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オランダ移住日記

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オランダに移住予定の編集者がビザ取得や仕事、語学など、準備のあれこれをシェアするマガジン🇳🇱
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#メディア

社会のおカネの流れを追う。会員2万人超えのオランダ独立調査報道メディア「Follow the Money」

先日、オランダの独立調査報道メディア「Follow the Money」の会員が2万人を突破したというニュースを見かけました。 名前が示す通り、彼らは「経済や金融財政において不正を働き、社会に負の影響を与える人やシステム、組織」を調査するメディアです。決して金融市場や経済を報じるわけではなく、テクノロジーや教育、ヘルスケア、食品、医療、環境など。あらゆる分野におけるカネの流れを厳しくウォッチしています。 例えば、彼らがオランダのジャーナリズムアワード「The tile」を

オランダメディアとCOVID-19についてのメモ

オランダでは、2月末にCOVID-19の感染者が初めて報告され、3月頭には外出制限や休校などの措置が速やかに行われました。以来、大手メディアも新興メディアもCOVID-19にまつわる報道一色です。 いくつかのメディアをウォッチしていると、個々の事象をつなぐ文脈を伝えたり、心が上向きになるニュースをまとめたり、試行錯誤しながらCOVID-19を報じていることが伺えます。気になったものを書き残していこうと思います。 De Correspondent 新興メディア「De Cor

民主主義をどう生きるか?オランダのジャーナリズム集団によるポップアップミュージアム

先日、オランダのジャーナリズム集団「Bureau Boven」が手がけたポップアップミュージアム「HOW TO SURVIVE DEMOCRACY」に行ってきました。 必死で生きた市民と、巧みに生き抜く独裁者マーストリヒト市のショッピング街「Mosae Forum」に設置されたミュージアムに入ると、展示の意図が次のように説明されています。 この数十年間、ヨーロッパにおいて民主主義は不可欠だと考えられていました。しかしここ数年間で、多くの市民は民主主義のルールをあまり重んじ

ジャーナリストへの暴力にどう立ち向かうか #FPLive2019

今日は、暴力や脅迫に屈せず報道を行うジャーナリストを讃えるアワード「Free Press Live 2019」に行ってきた。 近年、ジャーナリストへの迫害や暴力が加速している。この10年間で殺害されたジャーナリストは318人。そのうち加害者が法の裁きを受けたケースはたった14%だったそうだ。昨年には、著名なサウジアラビア人ジャーナリストが殺害され、彼を含むジャーナリストたちがTIME誌の「今年の人」に選出されていた。 今日話を聞いていて、これらが決して政治情勢の不安定な国

非公開Twitterを運営する司法ジャーナリスト

先日、オランダの新興メディアを支援する財団に取材をした。その際に教えてもらったのがChris Klompという司法ジャーナリストだ。 彼はメディアへの寄稿やラジオ出演の傍ら、非公開のTwitterアカウントで裁判の様子を日々レポートしている。同アカウントは月3.9ユーロを払ったユーザーにのみ公開される仕組み。2014年に“実験”としてアカウントを開設し、現在349人のフォロワーを抱える。 オランダのジャーナリストは多くがフリーランスとして働いている。リアルタイム性の高いコ

非ネイティブのライターが英語取材に臨むための準備

ライターになってから、ありがたいことに英語で取材する機会を何度かいただきました。 英語のポッドキャストも日常的に聞いているし、会話もそこそこ大丈夫なはずだと思っていました。しかし、初めて英語取材をした日は何を話したか覚えてないくらい緊張し、ふと浮かんだ疑問や仮説を精度の高い語彙で表現できず、日本語よりも圧倒的に脳が疲れて後半は頷きマシーンと化しました。まじで荷物をまとめて田舎に帰ろうかと思いました。 とはいえ、何度かやっていると慣れてくるもので。特に、やるべき準備が整理さ