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冬の恋バナ淫ク☆リレー企画'22 20日目「竹ノ花」 編集後記

 私が今回の企画に提出した動画について、お話しします。
 ネタバレを多分に含むので、未視聴の方は先に動画をご覧ください。


原作

 エンディングに記した通り、原作は東方二次創作同人誌の「竹ノ花」です。C83にて頒布されたものですが、現在メロンブックスにて現物の在庫があるようです(電子版もあります)。興味があればぜひ購入してみてください。なお、がっつりR-18漫画なのでご注意を。

 あまり大きな声では言えませんが、"何故か"R-18の漫画は有志達の手によってネット上にアーカイブされやすい傾向にあり、この本も探せばすぐ見つかります。貧乏なホモや子供のホモは試してみてもいいかもしれません。もちろん自己責任で。

 そしてもう一つの原作と言えるのが、凋叶棕の「竹ノ花」という曲です。これはアルバム「薦」に収録されたものですが、このアルバムは東方の同人誌の楽曲化をコンセプトにしています。つまり三次創作です。私の動画はそれを原作としているので、四次創作にでもなるのでしょうか。これもうわかんねえな。

 そんな「薦」ですが、こちらもメロンブックスにて委託販売(専売)されています。またエンディングで使用した曲が入っている「綴」など、他のアルバムも販売されているので気になった方は是非買ってみてください。てか買え。布教のために動画作ったんだからさ。

 ちなみにこれから沼に嵌ろうとしている凋叶棕初心者のM(皆さん)には、個人的に「」か「」をお薦めします。どちらもコンセプトが分かりやすく、かつ色々なタイプの曲があって取っ付きやすいアルバムだと思います。

制作の経緯

 今回の動画は、元々は昨年の恋バナリレーに提出しようとしていたものでした。凋叶棕の曲をBB劇場化したいという気持ちが前々からあり、その中でも原作が存在する薦の曲で、さらに比較的知名度も高く作りやすい(と感じた)竹ノ花を作ろうと決めました。しかし当時は若く編集に割く時間が取れなかったこと、また技術力の面で再現が難しいと思ったことを理由に、已むなく参加を見送りました。

 そして有難いことに今年も誘って頂けたので、一年間温めていた案を吐き出すことにしました。満を持しての再挑戦という訳です。正直技術力が上がっている気はしませんが…

 それでも長期間溜めていただけあって、脚本は当初よりかなり洗練されたものになったと感じています。また、今年に入ってから幾つもの高クオリティな素材が投稿されたのも大きいと思います。特にお世話になったのが以下の三つです。これらがなかったら完成すらままならなかったと考えると素材制作兄貴達には頭が上がりませんね…

内容の解説

 今回は原作ありということで、シナリオに関して細かな解説はしません。原作を読んでください。また技術面でも特に語ることが無いので、ここでは原作との相違点を中心に解説していきます。

キャラクター選び

 原作と動画のキャラクターの対応関係を置いておきます。

・主人公、「男」―――田所浩治    
    ・稗田家―――宇月家     
  ・稗田阿七―――宇月梓    
  ・稗田阿弥―――宇月幸成   
  ・稗田阿求―――宇月怜    

 カップリングとしてはヤジュUDが含まれる形になっていますが、このような配役にしたのには理由があります。ヤジュUDは嫌いじゃないけど好きじゃない程度の立場ですが、今回の動画はぴったりヤジュUDがハマると考えています。まず主人公とヒロインとの間に子供が出来ないといけないので、(無理をしない限り)異性でのカップリングに限定されます。そうなるとそもそも現在確立されているヘテロCPの数が少なく、しかもク☆側は同じ一族でないといけない関係で、ヤジュUDが最も適しているという考えに至りました。

冒頭

 ここの映像は完全に漫画と変わりません。一方で掴みとして非常に重要なシーンでもあります。最後に竹ノ花の曲のイントロを流すことで、この物語は曲と共に進んでいくことを原作を知らない視聴者にも印象付けています。

梓の章

 この動画は、原作に従って三つの章から構成されています。中でも阿七(梓)の章が最も改変部分の多い章になっています。大胆な脚色は女の子の特権。

 漫画では主人公が阿七に会いに行くシーンは一回しかありません。阿七が木を降りた後、「そのうちこの木には登れなくなる」と切り出し、主人公が阿七を諭すシーンに繋がります。また、漫画では主人公の告白は、後の阿七の回想の中でのみ為されています。しかしこれではこの章があまりにも短くなり、また感情移入がしづらくなると考え、新たなシーンを追加しました。

