研究コラム◆お芝居を学ぶ中での発声滑舌の役割のお話。
滑舌!発声!だいじ!!
芝居を勉強する中で、誰もが最初に考え、鍛えはじめるものが、発声、滑舌。
私もそう思って、毎日毎日、ラ行とサ行の矯正に躍起になってとり組んでおりました。
舞台においては本当に必須。
口が開かなきゃ、明瞭な滑舌でなきゃ、
腹の底からの発声で
かつ
振動を増幅させる筋肉
身体はゆるやかに力の抜けた状態である事
それが大前提でなければ、舞台から客席の1番後ろまで声が届きません。
マイク前ではどうか。
声優さんやナレーターさんが声を吹き込んだ後
そこには
BGMや効果音が追加され
海外作品であればそこに分厚い環境音も重ねられます。
どんな表現においても、周りの音に霧散させられない声の芯が必要なわけです。
芝居の為というよりは
きちんと表現を届けるための、基礎力なわけですね。
しかしながら
芝居を学び始めて1、2年…滑舌オタクだった頃の私には違和感がありました。
滑舌基礎は充分やってきた。
発声もとびきりでかい声で音域広げる練習もしてきた。
…でも、こんなにハキハキとしゃべる人間、
いちいち大声出してしゃべる人間
世の中に居なくない…??
これ、やればやるほど嘘じゃない…??
嘘くさい、実在しない人間を作ることにならない…?
と。。
この違和感私だけ???って。
あの頃の私にお返事しようと思います٩( ᐛ )و
まず。
よく気付いた。君は大正解だ!!!!
滑舌は一種の個性で、なにもかもをハキハキ明瞭にしゃべることが出来るのは
しゃべりを仕事にしているアナウンサーさんや、ナレーターさんくらい。
そういう役でもないのにセリフをハキハキ言う必要ないんじゃないか。
これは、嘘なんじゃないか
その違和感は、本質をついた良い違和感だと褒めてつかわす!
本番で
台本に書かれた全てを、滑舌練習のようにハキハキ表現する必要は一切ない。
アナウンサーと声優さんの滑舌を聞き比べてごらん。
アナウンサーさんばりに滑舌の良い声優さん、居る?
役の中で役柄問わず全ての表現においてパキパキと明瞭に台詞を紡ぐ声優さん、居る?
居ないよね。
むしろ発声も滑舌もキャラクター次第でみんなみんな個性的だ。
一部が少しだけ不明瞭なのって個性なんだ。
ゆらいで、不安定で、感情にふりまわされて
何も完璧じゃない。
それが生き物で、人間だ。
だから、人として力の抜けた、極めて日常的な「普通のしゃべり」が究極の表現であると、私は思う。
普通のしゃべりでいいなら
じゃあどうして基礎として滑舌や発声が必要なのか
その答えは「可動域を広げるため」なんだ。
基礎鍛錬を積んでいる人、または
お仕事でたくさんたくさん人に聞かせる為の声を出している人は
その回数だけ体内が振動し、鍛えられるから
何も意識しなくても普通にしゃべるだけで明瞭な音になっちゃう。
何もしてない人が普通に喋る音との違いは明確。
自分の素朴な普通のしゃべりを無駄なく輝かせ、売り物にするために、滑舌発声の基礎を何度も何度も繰り返す必要があるわけだ。
声を出す筋肉は声を出す事でしか鍛えられないし
調音する筋肉は調音することでしか鍛えられない
何度も何度も基礎鍛錬を繰り返したその身体、声帯、口内を含む「楽器」は、どんどん自分の発する振動に慣れて
普通にしゃべるだけで、人を惹きつける魅力的な響きを生み出す。
発声滑舌の鍛錬は
それ自体を表現に活かすためのものではなくて
自分の「普通」をレベルアップさせるための地道な底上げ作業。
だから、心配せず、思いっきりパキパキと練習に励むと良いよ!!!
やっただけ、自分の「楽器」が応えてくれる。
なかなか、とっても時間がかかることだから
本番で自分の普通を出せるようになるまで、きちんと届けられるようになるまでは
基礎を守った、ある種パキパキした表現をひたすら貫いていく必要があるけれど。
本番以外の時間もたくさんたくさん費やして
自分の「普通」を、とびきり魅力的にしていこう。
私にはこんな答えが降ってきたよ^ ^
あの頃の私と同じ違和感を持っている人が
しっかり目標を持って稽古にいそしめるよう願いを込めて🙏
今日はこんな塩梅で^ ^
読んでくれてありがとうございました✨
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