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今週末、日本に帰ります。

運がよく、お世話になった学校の送迎バンに相乗りさせてもらえることとなり、マニラ空港までの交通を確保できました。飛行機は片道5万円、私にとっては高いのですが。


今もなお、公共交通機関はすべて停止し、あらゆるところに通行防止の柵があります。柵は、50m間隔くらいの近距離で設置されていて、まるでパックマンの迷路状態です。昼も、夜も、消防士がホースで水を掛けるように消毒液を撒いています。7時から17時以降は夜間外出禁止。うちのホステルは13時までに帰っておいでと門限あり。外出するには、一家に一枚の許可証とIDの携帯が必要です。ホステルも一家の扱い。だから、ゲストは交代で買い物に行っています。買い物も大変です。スーパーマーケットは人との距離を保つために入場規制がかかっているので、中に入るだけでも1時間以上待ちます。場所によっては、4時間待ちなんてところも。買い占め防止のために購入できる個数が決まっているものや、金額上限などもあります。

それでも食べものはあるし、ホステルは快適だし、この政策が成功して、コロナがコミュニティ検疫の終了予定日(4/13)までに収束の顔を見せてくれ、私はまた会いたい人たちに会えるだろうと、その日を信じて残っていました。


フィリピンのドゥテルテ大統領のとったコミュニティ検疫(ロックダウン)は、政策として適していると思います。今でも、思っています。

人の流れをできる限り早急に止めること。そして、困っている人の生活を補助する、とできる限り早急に伝え安心してもらうこと。これ以外に、新型コロナウイルスの蔓延を止める術はない、と思います。

13日「マニラ封鎖するぞ!」15日「したぞ!いや、島全体も封鎖するぞ!」17日「したぞ!そんでもって外国人は72時間以内に出るなら出ておくれ!」18日「いや、やっぱ今のなし!」

…と、政府の発表がコロコロと変わるので、3月中旬は不安が募って眠れない日もまれにありましたが、「国民の命を守るためである」という部分は一貫していたので、納得感がありました。国民も、それを理解し、しっかり守っている人が大半だと思います。


ただ、最近、自分の身に危険が迫ることがあるのでは、と感じるニュースが増えてきました。

●3/26にスイカ売りの2人が(おそらく)警察に射殺されたこと
ニュースでは、その2人は麻薬と銃を持っていたのが原因だ、と。
でもそれに反論する人がいました。殺された人の友人というその人は、「警察は、麻薬所持者を現行犯で射殺すると報酬はもらえる。今回の事件は、報酬目当てで犯したことではないか、」と。「この検疫の厳しい中、銃や麻薬を持って外に出られるはずがない」と。ニュースに書かれている場所を調べたら、ここから1時間ほどの場所でした。

●夜間外出禁止令に反して逮捕された人が40,000人以上もいたこと
仕事なのか、不満なのか、理由がわかりませんが、これだけたくさんの人が逮捕されました。
この人たちは、どこへ行くのでしょうか。刑務所? 
仮にそうだとしたら、密集した場所でコロナが蔓延するでしょう。

●マニラの病院が医療崩壊、医者も感染し死亡者も出ていること。
医療の状況は良くありません。

●セブ島でコロナ拡大中、27日からロックダウン。
フィリピンは小さな島々が集まってできている島です。
日本の同じくらいの人口ですが、日本よりも島が点在しています。
現在は、国内移動も全てストップしているので、島ごとの移動はありません。でも、フィリピンの感染者数として、まとめて公開されてしまう。
ルソン島は早めにロックダウンしましたが、セブ島で増加していれば、フィリピンとしての感染者数は増加します。


私もエリアごとに追っていないので全体数値となりますが、マニラのロックダウン以降、潜伏期間の14日が過ぎても、感染者数が減少傾向に転じていません。ロックダウンは一定の効果をもたらしていると思いますが、例えば院内や家族同居などでの避けられない感染もあるのでしょう。

この状況では、コミュニティ検疫が延期する可能性が出てきます。
また、仮に解除されたとしても、問題が解決していない以上、治安の悪化が避けられないように思いました。
特に、私のような外国人に対しては…。


ロックダウンをすれば減少傾向に転じるはずと信じていただけに、ここで帰るのは悔しいのですが、仕方ありません。これ以上、緊迫した中にポツリと一人でいると、精神的にまいってしまいそうなので、いったん帰ります。


そしてまた、フィリピンにこようと思います。

フィリピンで5ヶ月過ごしてみて、ここに来る前と今の気持ちの差に、自分で驚いています。
日本人が思うフィリピンのキーワードは、「安い」「女の子を買う」「発展途上国」「南国」「セブ」くらいじゃないでしょうか。さらに、”安い”と思うと同時に、どこか下に見ていませんか。

とんでもない。

私がフィリピン人の先生たちとの対話で得られたのは、日本で気がつけなかったこと、教えてもらったことのないことが多々ありました。頑張って話そうとして、自分の感情の動きに気がつき、戸惑い、心が剥き出しになって、たびたび涙が出ました。

私に足りないもの、日本人に欠けているもの、幸せを感じるために必要なもの。

これまではコロナの話ばかりでしたが、フィリピンが教えてくれたことを、細々と発信したいなと思っています。

まずは、いったん無事に日本へ。

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