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教育勅語 意訳

訳文。

🔴首文
天皇である私がよく考えたところ、
私の祖先である、初代天皇や歴代の天皇が、
神様の命(神勅)により、我が国を治め始め育んでから、我が国はとても規模が広く大きなものとなり、
また、人としての正しい行いは何であるかを、心の奥底からしっかりと定めてきました。

天皇である私にとって、とても大切な宝物である、あなたたち国民が、
十分に世のため人のために心を尽くして、また十分に親孝行をして、
皆が心を一つにすることで、長い時間を経て、今のような美徳のある国になりましたが、

これは我が国のあり方の特長であり、
これこそが、教育の本質的・根本的なものであると、私は心から思います。
(人々の幸せに尽くすのが、日本という国で、日本は教育が行き届いている国だ)

🔴本文
あなたたち国民の皆さんには、以下のことを心がけてください。
父母には、感謝をして、親孝行をし、
兄弟は、仲良く助け合い、
夫婦は、お互いに深い愛情を持ち、
友達同士は、お互いに信じ合って、
他者を敬いながら、自らは慎み深くあることを、固く守って、
人々を等しく愛する心を持ち、その心を持って人々に接してください。
(周りの人を大切にしてください)

いろいろなことを学んで、知識を身につけて、
仕事が、より上手に出来るように、研鑽を続けて、
それによって、知識や物事への判断力をさらに深め、
人としての正しい行いや、自らの才能を、立派に完成させたら、
自分から積極的に、世の中の利益となるように行動して、
世のため人のために、今やるべき事を何でも行うようにしてください。
(得た知識を、世のため人のために使いなさい)

常に憲法や法律に従い、それを守って、
もし我が国に、一大事が起きたときには、正義のために勇気を振り絞って、我が国のためにその身を尽くして、
国の中心に皇室があることで、国民が一致団結することが出来る、君民一体の我が国を守っていきましょう。(国のために尽くす。天皇=日本が、未来永劫続く)
このことは、あなたたち国民が、心から我が国を愛する、立派な人々であるからだけではなく、
祖先からずっと続いている、我が国の素晴らしさを、広く世の中に明らかすることが出来るものです。

🔴末文
このような道理は、初代天皇や歴代の天皇が、伝え残してきた教えであり、
古来より今を生きる、あなたたち国民の皆が、一緒になって、この教えを守っていくべきだと思いますし、
いつの時代にも、普遍的なことであり、
世界中に広めても良いことだと思います。
天皇である私は、あなたたち国民と一緒に、そのような教えを忘れずに守り、常に行うよう心がけますので、
国民の誰もが、そのような人としての正しい行いをすることを、切に希望します。

明治23年(1890年)10月30日 明治天皇のお言葉として、ここに書き記します。


以下は、本文と言葉の解説付きの、意訳。

🔴首文
朕(ちん)惟フニ(おもうに)
我カ(わが)皇祖皇宗(こうそ こうそう)
國ヲ(くにを)肇ムルコト(はじむること)宏遠ニ(こうえんに)
德ヲ樹ツルコト(たつること)深厚ナリ(しんこうなり)

天皇である私がよく考えたところ、
私の祖先である、初代天皇や歴代の天皇が、
神様の命(神勅)により、我が国を治め始め育んでから、我が国はとても規模が広く大きなものとなり、
また、人としての正しい行いは何であるかを、心の奥底からしっかりと定めてきました。

惟フ よく考える おもんぱかる 思う
皇祖 初代天皇
高宗 歴代天皇
肇ムル 神の啓示を受けて、それによって始めること
宏遠 その果てが計り知れないほど規模が大きい。幅広く奥深い。
徳 行いが人の模範とするに足ること
樹ツル 物事をしっかりと立てる、定める。樹立。
深厚 心の奥底から出たもので、嘘偽りでは無い。

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我カ(わが)臣民(しんみん)
克ク(よく)忠ニ(ちゅうに)克ク(よく)孝ニ(こうに)
億兆(おくちょう)心ヲ一ニシテ(こころをいつにして)
世世(よよ)厥ノ(その)美ヲ(びを)濟セルハ(なせるは)

天皇である私にとって、とても大切な宝物である、あなたたち国民が、
十分に世のため人のために心を尽くして、また十分に親孝行をして、
皆が心を一つにすることで、長い時間を経て、今のような美徳のある国になりましたが、

