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VRChatでPNGミュージアムを2年間開催したので、ちょっと振り返ってみる


こんにちは、mugitarouAKです。
PNGミュージアムというVRChatで画像の展示会イベントやOneRoomMakerというワールド制作イベントの主催をして遊んでいる人間です。
PNGミュージアム4が終わってから2ヶ月近くが経過しようとしていて、そろそろ熱も冷めてきた気がするので、こうして今回の制作を振り返る文章を書いてみようと思います。




PNG4準備編

とりあえず会見してみるか!

ログを遡ってみるとPNGミュージアム4のために動き出したのは2022年10月でした(もうすぐ1年前なんだけど??)
最初は会見のような形でスタッフと、PNG3出展者向けに4をどのような形にするつもりか自分の頭の中にあることを30分くらい話した記憶があります。
覚えている限りで話したことは
・ワールドの方向性はちょっと変えてみたい
・クラファンはたぶんやらない(グッズは作るかも)
・もっとみんなで楽しめることをやりたい
・あと手伝ってくれる人いたら嬉しい
みたいな内容でした。

会場には20人くらいの人が常時いて、僕が話し終わった後もいくつか質問が出たり、関係者の交流会みたいな形でちょっと真面目でどこか和やかな雰囲気でやれたと思います。
その場で手伝いたい!って言ってくれた人や4への期待を口にしてくれた方もいたりして、今振り返ってみると得たものが大きかったですね。


スタッフを募集してみよう

PNGミュージアム4開催にあたって一番懸念していたことは、ワールド制作メンバーが充足するかどうかでした。
PNGは営利目的の集団ではないため、基本的に作業コストに見合った金銭的・物質的な対価は発生しません。
個々人が「やりたい!」「おもしろそう!」と思うから参加するのであって、PNGのスタッフにはスタッフとしての義務も制約も発生する余地はありません。
なのでワールド制作メンバーに不足が生じた場合、昨今たくさんのイベントが企画・開催されていることからワールドモデラーの需要を鑑みると、ここを「金銭報酬抜きで充足を目指す」のはかなり難しいのではないかと考えていました。
とはいえ、PNGとしては営利目的の集団になることはできないので「まずはPNGって面白そうだよね!」と思ってくれていそうな友人たちに声をかけることと、スタッフの公募を検討しました。

そんな流れから今回もスタッフを募集することにしました。
前回は「まぁ最悪集まらなくてもええかー」と考えていたのですが、今回は前回以上に規模が拡大する可能性を考えると自分がモデリングする余裕はないので、「集まらないと詰む!こえ~~~!」と内心わりと不安でした。


企画を練ってみよう

スタッフの新規募集に合わせて、PNGミュージアム4では具体的な制作に入る前にコンセプトを練る会を開催してみました。
今までのワールドデザインは「PNGは特定の色を持たない」ことを大事にしていたので、情報量が多くならないように気を付けていました。
しかし今回の4では、スタッフみんなの創造性をより引き出すために敢えて「ワールドの方向性はちょっと変えてみたい」と考えていたので、まずはみんなのPNGミュージアムに対するイメージって何?みたいなところから話を聞くことにしました。
みんなと話す中で、前回の振りを踏まえて宇宙に行くことを僕から提案しつつ、ワールドのデザインをみんなで考える…という流れで企画を進めてみました。

こんな感じの簡易的な資料を作ったりしてました


PNG4制作編

ワールド班

一番危惧していたワールド制作も、結果的にはyouyou2002さん、NekoMikanさん、藍上アオイさん、りらさんと最強のメンバーが新たに参加してくれました。
ワールド単体だけで見てもとんでもないものが完成して、打ち合わせごとに出てくるものの完成度にめちゃくちゃ感動していました。
実際にスタッフからも見に来てくださった方からも、ワールドを別途公開しないのもったいなくない?と声をもらうくらいにはできたので、いやぁもう…本当にみんなには感謝しかないです。
まぁ、Public化は絶対にしないんですけどね(鉄の意志)

youyouさんからこれ見せられた時は意味わらかなくて爆笑した
アオイが作ったカフェテリア 初見の感想は「アオイ、エッチだね~」でした(?)
NekoMikanさんが作ったイベントステージ 天井にPNGちゃんの星座を作るセンス◎
りらさんが作った自動改札ギミック 上のカメラでユーザーを検知するのがスゴイ


