出生時間がわからないときのネイタルの読み方。

ご相談をくださる方々に多いのが「ご自身の出生時間がわからない」ということです。
これは意外に多いものです。
母子手帳を見ればわかるのですが、いろんな事情でご覧になることが難しいということも往々にしてあります。
そんなときにでも、占星術のチャートを出してネイタルを読みたい。そんなときの対処法です。
ちなみに私の場合であり、ほんの一例なのですが、それでもわかりやすい方法だと思うので。

ハウスシステムに関しては、たくさんの出し方があり、また解釈法や長所短所があります。
今回のこの記事に関しては、たくさんのハウスシステムを考慮せずに、簡単な方法で解決します。

私が使っているのは基本的にプラシーダス。ただしこれでネイタルを出そうとすると、出生時間がわからない場合にはアセンダントとMC、その他いろんな感受点を出すことができません。
アセンダントやMCに関しては、実はネイタルにおいて決定的な部分を担っているのですが、出生時間がわからない場合に関しては読み解くことができないのです。

そんな場合は、「ソーラーサインシステムハウス」という手法を使いましょう。「ソーラーサインハウスシステム」という名前で呼ばれたりもします。

これはアセンダントに太陽のサインを持ってくるものです。たとえば双子座の太陽を持つ人のアセンダントを双子座にするのです。これは双子座0度です。ここからサインの30度分割のまま、ハウスも解釈することになります。
双子座0度をアセンダントとして双子座が1ハウス、続いて蟹座を2ハウス、獅子座を3ハウス、というふうに、順番に出していきます。

その際、天体図での天体もそのまま記入していきます。たとえば、月が山羊座にあれば8ハウスになると思います。では水星は、金星は、火星は。そういったふうに、そのまま出していきます。
パソコンやスマホでチャートが出せるなら、時間を調整したりして太陽のサインの0度が東の地平線になるよう持ってきてしまいましょう。
そうやってチャートを作り、進行図はともかく経過図を重ねていけば、おおよそのものは読むことができます。そのまま出生時間が判明しているネイタルと同じように、ざくざくと読んでいきましょう。
ただし、少しだけの注意点があります。

まず問題になるのは、月のサインの読み方です。
月は1日に13度ほど進んでしまいます。サインはひとつ30度ですから、出生時間がわからない場合において、月のサインが曖昧という事態はかなり発生します。
しかし「月の性質を読まない」ことで問題は解決します。つまり、出生時間のわからない人の性格判断をしようとしない、ということです。そうと言っても、だいたいの月の場所はわかるので、過去の経過図を重ねてみたり、相談者さんの受け答えから、だいたいこっちかな、という感触は慣れてくればある程度はわかったりします。でもそれを過信してしまうと間違いの元になりますので、そのあたりは自分の直感を重要視しないようにしましょう。

月のサインが分からなくとも、1日違いの位置さえわかってしまえば、経過図を重ねて運勢は読み取れます。精度は出生時間がわかっている場合よりも落ちるかもしれませんが、ちゃんと読み解けます。アスペクトも有効に使えます。とくにコンジャンクションやオポジションに関しては非常に有意義ですが、人によってはスクエアになった時の方が敏感に察知する場合があるので、これは少しずつ適応していくと良いと思います。

さらに、経過図を重ねる場合、繰り返しますが、ある程度は割り引いて読むことです。たとえば10ハウスに天体がある場合、それは非常に有効な配置ではありますが、ここで10ハウスだからといってそのまま強く読まないこと。10ハウスには社会的地位という意味がありますが、これを弱めることです。大なり小なりの立場に関する事例、くらいで解釈することをお勧めします。7ハウスであればパートナー運ですが、一緒に過ごす人との関係、という感じで、少しだけニュアンスを弱めましょう。その人は配偶者かもしれませんし、家族かもしれないし、お友達かもしれません。そういった感じで7ハウスを解釈するのです。そうすれば、このソーラーサインシステムハウスの意義が存分に発揮されます。
すごく曖昧な感じを受けるかもしれません。でも占星術における事象は多岐にわたるので、ソーラーサインシステムハウスおいては、このくらいがちょうどいいという実感みたいなものが私にはあります。

なお、お昼12時の図を出して読み解く方もいらっしゃいます。でも私の場合は後述しますが、それほど重要視していません。それより太陽を1ハウスとした方が読み解く方が容易です。

アセンダントを太陽サインにして、イコールハウスで割ってしまうという読み方は強引かなと思われるかもしれません。しかし実際のところ、これが非常によくわかるチャートになります。もし興味があるなら、ご自分のネイタルをソーラーサインシステムハウスで読んでみてください。そして過去の経過図も重ねてみましょう。出生時間がわかるチャートよりも精度は曖昧ですし、エッジが立った読み方ができるわけでもありません。でもなんとなく、ああこういう感じだったな、ということが、ちょっと手元に降りてくる感じで読み解けるかなと思います。

なぜ太陽サインを1ハウスとしたものがネイタルとして使えるのかというと、これは太陽のサインを生きているから、ということに尽きるのではないでしょうか。
12サインには表のものと裏のものがあります。サインは「ひとつ前のサインを否定あるいは熟知し、やり終えてから次のサインに移る」という考え方があります。太陽のサインはその人にとって生き方ですから、どんなサインのどの度数で、どのようなアスペクトがあったにせよ表の顔になります。太陽ですから表にならざるを得ないのです。人によってはこれを隠す生き方もあり、その場合はやや複雑になるのですが、「太陽を隠す」という意味においては表になるのです。それを他者に知られるかどうかは問題ありません。「隠す」ということを主眼に据えたという本人の強い意志が太陽の「表の顔」の働きとなるのです。
それが1ハウスの「素のままのあなた」ということに合致しやすいのですね。

そうすると、1ハウスの前の12ハウスは「隠されたハウス」です。なぜか隠してしまう、あるいは隠れてしまうわけです。1ハウス太陽において12ハウスは克服し、あるいは否定し、または理解して1ハウスに移行しているはずなのですが、表の顔の1ハウスからみた12ハウスというものは、たとえば「脱皮した後の抜け殻」のようなもので、今の状態からすると「過去の遠いもの」なのです。今の自分とは決別したものなので、今の自分が表に出るためには12ハウスを否定あるいは理解しなければなりません。
1ハウス太陽という絶対的な存在の前で、12ハウスは陰に隠れるのが自然なのです。

でも12ハウスを主題として生きることも往々にしてあることと、占星術というのは12サインあるいは12ハウスをめぐる旅のようなもので、このすべてを網羅し、あるいは包み込んで生きるという主点があります。少なくとも私はそう思っています。抜け殻のような今では遠くなってしまったものを理解し、自分のものとして内包するという生き方を学ぶことが占星術の大きなひとつの意義だと私は思っているので、やはり1ハウスを太陽としてチャートを読むという意義は、意識している以上にとても大きいのではないでしょうか。

そこで前述したように、私がお昼12時のチャートを出してネイタルとしない意味がお分かりいただけたかなと思います。そこには太陽の輝きと意義が大きく関与しているのです。
太陽は、その人が生きるための意志。それを強調したうえでの読み方、ということですね。

実際のところ太陽を1ハウスとした方が解釈しやすい点も大きな原因なのですが、突き詰めると私にはこのような理由になったので、出生時間が不明な場合はソーラーサインシステムハウスを採用することをおすすめします、というお話でした。

ハウスシステムに関してはたくさんの考え方がありますので、ぜひいろいろとお調べになって楽しんでくださいね。

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