2023年を読む

風の時代と言われる場面が増えたのは、一体いつのことだったでしょうか。
グレートコンジャンクションあたりかな。
2023年は冥王星が水瓶座に移る時期があるので、いわゆる本格的な風の時代を垣間見ることになるのですが、2023年のうちに逆行してまた山羊座に戻るので、まだ序の口です。
 
私自身、実はあまり風の時代という言葉が好きではありません。
これは『いやそんなこと言ったって時代はいつも変わっているし』という一点で語りつくしてしまう勢いなのですが、だってそうでしょ。いわゆる風の時代というのは、もっと前からその兆候はあったんですから。じゃなきゃパソコンもスマホもこれほど普及していません。情報と交流によって、人すべてが同じような発信源と受信を持つのは、本当に風の時代だからこそです。だからこそ、いまさら風の時代と言われてもねえ、という本音があるのです。
 
私はネイタルの風要素が過剰なのもあって、個人的に風だからどうこうというのにピンときません。欠乏していたら敏感になるでしょう。実感としてネイタルに水要素がない私が「こりゃあかん」と思う瞬間は、トランジットが土と水で塗られ染められている瞬間です。かろうじてネイタルに土要素はポツポツとあるので、なんとかやれているだけにすぎません。あとハウスか。でも「あかん」と思おうがなにをしようが、そのときどきで補填のような働きをしてくれます。
 
欠乏という意味での調整が、そのときにはあるのです。場合によっては渇望すら感じるかもしれません。
欠けているから敏感になるし、過剰であればあまり気にならない。この場合の「気にならない」というのは、自覚していない場合があるということです。このバランスはチャートを読むうえで重要で、偏りのあるネイタルを持つ方々であるなら、ある程度はなるほどと思っていただける確信にも似た感触はあります。
ネイタルに長所も欠点もありはしません。どう活かせばいいのかだけ、それは存在するのです。

もしあなたの風要素が欠乏、あるいは弱いなら、風の時代に関しては抵抗感があるかもしれません。抵抗感というより、言いようのない恐れ、みたいな感じです。占星術をお勉強しているなら、なんだか怖いことが書かれているものを読んで、ちょっと困ったなと思われる向きはあるでしょう。
でも心配することなどありませんよ。あなたのネイタルで他の強い要素はなんですか?風が弱いなら、他の要素にたくさん天体があるのですよね?じゃあその要素と風要素を混ぜればどうなりますか?ハウスはどうでしょう?
火が強いなら、あなたは風の働きを受けて走り出します。地が強いなら、暴風にビクともしない土台固めを。水が多いなら、もっと水を使いこなせるチャンスになるでしょう。湿り気の多いネイタルに風を通し、水を求める風の拠り所になれるはずです。
このように活かし方というのはその時々にあるものなので、なにもどうしようと悩む必要などありません。考えたらいいだけです。
 
ではそんな2023年、いったいどういう方向性が見えてくるのでしょうか。
 
まず春分図ですが、アングルが活動宮で占められているため、かなり賑やかな年になりそうです。話題に事欠かない年、なにかが動き出す年。木星がアセンダントと合、しかし主要天体とはノーアスペクトなので、楽観的な見通しが暴走するでしょう。なんとかなるじゃないの、という空気感です。ものすごく深刻なことに気付かない、あるいは許容する。これは太陽が12ハウスであるということにも共通するのですが、なかなか表に現れてこないのです。サイレントマジョリティーという言葉がありますが、それがそのまま通用します。しかしその声にならない声が主体なので、いきなりの方向転換などは起こりやすい。気が付いたときにはなにかが変わっていた、ということです。これはMCが山羊座であり、ルーラーが魚座で12ハウスのカスプ上にあることからもわかります。社会的なところが秘密裏で変わるのです。ただし山羊座や土星なので、最終的にはきちんと形になりますし、こうなのねという方向性は見えてくるものです。過程が見えなくとも結果が見える、という感じです。主要天体が5つも12ハウスにあるので、秘密裏とか陰謀とか、とにかく一般的な感覚とはちょっと違う流れになりやすい。月も魚座で12ハウスにありますから、それは許容されるでしょう。ただしこの月は双子座3ハウス火星からスクエアなので、かなり面白くないと思える向きはありますね。ちょっと考えたらおかしくない?というツッコミは入りやすく、細かな修正を余儀なくされるでしょう。なお10ハウスには山羊座冥王星がありますから、最終的な輝きというか、最後通達みたいな感じでドンと迫ってきます。言うこと聞いてね、ということで表に出します。ただし繰り返しますが山羊座の最終なので、牡羊座0度の太陽とは角度的にはセクスタイルですから、その気になれば手を組める。でも12ハウス太陽ですから、話は分かるけど、という感じで全肯定にはならないだろうな、という感じです。もしタッグを組むなら隠れたところで話を通す必要があります。なんせサイレントマジョリティーです。きちんと頑張るなら3ハウスの双子座火星からのツッコミを受け付けなければなりません。しかし冥王星と火星はクインカンクスですから、冥王星と擦り合わせる必要が出てきて、それはなかなかストレスになるでしょう。月がスクエアですからね、なかなかスムーズには進みません。というか通したくない意志がある。でも結果的には白旗を上げるんですけれど。
ちなみにこの春分図は日本で作成していますから、日本国内の話です。
 