この辺りはオリジナルの脚本です

 浩治は梓を諭した後、体調の優れないという梓を負ぶって帰ります。このシーン(というかここで使われているBB)は、この動画の一つのキーになっています。ここでは梓を負ぶって帰るのに使われ、次の章では浩治が幸成の元を離れていくときに使われ、最後の章ではまた怜を負ぶっていくのに使われています。少し拘ったポイントの一つです。

もうちょっと動きを滑らかにしたかった

幸成の章

 この章でも細かい改変は頻繁にしました。例えば漫画では阿弥が主人公を誘惑する(?)シーンは、全て屋外で行われています。しかしそれだと流石に衆目を集めることになりそうで不自然だと考え、途中で幸成が浩治の家に上がり込むことにしました。これはその後の濡れ場にすぐに移行するためでもあります。

 そしてその濡れ場は原作漫画では一番盛り上がるところなのですが、当然カットしました。その代わりに行為を示唆する描写を入れています。この「性行為をする程の間柄」というのは後々伏線になってくるので、完全に無くすわけにはいきませんでした。コメントの稼ぎどころになりそうだし全然コメントついてなかった。かなしい。

 その後は幸成が意味深に巻物を眺めるシーン(原作にもあります)、二人が仲良く思い出を作っているシーン(原作にはありません)と続いて、茶屋のシーンに移ります。この辺りが最も分かりやすいのですが、原作にないシーンを追加するのには、浩治と梓/幸成との関係をより細かく描写するという目的が圧倒的に多いです。例えば茶屋は原作には一切登場しませんが、動画では二人の思い出の場所として扱われています。原作漫画はそういったシーンに乏しいと感じたので、BB劇場化するにあたってここに重点を置きました。

動画では茶屋で団子を食べていますが、原作ではその辺で芋を焼いて食べています

 そんな幸せも長くは続かず、浩治は橋の修復工事に駆り出され、幸成はそれを見送るさなかに体調が悪化してしまいます。このシーンはほぼ原作通りなのですが、最後に宇月家の使用人と思しき人々が駆けつけています。これは原作にはありません。幸成がこのままここで野垂れ死んだと思われたくなかったので追加しました。

 そしてこれはシナリオの解説になるのですが、最後に幸成が倒れこんだ後、梓の名前を口にします。これは転生が存在しなかったことの伏線になっています。実際には梓は幸成の母親に当たるので、呼び捨てるのも変な感じはしますが…

怜の章

 前の二つの章と違って、この章は台詞回しも含めてほぼ原作通りです。ただし一つだけ変更点があります。動画ではKBSが浩治のことを怜に隠し、怜はその後をつけて浩治の居場所を特定しています。一方で漫画では、運び屋は普通に親方(主人公)からの依頼であることを明かしています(流石に居場所を言っている訳ではありませんが)。これは、怜が浩治の存在を知っていた場合、すぐにでも会いに行くはずだと考えたからです。ただ、これでも正直すぐに居場所が割れてしまいそうではあります。かなり苦しい改変ですがどうかお見逃しください…

こんな簡単に後をつけられて聡ずかしくないの?

 その後は浩治が怜に全てを話し、負ぶって帰るまで原作通りです。ただこのシーンは原作では雪が降っているのですが、動画ではむしろ快晴になっています。これはこのシーンが怜にとって新たな人生の第一歩となることを考えると、寒く暗い印象を付けたくないと思ったのが理由となっています。あと雪降らせるの面倒臭かった。

エンディング

 マジで何も思いつきませんでした。本当は怜が巻物に書き加えた内容とかを差し込んでいい感じに終わらせたかったのですが無理でした。そのせいで原作や挿入歌などの紹介に留まっています。

 ちなみにエンディングで使用した曲は凋叶棕の「御阿礼幻想艶戯譚 -綴-」です。この曲も「竹ノ花」と同じく阿礼乙女の恋模様を描いていますが、特に原作となる同人誌が存在せず、設定は原作の原作に沿ったものになっています。例えばこちらではちゃんと転生が存在しています。そのためこの二曲で描かれる情景は似て非なるものです。にも関わらずこの曲を使用したので、もしかしたらガチ勢の方々に怒られるかもしれません。そもそも元々竹ノ花のアウトロをそのままエンディングとしようとしていたのですが、曲の尺の都合で断念しました。そこで新たにエンディング用の曲が必要となり、どうせなら凋叶棕の曲を使いたいと思ってこの曲を選びました。

振り返って

反省点

 まず反省点は山ほど出てきます。一番後悔しているのは、浩治のBBを章ごとに分けられなかったことです。浩治は章が進むにつれて青年→中年→老年と年を重ねていくのですが、当初はそれに合わせてBBを加工するつもりでした。しかし時間があまり取れず、結局断念することにしました。これが原因で時系列が掴めなくなっていた視聴者もいたので、時間を掛けてでもやっておくべきだったと思っています。

