進行図 読み方のコツ

西洋占星術には三重円という考え方があります。
ネイタル(出生図)、トランジット(経過図)、そしてプログレス(進行図)。
お手持ちの占星術チャート作成のソフトやウェブサイトなどで確認してみてください。プログレス(進行図)という項目があると思います。

この三重円の素晴らしいところは、とりあえず基本的なところは何でもかんでも分かること。
ただし出生時間と出生地を明確に知っていることが条件です。

ちょっと誤解を受ける書き方なのかもしれませんが、占いには「命」「卜」「相」という考え方があります。命は生まれ持ってきたもの、卜はその場の瞬間に出るもの、相はその人が後天的に培ってきたものとか生まれた後に付けられたもの、ということです。
これが三重円にも当てはまるのではないかと思うのです。
命は出生図、卜は経過図、相は進行図。

命と卜は疑いようもないのですが、相はちょっとニュアンスが違うかもしれません。
これから書くことは、あくまで私の体感のようなものです。

相と言うのは、たとえば姓名判断とか人相あるいは手相などが挙げられます。これは後天的に変えられる(名前は自分の意志とは無関係な付け方をされますけれど芸名ならアリ)ものですね。人相も手相も頑張れば変わってきます。そういった、その人の年輪のようなものが分かるのが相、と私は思っています。

それで西洋占星術での進行図はどうかというと、これは1日1年法のように、やはり星の位置で占います。だからこれは個人の力では変えられないものなんです。でも進行図は、実はその人の気持ちがハッキリ出ることがあって、そういった意味では相に近いのではないかと私は思います。

人相や手相は、その人の気分とかノリのようなものが出てきます。すごく明るい感じであれば明るく見えるし、停滞しているならそれなりの相として現れます。これが占星術でも同じで、星の位置によって、今の状態ならこういう内面なんだろうな、ということが分かる。ちょっと生まれ持ってきた路線と違っていますよね、というのは進行法の醍醐味です。
そういった意味で相に近いのではないのかなと思います。

たとえば具体的な会話で
「私こういう性格なんだけどさ(出生図)、なんだか今こういうふうに思えてきてて(進行図)。でもなかなかそういうチャンスが来ないんだよね(経過図)。」
と言う感じです。
一概には言い切れませんが、基本的にはそんなニュアンスで三重円を読みます。

占いは命、卜、相が読めれば、もう大丈夫なんじゃないかな。
風水などもありますけれど、あれは環境そのものを扱うので、やや違ったアプローチとなります。そういうのを無限に組み合わせるとね、開運法とかいろんなものが分かってきます。

だから三重円が読めれば、もうその人がどういった状況で生きているのか、そして生かされているのか、今どうすればいいのか、どうやればやりやすいのか、というところが徹底して読めるんですね。

出生図はその人が持ってきた性質。
経過図は今の段階での環境。
進行図は、今の段階での気持ちや状況。

そのように読み解きます。

前置きが長くなりましたけれど、実際に進行図という読み方をどうすればいいのかということです。

進行図は1日1年法を例にすると、出生図の天文歴を1日進めると現実時間を1年進行することにします、という考え方です。これは個人の経験などを加味する意味です。
成長したから次がある、という感じですね。もうひとつ次へ進みました、という。

でもそうなると、なかなか進まない天体がありますよね。たとえば木星以遠は進行図にしても全く動かない場合があります。さらに出生図で逆行していた場合、サインを越えて遡ってしまうことだってある。こうなると書き換えが起こり、ちょっと新しいことをしようと生まれてきたものの省みて頑張っています、みたいなスタンスになります。

だから進行図で読めるのは、基本的には火星まで。太陽、月、水星、金星、火星までが進行図で読める天体と言うことです。そのほかの天体はサインやサビアンシンボルが変わった場合に読みます。

さて、火星からこちら側の天体は、進行図でどう読めばいいでしょう。

結論から言うと、進行図は太陽と月をガッチリ読めばいいかと思います。水星は考えるポイント、金星は楽しいポイント、火星はやる気や元気が出るポイント。そういう感じで読みますが、太陽と月はそうはいきません。特に月です。

進行の天体が出生図の天体とアスペクトしていたり、経過図の天体にヒットしている場合は大きな影響があります。
月はその人の受け皿のようなもので、天体の影響を一身に受けて進む性質があると思います。経過図ではその性質が月に顕著に反映されるので、その人個人がどうしようかなと考えるような、気分的な流れを示します。基本的な性質の出生図はそのままですが、その瞬間の気分までは読みにくい。そこで進行図や経過図が必要になるわけです。

とくに月の状態は非常に参考になります。出生図に重ねて進行の月のサインを調べると、今のその人自身のムードというかノリが分かります。右半分に進行月があれば「どんどん外界に自分を出して行きたいのね」とか、左半分にあれば「あーちょっと内にこもっていたいよね」とか。一方で、結果としての社会的なコンディションはチャートを下半分と上半分に分けて考えます。