臣民 大御宝おおみたから、赤子せきし、君民の信頼関係は親子のようであり、ただの国民、人民とは異なる。
克ク よくする。十分に。克明
忠 世のため人のために尽くす、忠義、忠誠
孝 親に仕える
億兆 多くの人民、万民
世世 代々
厥ノ 其の。助字。
濟セル 成就

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此レ(これ)我カ國體(こくたい)ノ精華ニシテ
敎育ノ淵源(えんげん)亦(また)實ニ(じつに)此ニ(ここに)存ス(ぞんす)

これは我が国のあり方の特長であり、
これこそが、教育の本質的・根本的なものであると、私は心から思います。
(人々の幸せに尽くすのが、日本という国で、日本は教育が行き届いている国だ)

國體 国柄。国のあり方。
精華 長所
淵源 本質的なもの。根本。
實ニ まことに。本心からそう思う。

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🔴本文
爾(なんじ)臣民(しんみん)
父母ニ孝ニ(ふぼに こうに)
兄弟ニ友ニ(けいていに ゆうに)
夫婦相和シ(ふうふ あいわし)
朋友相信シ(ほうゆう あいしんじ)
恭儉(きょうけん)己(おの)レヲ持(じ)シ
博愛(はくあい)衆(しゅう)ニ及(およ)ホシ

あなたたち国民の皆さんには、以下のことを心がけてください。
父母には、感謝をして、親孝行をし、
兄弟は、仲良く助け合い、
夫婦は、お互いに深い愛情を持ち、
友達同士は、お互いに信じ合って、
他者を敬いながら、自らは慎み深くあることを、固く守って、
人々を等しく愛する心を持ち、その心を持って人々に接してください。
(周りの人を大切にしてください)

友 手を取り合って助け合う。
恭儉 人を敬い尊重し、自分の行いは慎み深いこと。自らをコントロールする。
持(じ)シ 固く守る
博愛 ひろく愛すること。すべての人を等しく愛すること
衆 人々
及(およ)ホシ 追いつく。届く。達する。普及。

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學(がく)ヲ修(おさ)メ
業(ぎょう)ヲ習(なら)ヒ
以(もっ)テ智能(ちのう)ヲ啓發(けいはつ)シ
德器(とっき)ヲ成就(じょうじゅ)シ
進(すすん)テ公益(こうえき)ヲ廣(ひろ)メ
世務(せむ/せいむ)ヲ開(ひら)キ

いろいろなことを学んで、知識を身につけて、
仕事が、より上手に出来るように、研鑽を続けて、
それによって、知識や物事への判断力をさらに深め、
人としての正しい行いや、自らの才能を、立派に完成させたら、
自分から積極的に、世の中の利益となるように行動して、
世のため人のために、今やるべき事を何でも行うようにしてください。
(得た知識を、世のため人のために使いなさい)

修 身につける
業 作業、仕事、業務。
習 慣れる。繰り返し学習する。習慣、慣習。風習。習字。習得。
智能 知能 知識の蓄積や物事を判断する能力
啓發 より高い知性や理解を与えること。
德器 人徳と器量、才能。
成就 出来上がること、成し遂げること。
公益 公共の利益
世務 世の中の努め。当世とうせいにおいて社会・国家のためになすべき仕事。時務。
当世 とうせい。今の世。今時。

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常(つね)ニ國憲(こっけん)ヲ重(おもん)シ國法(こくほう)ニ遵(したが)ヒ
一旦緩急(いったんかんきゅう)アレハ義勇公(ぎゆうこう)ニ奉(ほう)シ
以(もっ)テ天壤無窮(てんじょうむきゅう)ノ皇運(こううん)ヲ扶翼(ふよく)スヘシ
是ノ如キハ(かくのごときは)獨リ(ひとり)朕(ちん)カ忠良(ちゅうりょう)ノ臣民(しんみん)タルノミナラス
又(また)以テ(もって)爾(なんじ)祖先(そせん)ノ遺風(いふう)ヲ顯彰(けんしょう)スルニ足ラン

常に憲法や法律に従い、それを守って、
もし我が国に、一大事が起きたときには、正義のために勇気を振り絞って、我が国のためにその身を尽くして、
国の中心に皇室があることで、国民が一致団結することが出来る、君民一体の我が国を守っていきましょう。(国のために尽くす。天皇=日本が、未来永劫続く)
このことは、あなたたち国民が、心から我が国を愛する、立派な人々であるからだけではなく、
祖先からずっと続いている、我が国の素晴らしさを、広く世の中に明らかすることが出来るものです。