この春分図を個人的な解釈に落とし込むと、個人として頑張りましょう、ということになります。基本的にネイタルとの兼ね合いを考慮していただきたいのですが、それを差し引いても、あんまり対外的なところではなく、しっかり自分で身を守るとか、まわりをアテにしない。やれるところは自分で頑張る必要があって、あれこれ試行錯誤をしながら進んでいく、という感じになります。繰り返しますが3ハウス火星は重要です。この火星がネイタルのどこにあるのかを考えてみましょう。この火星を活かすにはどうしたらいいか。天王星以遠は長いことそこにあるから、もうだいたいの感触や使い方はおわかりになっていると思います。ピンとアンテナが立つのは火星なので、どう受信して発していくかという問題になると思います。
 
そもそも今年は冥王星が水瓶座に入るので、ちょっとした工夫は必要になるのですが、冥王星はギリギリにならないと効力を実感できないので、そこまで追い詰められることがある、あるいは主要天体あるいは感受点が風要素の初期度数にあるなら、わりと早い段階で実感できるかも、という形になります。
ただ水瓶座に冥王星が入ったからと言って、いきなり変わるわけではない、ということは覚えておくと良いと思います。だって、また逆行してすぐ山羊座に帰るのです。今年はまだ予兆というか、足慣らしみたいな感じですからね、具体的にどうこうという感じにはなりにくいですけれど、まあなんとなく流れは違うぞという読み方をするといいかなと思います。
でも見逃す手はない。
というのもこの時期の配置が強いからです。
 
5月には木星が牡牛座に入ります。勢いで進めたものが形になりやすくなり、牡羊座木星の漠然とした高揚感とか幸福感を、きちんと現実のものにしたくなります。しかし実はもうこの時点で冥王星は水瓶座にあり、なんとスクエアなのです。木星と冥王星のアスペクトは限りのない拡大ですが、スクエアは過剰になりすぎる。権力者の暴走、新たなムーブメントに対する抵抗感、まだ踏み止まろうとする意識。もしネイタルで土要素の初期度数をお持ちなら、木星に全振りしない方がいいです。むしろ風か火のサインに乗るようにしましょう。幸か不幸か、このあとすぐ火星が獅子座に入り、冥王星とオポジションになります。ということは牡牛座木星とTスクエアになるので、木星は忙しいのです。なんとかしようという意志は木星にはありません。ただ受け入れて拡大します。だからこそ冥王星火星ラインがネイタルのどこを通るのかで見た方がいいと思います。
 
ちなみに冥王星は3月下旬に水瓶座入りしますが、あっけなく6月11日には山羊座に帰りますので、しかも10月に順行に転じても2023年中には水瓶座に入ってこないので、最大瞬間風速を感じるなら、この5月の木星牡牛座イングレスがわかりやすいと思います。この時期を見逃さずに過ごしてくださいね。
 
あとは土星かな。3月初旬に魚座にイングレスです。この土星、逆行こそすれ水瓶座には帰りません。もしネイタルで柔軟宮初期度数に個人天体を持つなら、その天体に関するメンテナンスが必要になります。ちょっと方法とかを考えてみてください。もちろんプログレス天体も考慮してくださいね。着地点を変更しようが、経過を模索しようが、土星はしっかり土台を築いてくれます。もし変更になるなら、前の案や予定は必要のないものなのです。時流に乗るなら変更と模索。
これがテーマになるでしょう。
 
ざっと2023年上半期の星だけで見てみましたが、まあ変わるよねという感じではあります。それが突破口とするなり、ちょっとした違和感となるなり、それぞれだとは思います。
けれども恐れるなかれ、星は地球になにがあっても動いてくれますよ。
 
みなさまにとって2023年が実りの多い年になりますよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?