PNGちゃん制作委員会

PNG4での制作委員会ではグッズの制作の部分ではあまり大きな変化はありませんでしたが、今回は初めてキービジュアルを作るというチャレンジをしてみました。

Cemさんとは元々関わりがあったなかでPNG3開催時に「次回あったら手伝いたい!」と直接声をかけてもらっていたことがきっかけでした。
2人で何をしたら面白そうか話し合う中で、キービジュアルを描いていただくのがPNG的に一番面白くなると思ったので、これを依頼することにしました。

結果的にはワールドの景観を再現しつつ、PNGちゃんを本当に可愛く描いてくださり、最高のキービジュアルになりました。
動画やパンフレット、HP、Twitter(X)をはじめとして、広報として気軽に使える1枚絵としてキービジュアルは本当に便利だったので、たくさんの場面で活躍してくれました。
これは余談だけど、スタッフ権限でPCの壁紙をキービジュアルにしています。


作品管理

今回もたくさんの進化・変更点がありましたが、一番大きなところは出展フォームを専用で用意したことでした。
最初はDiscordで直接投稿→3はGoogleフォームで入稿と変化したのですが、ついに自分たちの専用ページを作るまでになりました(なんで?)
はるまきちくわさんが制作してくださったのですが、画像をドラッグ&ドロップするだけで出展が完了するうえに、その後のVRChatに展示するギミックに出力しやすい形にしてくれる最強のシステムでした。

作品管理の面でも、一覧で誰がどんな作品を投稿しているのか確認できたり、キュレーションも作品を見ながら、直感的な操作で作業できたので作品管理は今までより本当に楽になりました。
実はキュレーションは3の時はあまりの作品数と作業量で1週当たりに8時間以上かけていたので、作品数が300枚近く増えた4でこのシステムがなかったら…と思うとぞっとしますね。
UI用のボタンデザインなどは、PNGちゃん制作委員会のらくちゃさんが作ってくださり、ここもしっかりオリジナルです。すご

最強のシステムなのに誰も触れてなくてちょっと悲しかった これ「普通」じゃないぞ!


今回の狂人(くるいんちゅ)

今回の狂人枠は、異常な作業量と作業時間を叩き出していたwanidaさんですね…
書いたイラストの枚数で言えば雨宿しとりさんや、らくちゃさんほどではないにしろ、GW中朝から夜中の1時までDiscordの作業通話に立てこもり、定期的に(デザインが思いつかずに)悲鳴を上げていたのは今でも覚えています、すごいね。
パンフレットデザインやチケットデザイン、郵送用の封筒デザイン、キュレーションにスタッフクレジットの調整など、PNGの「むしょく」として幅広く狂人として活動してました。
詳細は本人が書いたnoteがあるので読んでみてください、バカです。


運営面でたいせつにしたこと

今まで書いてきた以外にもPNG4の制作期間では、たくさんの人が自由に好き勝手に制作をしていました。
「じゃあmugitarouAKは何をやっていたんだ」という話になると思うので、ここでは珍しく自分の話を書こうと思います。

PNGミュージアムとは、個人主催・非営利で開催される、VRSNSで創作を楽しむ全てのユーザーが創作を発表し、同じように創作を楽しむ人と繋がることを目的とした、創作者のためのコミュニティイベント

これは3の時にクラウドファンディングで書いたPNGミュージアムの説明文ですが、基本的にはこの部分から大きく逸脱することはないように、何かを決めるときやお願いするときに大事にしようと決めています。

ここでいう創作者とはPNGに出展してくださる方だけでなく、PNGスタッフのことも指しています。なのでPNGミュージアムを開催するうえで一番たいせつにしていることは、スタッフ一人一人が「楽しい!」「面白そう!」といったポジティブな感情を駆動力にして制作できる状態を作り、それを維持し、増大させていくことです。


自分の意見を言わない

そこで一番最初にしたことは「自分の意見を極力持たない、あったとしてもなるべく言わない」ことでした。
PNGミュージアムというイベントは自分が始めたイベントである以上、どんなに自分が「みんなで作るもの」だと思っていても、スタッフ目線でも出展者目線でも「mugitarouAKが主催」だと映るでしょう。
そのような構造の中で、僕が意見を言えばそれが「こたえ」になってしまう可能性が高くなる。
もちろん自分が意見を言う必要がある場面では言いますが、例えばワールド制作の打ち合わせやグッズの打ち合わせなどでは、基本的に意見は言わないようにして、むしろ発言したそうな人に発言を促すような振る舞いを大事にしていました。
自分が意見を言わない方が、みんなの創造力をより引き出すし、より自主的になるし、楽しいと思ってもらえると考えて、自分の意見は極力言わないように心がけていました。