遵 したがえる。したがう。法律や道徳に従うこと。遵守。
一旦 ひとたび。一朝。仮にも。一度。あるとき急に。
緩急 危急の場合。まさかの時。
義勇 正義と勇気。正義を愛する心から起きる勇気。
奉 つかえる。たてまつる。奉公:国家・主君に一身を捧げて仕えること。奉仕。献身的に尽くす。
義勇公(ぎゆうこう)ニ奉(ほう)シ 義勇をもって、国家や主君のためにつくす意。義勇奉公。
天壤無窮 天壌無窮の神勅。天地の存在する限り、長く永遠に繁栄し続けること。天地とともに永久に極まりないこと。
窮 究極。はて。きわまり。
扶翼 力を添えて助けること。扶助。上手く進むように助けること。かばい助けること。助ける。
是ノ如キ このような
獨リ 否定語を伴って、単に・・・だけではない。
忠良 忠義の人と善良な人 忠義は、私欲を差し挟まないで、まごころをつくして主君や国家に仕えること。忠節。
遺風 後世に残る昔の風習。後世に残っている先人の教えや芸風。昔から伝わっている風習。
顯彰 物事がはっきりとあらわれること。また、功績を世間に明らかにし表彰すること。

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🔴末文
斯ノ(この)道(みち)ハ實ニ(じつに)我カ皇祖皇宗ノ遺訓(いくん)ニシテ
子孫臣民ノ倶ニ(ともに)遵守スヘキ(じゅんしゅすべき)所(ところ)
之ヲ古今ニ通シテ謬(あやま)ラス
之ヲ中外ニ施シテ悖ラス(もとらず)
朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺(けんけんふくよう)シテ
咸(みな)其德ヲ(そのとくを)一ニセンコトヲ庶幾フ(こいねがう)

明治二十三年十月三十日
御名御璽(ぎょめい ぎょじ)

このような道理は、初代天皇や歴代の天皇が、伝え残してきた教えであり、
古来より今を生きる、あなたたち国民の皆が、一緒になって、この教えを守っていくべきだと思いますし、
いつの時代にも、普遍的なことであり、
世界中に広めても良いことだと思います。
天皇である私は、あなたたち国民と一緒に、そのような教えを忘れずに守り、常に行うよう心がけますので、
国民の誰もが、そのような人としての正しい行いをすることを、切に希望します。

明治23年(1890年)10月30日 明治天皇のお言葉として、ここに書き記します。

斯ノ 此の
道 道理。物事の当然のすじみち。 
實ニ 確実に。事実。実際に。まことに。非常に。ほんとうに。まったく。
遺訓 父祖から子孫への教訓、教え。故人の残した教え。
子孫 祖先から代々血筋や家系を引く人々。
倶ニ 同じように。一緒に。同時に。共に。
古今 昔と今
謬(あやま)ラス 正しい筋道である。適切。誤る。間違いでは無い。誤謬ごびゅう、まちがい。
中外 内と外。国内と国外。
施シテ 広い範囲に行き渡らせる。あまねく及ぼす。
悖ラス 悖るは、道理に背く。反する。ゆがむ。曲がる。
拳々 固く握って離さない。熱心な心を持ち続ける。
服膺 他人の戒めや命令などをしっかりと心に留めて忘れないこと。忘れずに守ること。胸にとめて常に行うこと。
拳々服膺 胸中に銘記して忘れず守ること。人から言われた訓戒などを、いつも忘れず、またそれに背かないように心がける。
咸 みな。すべて。ことごとく。あまねく。
德 道徳。人の守るべき道、行為の基準、正しい行い。
一ニいつに 「軌を一にする」考え方・やり方を同じくする。「機を一にする」時期を同じくする。 
庶幾フ 非常に強く希望する。切に望む。ねがいのぞむ。希う。庶幾う。こいねがう。冀う。請い願う。乞い願う。

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🔴備考
勅語とは、天皇のお言葉を文章にしたもの。天皇の個人的なお言葉。閣僚の署名や閣議は不要。
詔書 みことのり。例えば終戦詔書。全閣僚の署名、閣議決定が必要。

ありがとうございます。