 また原作はあくまで東方の同人誌なので、稗田家と言われれば読者は「ああ短命ね、転生ね、歴史書書いてるのね」となるのですが、クッキー☆動画ではそうはいきません。宇月家が代々短命で転生を繰り返していることは、原作よりも多くの文字数を使って伝えたつもりではありましたが、まだ説明が足りなかったなと感じています。

 加えて、全体的にテンポが速かったと感じました。これに関しては動画時間が31分を超えてほしくなかったというのもありますが、もう少し緩和できたのではないかと思います。

 他にもBGMがでかすぎる、雨の表現がちょっと足りなそう、エンディングがガバガバどころかスカスカ、などなど沢山の反省点が思い浮かぶので、次回以降の動画制作の糧にしていきたいと思います。

解釈

 私はこの話は、細かい点を除けば解釈しやすいものだと思っています。それでも動画のコメントや他の投稿者兄貴達の意見を見ると、意外と解釈が分かれていました。これはひとえに私の表現力不足なのですが、様々な解釈のしようがあるのもそれはそれで面白いと思います。とはいえ一応ここに私の解釈を書いておきます。

 まず、本当に転生はありません。宇月家の子は親の記憶を受け継いでいません。その代わり巻物などを利用して、あるいは第三者の助けによって知識を受け取り、記憶を継承している振りをしています。
 梓は浩治に負い目を感じ、願いを巻物に託して亡くなります。幸成は巻物を見て亡き母の想いを知ります。当然ここで幸成が巻物を無視する可能性もある訳ですが、宇月家は代々転生がある振りをしているので、誰かしらが幸成に巻物の内容に従うよう強制したと考えられます。代々宇月家の子に先代の遺志を継がせる役目のある人がいると思われます。
 幸成は巻物の記述に従い、浩治に近づきます。もちろん最初は嫌々だった可能性もありますが、浩治と過ごしていくうちにその思いは本物になっていきます。最期には本心から浩治を愛していることを自分の子に向けて記し、亡くなります。
 そして怜もまた何者かに強制されて巻物の内容を読み、浩治に近づきます。恐らくですが、怜は浩治に償わなければいけないと思い込まされるような何かしらの教育を受けていると思われます。そういう意味では洗脳に近い部分もありますね。しかし浩治に全てを伝えられた怜は、短いながらも自分自身の人生を歩んでいくことを決意します。原作と動画のどちらにもその後は描かれていませんが、浩治と怜の関係はあくまで恋愛感情を挟まない、良好なものであったと思います。
 コメントに「誰が次の子を産んでるの?」という疑問がありましたが、実際にはもちろん前の宇月家の当主が生んでいます。幸成は梓の娘であり、怜は幸成の娘です。また幸成の父は竹野内であり、怜の父は浩治です。一方で、劇中では宇月家の子は何も無いところから生まれてくるものだと考えられている、というつもりでした。ここが結構曖昧になってしまっていた気がします。(描いてないんだから分かる訳ないですね…)

 ところで、梓と幸成は女性であることが確定しているのですが、怜の性別は不詳です。実際に原作の原作でも、御阿礼の子は女性だけであると明言はされていません(男性がいるという証拠もありませんが)。もし怜が男性だとすると………それだけで一つ物語が作れそうですね。

余談

 前回のホラー企画の動画でメッセージウィンドウに小ネタを仕込んだのですが、これが思いの外反響が大きかったので、今回も少し仕込みをしました。この動画を作るにあたって竹をモチーフにしたメッセージウィンドウを自作したのですが、実は2種類のものを用意し使用しています。何処が違うのか、どういった理屈で使い分けられているのかを是非解明してみてください。前回ほど物語の伏線になるような大事な仕込みではないので、暇潰し程度にどうぞ。

今後に向けて

 今回は無事に一年越しのリベンジを果たせました。私には「凋叶棕の曲をBB劇場にしてそれらの曲を一つにまとめてアルバムにして例大祭で頒布する」という目標があり、この動画はその第一歩になります。
 実はホラー・恋バナともにリレー企画で使えるような素案は既にいくつか用意してあります。今後リレー企画や私自身がどうなっていくのかは分かりませんが、いずれは「てぃあお淫夢の人」として認知してもらえたらいいなって感じで。
 最後に、原作者様、リレーの企画者様、素材制作者様、ならびに動画を見てくださった視聴者の皆様に深くお礼申し上げます。ありがとナス!


 ここまで駄文をご覧くださりありがとうございました。おまけとして恋バナリレー用に考えた素案をいくつかnoteにまとめてあります。孤独なクリスマス・年越しのお供にでもどうぞ。

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