ったら、よくしゃべる犬ですね、と笑ってた。

今日仕事終わればモービウスを観ると決めていた。疲れ果てて観るのにちょうどいいのと、他にちょうどいい時間の上映作品がないから、頭の中はモービウスだったのだ。

バイトを終え、無料鑑賞ルールに添い、上演10分前にマネージャーの許可をもらいにいった。
スタッフ鑑賞の席をマネージャーのパソコンで押さえてもらうためだ。

最近転勤してきたマネージャーに申請すると、席を選ぼうとした私に、彼は「モービウス、お客さん0ですね、ルールで観れませんね」とものすごいあっさりといった。

お客さんが0だと投影を消すため、確かにルールである。

げ、運がない今日の自分、なさすぎ、とマネージャー室をでて、ロビーでボーっとした。

足が棒だ。心は折れた。他に上映してるもの、、、レイトショーは明日仕事だから無理、そしたらコナンしかない、、。コナン、あんまし今日の気分じゃないんだよね、、、

研修期間中も好きだから自腹で映画をたくさん観たため、マイルがたまり、1本は無料で観れる。だがそのジョーカーは、トップガンの公開日に使う、と決めていた。でも。今日モービウス観たかったから、自分のマイル使って観るか。マイルの画面で最後方ど真ん中の席を押さえてみたが、我にかえり、イヤイヤ間違いなく公開日のトップガンだろう、と戻る戻る戻るでスマホを閉じた。

コナンしかない、コナンかあ、とマネージャー室に再入場し、さっきのマネージャーに申請すると、自分退勤なんです、て帰ろうとしてる。

、、、、、なんだよ冷た過ぎ。

向こうから別のベテランマネージャーが、こっちおいでーと呼んでくれ、何観るの？コナン？そもそも何が観たかったの？と聞いてくれた。

モービウス観るつもりでバイト頑張ったのに、頭がモービウスなのに、コナンしか観れんのですよ、といったら、

ベテランマネージャーが座席画面をみて、「おや、一人お客さん席とってるよ、(私)さんモービウス観れるじゃん」という。

マジで！その人神さまじゃん！神様はいるわ、私ついてるぜやったーと大喜びの私。

ベテランマネージャーが、よかったねえ、と座席を選んでくれる。自分は神様の邪魔にならない様視界に入らない席で、と希望して端っこ押さえてもらい、スクリーンに早足でいく。

上映は始まっており、真っ暗闇で神様の姿は見えない。静かに席につき、モービウスを楽しんだ。

上映が終わりエンドロールで席を立ち神様を拝もうと座席を見渡すが、神様は、、？自分以外誰もいない。ん、ほんとにいないのではないか？

帰りの車でよく考えた。そしてわかった。
貯めたマイルで座席を押さえて、完了しなかったから座席が仮押さえになり、ベテランマネージャーの画面でお客さんいる設定になっちゃったんだ！

神様は自分だった。
意図せず奇跡を起こしたのは自分だった。

聞かれたら神様は姿がないオバケだったとマネージャーには言おう。

ははは。ラッキー　✌️わざとじゃないからラッキーてことでよし。