雑草園対雑草征服王(?)

 私は雑草園が好きだ。今は庭一杯、関西たんぽぽが頭を並べて笑っている。もうすでにほたるぶくろも地味な白い蕾をつけている
庭のあちこちにはツツジ、野バラ、紫陽花、百合、萩などが、次に来る自分たちの出番を心得顔てひしめいている、
 雑草園の主というのも,胆力というか度胸がいる。
庭仕事が好きな友達などは、わが 雑草園を眺めると、明らかに眉を曇らせて、手のあたりをさすっている。(草を抜きたいのを、我慢をしているのね。)
 「人の一生は重き荷物を背負いて、長き道を行くが如し」という徳川家康の言葉がある。
 二年くらい前からか?草がぼうぼうと生えた土地に座り込んで、せっせと草を抜いている人を見かけるようになった。
真赤なスポーツカーを止めて、一人でただ黙々と草を抜いている。
 雑草園の主としては、かなり、驚きの視線でその背中を眺めてしまった。   
 荒々しく茂っていく草群に対抗している姿を見ると、その背中のあたりに、家康の家訓がそびえているように見える、
私は草との「仁義なき戦い」に素手で挑む男性を、「家康さん」とか「徳川さん」などと密かに呼ぶようになった。二度の暑い夏が過ぎ、寒い冬を迎えても、徳川さんの開拓者精神は少しも衰えることがなかった。
ついに征服の日が来た。
 青々と広がった芝生の横に、緑の大きなパラソルも持ち込まれた
 家康さんは椅子に座って、悠然とコーヒーを呑んでいる。
私は少し心配をしている
どうか、私の雑草園が見つかりませんように。

不意に顔をあげた記憶のごとくかきつばたひなたに昏し
夜に光るものなべて幻 かきつばた火薬のごと一色に鎮まる
日の照りをひとところに花菖蒲気のおとろへし五月の思案

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?