1寄藤文平さん

『絵と言葉の一研究』
わかりやすいデザインを考える。

イラストがふんだんで、
テンポがよくてすぐ読める。
すぐ読めるのに、
書いてある言葉が短くて深い。
発見がたくさんある本だった。

一番うれしかったのは、
本の装丁のデザインの考え方を
オープンにしてくれたこと。

こうやってデザインを練るのか、と
30ほどのプロトタイプが
わかりやすく説明してくれる。

「キツギさんの「ブンペイの絵で、バカっぽいグラフにしてほしい」というオーダーは、絵を使ってデータを面白いインフォメーションにしてくれ、という意味だった」

無機質なデータを、読み解いて意味のあるインフォメーションにする。インフォメーションは作り手により、できあがりが異なる。データの持つ情報からかけ離れすぎても上滑りするし、近すぎても面白くない。

「グラフに物語が生まれて、ちょっとした絵本のようになった。平面の中で、1次元の数字が、二次元のグラフに、それが三次元のヤンキー車に、さらに時間軸が加わって、いわば四次元の絵ができる」

はぁーおもろいなーと簡単に思っていたイラストたちは、深く考えて作られていた。

「プロダクションのデザイナーは、自分がそういうデザイナーでいいと思ってそこにいるんだろ?だから、そういうデザイナーとして扱えばいいんだよ」

アートディレクターのウシロさんは、そう言った。できる人と自分の壁。

「だったらそういう生き方しろ」

絵と言葉は別であるが、タッグを組むと別のものになる。

「結びついたら、それはまったく別のもの(中略)絵には絵の、言葉には言葉の性質がある。そして絵と言葉が結びつくと、絵でも言葉でもない「なんか変なもの」になるのだ」


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