見出し画像

リリカとリリィ vita sexualis

リリカとリリィ vita sexualis

プロローグ 🕊  🕊    🕊


私達は、いつも一緒の遊びをする
合わせ鏡をみるように
いつも一緒の服を着て
寝る時も一緒

母は、キレイな人だったけど病弱な人で
いつもベッドの上だった
いつも看護師さんがいてお世話をしていた

お父さんは、お母さんが好きで
お母さんの事を思っていて
家で一番、日当たりのいい明るい部屋が
母の部屋だった

その部屋が、家で一番広い部屋で
1日動けないでいるのだから
窓が大きく広い部屋に

母の状態が良い時は
母のベッドのそばで、
私達は遊んでいた

週2、3家に来る伯母さんは、
母のお姉さんで
いつも猫を抱いて、
ヒールの音を大きくたてて家に入ってくる人で

私達2人は
伯母さんを
大きな風船の上に猫を乗せているような人
のようと見ていて

来るたびに
父と何か言っていて
たまに聞こえくる時があって
「だからあの子は」、
「最初から難しかった」とか、色々

あの頃は分からなかった
母は、何回か手術をしていて
その事と思う

母は、私達が遊んでいる時に
あなた達は2人で一つと言った

そんなある日、
お母さんが死んだ
明るい死の床で

一番日当たりのいい部屋のベットの上で
光のシャワーが、降り注いでいるようだった

4人だけでの、小さなお葬式
父と伯母さんと私達2人
帰り、家の近くの原っぱで
(そこは草原のような場所で)
お母さんの体調の良い時は
お母さんも一緒にピクニックに来た場所
メイドが軽食を用意していた、その場所で
あの時と同じ、一緒のメニュー

お母さんとのお別れは、
さびしい感じはなかった
いなくなったという感じで
それは今も同じ、リリカとリリィには

私達は
小学校から大学迄の
エスカレーターの学校に行った
車での送り迎えで

中3になった時、お父さんにお願いをした
「進学は今の高校ではなく、お互い別々の高校にしたいと言う事だね」と父は繰り返した。
「私は、○○学園」とリリィ
「私は、○○○学院」とリリカ
私達は、ふふっと笑う
今の学校より学力上の学校で
「君達がそうしたいなら」と、父は言った

リリカとリリィは
父親がダメと言わない事はわかっていて、
言えば願いが叶う、お願いだとわかっていた

画像1

私達は、いつも一緒

家にいる時も、食事も眠る時も登下校も、
習い事も、いつも一緒で同じ物を
着るものも一緒
合わせ鏡のように

同じ物を見て、
同じ事をして、
同じ物を習って
学校は、クラスは違うけど
一緒にいるクラスメートも違う
クラブも違うけど
お互い見てる物は違う

でも、
同じ時間に
同じ校内に
同じ敷地内にいて
学校という同じ空間内にいる私達
基本、見ているものは同じ
だからなの?
お互い相手の考えている事がわかるのは?
と私達は笑う

私達は、毎日が楽しかった

お互い、
別々のクラスメートといても
廊下ですれ違いで目が合うだけで
思っている事が、
考えている事が、お互いにわかる

体育の授業で校庭にいる私
校舎の窓ガラスから授業を受けてるリリィに
ナニを考えているのか、わかる

リリィも、リリカがナニを考えているのか
校庭での体育の授業や運動会で走っている時、
文化祭での演目で芝居をしている時、
リリカが、彼女がナニを考えているかなんて
目が合えばわかる

急に気分が悪くなった時も、
一回校内でお芝居の予選の時、
私がリリカと変わった時

もわからなかった

私達がお互い相手の事がわかっても
体調迄は同じでは無かった

ただ一緒に風邪をひいたりする割合は高く
気分が悪くなったり、
体調が優れないのなんて、すぐわかる

私達は、いつも一緒

お互い見る物が、いる空間が同じ、でも
お互いに同じ時間で、共有する空間が違ったら
どうなの?
と思うようになった、お互い

母は、
私達を2人で一つと言った
明るい死の床で

どんな時も、
離れていても
お互いの事がわかる、それは楽しかった

でも、それは
ずっと一緒にいるからと思った
毎日、違う時間を過ごしたら?
毎日、違うものを見て
毎日、違う体験をして
毎日、違う空間にいたら
私達は、今迄通り
相手の事がわかるのかしらと思った

私達は
家でも、別々の部屋ではなくて
いつも一緒の部屋、
眠る時も同じベッドで寝る

だからなのか、
母が亡くなっても
さみしいなんて思う事はなかった

そして
そのたびに思うの、
私達を2人で一つと言った母

私達は
お互い合わせ鏡を魅るように魅る
そのたびに左右対称の私達

ねぇリリカ
ねぇリリィ

お風呂にも入るも一緒
小さい時から一緒
いつも一緒

温室のようなバスルーム
湯気で蒸せる花の香り
シャワーで掛け合ったり
バスタブに入って向き合っては、
私達は、遊ぶ
鏡があるように手を合わせ
鏡と現実
向こう側と
こちら側の遊びをする

そして、
いつも
そのたびに思うの
「鏡には映らない心臓
 現実の私がいる」と

リリカが
私の現実で
リリィ(私)が、鏡に映る幻?

リリィが
私の現実で
リリか(私)が、鏡に映る幻?
(左よりの心臓は
向い合わせでも、同じ位置にはならなくて)
私達は
その度に笑う

本当は1人で、双子じゃない?って
私達が、オカシイ?
ソレハ、ない。

だって高校の受験票が、
合格書が、
2つの違う制服、
私達は笑う、楽しくて♬
入学式の写真、
生徒手帳が証明してくれる

現実の私が、いるって

NEXT 

この話は、近藤かきね新セラフィタ」からインスパイア受けたモノです🤍🤍



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?