たとえば進行の月が右半分にある場合、その人が社会的な地位の獲得を目指して動こうとします。そしてDCから進行月が上に出ると社会的な地位が明確になるけれど、DCの下半分にあれば、それを目指して人知れず動いている時期。
進行の月が左半分にある場合、その人は自分自身の内面に意識が向かうので、もしASCから上にあれば、社会的な地位を確立したままに自分の内面を探ろうとします。だから意外と社会的活動は表立ってはいないけれど小康状態。進行月が左側の下半分であれば地下の奥深くに意識が向かっていて、自分の内面を探求したくて仕方がない状態です。もし社会的活動をメインとする出生図であった場合、ここでは「自分はこんなはずではない」と思い込んでしまうこともありますね。
そしてそれぞれ、出生図のICとMC、そしてASCとDESを越えたとき、進行の月によって一気に意識が変わったりする。

だから進行月のコンディションは円の四分割で読むといいなと私は思います。

また、基本的に進行図はサビアンシンボルが鍵となる場合が往々にしてあります。
出生図、経過図、進行図のすべてにおいてサビアンシンボルは重要だと私は思っていますが、とくに進行図では如実に出ます。
進行の太陽と月のサビアンシンボルを調べてみましょう。そうすれば、今の状態の目的や感じ方、どういった路線を辿っているのかがよく分かります。これだけで経過図が充分な読みとなる場合もあります。
そしてさらに畳みかけ、進行太陽と進行月の角度を調べてみましょう。

この角度で重要なのは、いわゆる「進行の新月」と「進行の満月」です。

経過図でも新月図と満月図は呼吸のようなもので、私もよく読んでいます。
ただ進行の新月と満月は、およそ14年ごとに起こります。さらに新月と満月の違いもあるので、実際にはおよそ28年ごとに起こります。進行の新月が起こったら、14年後に進行の満月が起こる。そのまた14年後に進行の新月が起こって、の繰り返し。

進行の新月は目標の設定。進行の満月は達成です。

経過図でもそうですが、新月は息を吸うときで、満月は息を吐くとき。呼吸のようなもので、新月で息を吸い始め、満月で肺がいっぱいになって息を吐き始める。息を吐き終えたのが新月であり、また吸い始める。そんなサイクルが進行図でも起こるのです。10年以上の間隔で。
長い期間の呼吸ですよね。

目標の設定である進行の新月ですが、その前の進行の新月が終わって、満月も越えてしまい、まとめの時期です。そうなると基本的には新たな目標と言われてもピンと来ないかもしれません。一生懸命に頑張ってきたあとで、また目標を立てましょう、と言われているようなものだからです。
でも進行の新月は本当にゆっくり作用していて、自覚してもしなくとも、まるでターゲットのように「こうしたい」という意識みたいなものが生まれます。

この進行新月が、この人の出生図のどのサインで、どのハウスにあるのか。そしてサビアンは何なのか。これが重要です。
さらにこの進行の新月が、出生図にある何らかの天体と合だった場合、かなり本人はハッキリと意識できる目標設定となるでしょう。出生図の天体に合しなかった場合、やや意識しづらい新月にはなるのですが、それでも時間が経つにつれて意識できるようになります。
たとえば、この進行の新月にトランジットの天体が重なった場合、環境から目標の設定を強いられることになりがちです。要求されて「あ、こういう感じになりたいんだ」「こういうふうに進みたいんだ」ということを意識化するわけです。
もちろん経過図の刺激がなくとも気付く場合は往々にしてあって、それは御本人の内面の変化によることが原因です。
進行の満月も同様で、出生図との天体の合を読んでください。どこのハウスで、どの天体と合しているのか。サビアンはどうか。これが大いに読み解くカギとなります。

新月で目標を立てて、その達成のために人生を進めると、進行の新月と満月の事象が手に入るというか可能になる、というかたちです。

それに、さらに経過図を重ねましょう。その瞬間の環境が分かります。これは合だけではなく、オポジションもスクエアもトラインもセクスタイルも読みます。これらはそれぞれの意味を十分に加味して読み解くといいです。たとえば進行の満月にトランジットの木星が合しているとしたら、かなり自己実現が容易であることが分かります。スクエアだったら少し困難ですけれど、それでも拡大するには変わりないので、この頃にはどんどん外へ発信していっているはずですね。これが火星であったらどうでしょう?

そういう感じで三重円の中の進行図を読んでいきます。
天体の意味やアスペクト、ハウスの働きなどは細かいのでここでは述べませんが、ざっくりと進行図の重要性を書いてみました。

進行図は本当にゆっくり、その人の内面の変化を映し出します。
とくに進行の月の出方は本当に顕著です。
私はサビアンとハウスで読むことが多いのですが、やはり進行の新月と満月のリズムは、かなりその方の人生の息吹のようなものを感じさせてくれます。
ざっくり読むなら出生図と経過図で充分、と思いがちですが、実は進行図もいろいろと物語ってくれているのです、というお話しでした。

かなりざっくりと書いてしまったのですが、だいたいのコツはこんなところです。

最後になりますが、進行図そのものを単体で出して読む時は深読みしないことをお勧めします。混乱するので。出生図と重ねて読むと分かりやすいので、そちらの方を重点的に解説しました。
もし進行図の単体だけで読んでみたいというなら解説を書こうかとふと思いましたが、それほど書くことはないかもしれないですね。深読みせずに出生図の方にウエイトを置いて読むのを前提にするならそのまま読んでいいと思います。という感じのしか書けないかもしれません。
基本的には出生図に進行図を重ねるんです。そうすれば読みやすいし、伝わりやすいかと思います。

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