私が知る限りの母の地獄


今までの人生で母に苦しめられてきた事は多くある。今だって、精神障害者の母が居ることで今後の人生が縛られてしまうのではないかという理由から母の死を心から望んでいる。入院先の病院で今日突然死してくれてもかまわない。

だからといって、母が100%の加害者だとは思っていない。
ヒステリーを起こして物を破壊されても、殴られても、自傷行為のケアをさせられても仕方がないと思うほどではないが、病んでも仕方がないと思いはする。

母方の祖父母はいつ離婚したのかは分からないが離婚している。離婚して祖母とその子供は大伯母の住む実家に戻った。
姉妹の仲が元々良くないのか、それ以外の問題なのかは分からないが母はこの大伯母にいじめられたと嫌っていた。
私はその大伯母に可愛がられていたが、気難しいところがある人だとは思った。

母曰く、頭の悪さは生まれつきだったらしく、子供同士でもよくいじめられたらしい。この辺は特別に頭の悪い人と話した事がある人にしかわからないと思うが、母は言葉選びが実に下手で人を苛立たせるのがうまい。
語彙力もないが語彙選びが致命的に下手で会話がうまくいかないことがしばしばある。そんな人間が人間関係で排除されるであろう事は想像に難くない。読書家ではあったようなので、これは努力でどうこうなるようなことではなかったんだと思う。

母には兄と弟がいるが、兄は銀行員になる程度に頭がよく人徳もある方だった、弟の方はコミュニケーション能力に長けていた上に容姿も良かった。
祖母はそんな兄弟ばかりを可愛がっていたらしい。
「私は可愛がられなかった」
呪いのように幼少期から言われてきているが、妄想でも誇張でもなく本当にそうだったんだと思う。

伝え聞いている話ではこの程度しか分からない。母視点の話だけを信じるわけではないし、前述の通りに母は人を苛立たせるのが非常に上手いので家族にとっても地獄だったとは思う。思うが、私は祖母が毒親だったという確信がある。

母から聞いた話がひどいというのもあるが、自殺未遂を繰り返している娘の顔を久々に見ても「また太った?痩せなきゃだめよ」「あんたは昔からダメで、しっかりしなきゃ」と小言を言っているところしか見たことがないからだ。
母が祖母に褒められているところを、私は見た事がなかった。

祖母に会うと小言言われるから会いたくはないが、あちらからは「帰ってこい」と言われるせいか、子供の頃は何度も私だけが泊まりに行った記憶がある。
その後色々あって今現在、母方の親族とは縁が切れているのでどうしているかは分からない。
ただ、もっと早くに縁を切るべきだたったのではないかとは思っている。

そもそも、母自身が嫌っている祖母と長く縁が続いていたのが不思議なくらいだった。私の出産の時はこの実家に帰ったらしいが「産む時実家に帰らなければよかった」「自分の孫なのに全然可愛がってくれなかった」とは何度も聞かされた。

そんな母は農家の長男の嫁という面倒なジョブにつくことになった。ここでは奇跡的に、母をいじめてくる親類はほぼいなかった。

姑である祖母が母の事を可愛がっていたからだ。
祖母は、病気がちだが気性に難のある曾祖母にずいぶんといじめられていたようで、お嫁さんには優しくしようと決めていたらしい。
病気がちな曾祖母にかわり祖父の妹弟達の世話をしていた祖母は大叔父大叔母達に愛され、祖母が可愛がるならと母にもよくしてくれた。
ちなみにこの人達は今新興宗教にハマっている。

母をいじめる親類はほぼいなかったが、例外もいた。
舅だ。
私の祖父である。

祖父は直接的に何か嫌がらせをするような事は無かったようだが、何もできない母の悪口をボソっと小さい声で言う。それだけだったが、家の中にそんなのがいるのはキツい。

祖母はそれを見かけるたびに祖父を叱り、母のすることはなんでも肯定した。私が知るかぎりで母のことをこの世で1番甘やかしていたのは祖母だったし、母は祖母によく懐いていたし、施設に入った祖母に最後に会ったのも母だった。

家の中に味方もいるが敵もいる。そんな状態が長く続いたのが悪かったのか、その時のパート先でも人間関係がうまくいっていなかったのでそれが悪かったのか。子供の頃から続いた緊張の糸が切れてしまったのか、私が10歳くらいの頃に母は精神病院に通院するようになる。
もっと以前から病んでいたのかもしれない。そこに診断名がついただけで。

そして今、二人の子どもたちに心から死を望まれている。父は違うのかもしれないし、死を望んでいるのかもしれない。
ただ、弟は私以上に母をよく思っていないというのは確かだと思う。


母の人生を客観視すると同情はするが、私にとってはやはり小さい頃からケアをさせられ、大人になってからも苦しめられている相手なのだ。

病院に通院しながらも、相談もしていないのか特に代わり映えのない病状で、むしろどんどん悪くなっていた。

小さい頃から死をのぞんでいる。

そのうち自殺するんだと信じていたから耐えられただけの事だったのに。

それでもやはり、母の人生は地獄だったと思う。私の人生以上にきっと。

だから私は早くこの世という地獄から母は解放されてほしいと今日も望んでいる。

どうか母に明日が来ませんように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?