強制しない

スタッフ募集の項でも書きましたが「PNGは営利目的の集団ではないため、基本的に作業コストに見合った金銭的・物質的な対価は発生しない」です。
なので、例えばPNGミュージアムというイベントを成立させるために必要なあらゆる要素をスタッフに強制することは、僕にはできないと考えています。
そのとき「やりたい」「頑張ろう」と思えているメンバーで大部分を作り、メンタルやモチベーション、リアルの都合などで積極的な参加が難しい場合はそれでも問題ないとしています。義務でやるイベントや趣味ほど楽しくないものはない。
実際、スタッフとして名前を連ねている人は30人を超えていますが、4の制作に携わったのは全員ではありません。
一度スタッフになった人はその会で制作・運営を手伝うことができない事情があったとしても、Discordサーバーから除名するようなことはしないし、スタッフ内での遊びやオフ会の参加も咎めるようなことはしていません。
する必要ないしね。


みんながやりたくないことをやる

PNGはスタッフ一人一人が「楽しい!」「面白そう!」といったポジティブな感情を駆動力にして制作できる環境づくりが一番たいせつだと書きました。
しかし、PNGミュージアムというイベントはいまや400人弱の方が出展(!?)してくださるほど大きなイベントに成長しました。

大きくなれば「やりたくないけどやらなきゃいけないこと」や、みんなが自由に制作するために必要なこぼれ落ちたボールを拾うことは避けられなくなります。
例えば、どんなに大変だと分かっていても出展していただいた作品をより引き立たせるためにキュレーションは必要ですし、DMやDiscordでの質問対応、打ち合わせのスケジュール調整、各チームのスケジュール把握、フライヤー作成など裏で色々やっていました。
PNG4の制作からはそれらの一部を制作進行という新しい役割を置いて、ステさんじょぼおじなのちんさんにサポートしてもらい、PNG3と比較してだいぶ楽になりました。

今回の制作で個人的に一番肝を冷やしたのはパンフレット制作でした。
実は印刷所に納品する1ヶ月前まで、作ること以外何も決まっていませんでした。
「編集はmugitarouAKがやる」ということは決まっていたので、フォント選定や文字数、文字サイズなどの要件を整理していたものの、誰も音頭を取っていないことに1ヶ月前に気づきました…
慌ててライターの依頼やインタビューを受けるスタッフの選定、スケジュール調整などを行い、なんとかスケジュール通りに収めることができました。これはマジで危なかったです。


今後に向けて

PNGミュージアムを始めて2年が経ちました。
スタッフ、出展してくださる方、イベントに遊びに来てくださる方も会を重ねるごとに増えていて、本当にありがたいことだと感じています。
ただ、1つだけ憂慮しているというか…こうなったらいいのにな~と思っていることがあります。

それはPNGミュージアムの類似イベントが全然ないことです。
もちろんイラストレーター個人の展示会や、イラスト、写真に限った展示会などは確認しているのですが、PNGミュージアムのような場を作ることを意識したイベントはまだ自分では確認できておらず、こういったイベントがもっと増えたらいいのにな~なんてことを考えています。
VRChatにおいてアバターをはじめとする創作の発表の場は多くありますが、イラスト、漫画、フライヤー、写真など2次元的な創作をVRで発表できる場は2年経った今もあまり増えているようには感じていません。
もっと増えろ!!!


最後に

ここまでPNG4での制作を振り返ってみました。
PNGミュージアムはどこまでいっても、スタッフみんなのポジティブな感情を駆動力にしているし、それが出展者のみなさんに伝わっている部分があるからこそ楽しんでもらえる場になるのだろうし、みんなが楽しんでいるからこそ「お祭り」を不定期に開催できているんだろうと思います。
他にも書けることはたくさんあるのだけど、これ以上書くと文章も冗長になってしまうので、この辺りにしておきます。
これからもVRChatでみんなが楽しめる場をたくさん作っていきて~~~って感じなので、また思いついたら何かやります!

抹茶ラテがのみたい