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陽炎4 仮面の赤影の忍者 二次小説 1519文字

皮がパリッと焼けた順から魚が手渡されていき、それぞれ大きく齧り付きガツガツ口にする音に、熱く焦げ焼けた匂いに口にする身の美味さ、言い合い喋り、芋はまだかと釜戸にいる下っ端に声をかける髭面


陽炎は、後帯うしろおびから挟んでいた半紙を取り出し、人差し指と中指で半紙を挟む。ふにゃとしていた半紙はピンと板のように真っ直ぐになり、固い縄に紙で撫でる

スルッと縄は切れ下に落ちる


陽炎は、ゆらっと着物を脱いで力なく立ち上がる
その様は静かに揺らめく白い蝋燭のよう
後ろ姿は、とても幽玄的で男5人食事に気を取られているのか、まだ誰も気がつかないでいた

自分に一番近い、尾から口に串一本通った魚に、毛むくじゃらな腕がもう一本と手を伸ばし喰らいついている

陽炎は、男の後ろ姿の分厚い左肩に手を置く
男は、蚊にとまられた程にも気づかない
また、誰も女が背後にしゃがみ男に手を置いた事にも気づかない

陽炎は、男の前首を半紙でシュッと滑らせる
ピューーーーーと血が、囲炉裏を囲み魚を喰らいつく男達に飛ぶ
仲間達は、なんだ!何が?!と、陽炎を見て一斉に声をだす

陽炎は、男の髪を鷲掴みに立っている
血がひとしきり吹き飛ぶと、陽炎は男を横に飛ばす

大きな体は重い音を大きく立て、男達は一斉に倒れた男を見、側で全裸で立ってる女を見る


「なんだぁ」
「お前!」
全員、ぎょと驚き、口々に大きな声を出す


全裸の女にも驚いたが、つい裸の体を下から舐めるように見、その続きに女の顔を見ると、みなまじまじと妖怪でも見るような顔、顔、顔、顔を疑視


美しい白い身体は見惚れるものの、目が白目で瞳孔がない

皆、尋常でない恐怖を思った


白目の笑顔は、禍々しい嫌悪を感じさせ、淫欲の気持ちも起こさせず、巨大な白い百足を思わせ、嫌悪と恐ろしさから後退る抜け忍達。変化、変容と大概な物は見慣れてはいるものの、二の句が出ないでいた

全員、白目で見えるのかと唾を飲み込んだ


「はは、さっきの女だなお前」
小屋に入ってから頭領と思える男が口を開いた
言ってる事に間抜けのようにも思ったが、他に言う事が思いつかなかった


「見て、わからんかな」
陽炎は、私以外に女がいるかといった感じで両手を広げる


「お前ナニモンだ。すり替わったな。女をどこにやった」左頬に傷のある男が、やはり別の女と思ったようだ
頭領は、女の脱ぎ捨てられた着物に疑念を、女の異質さに目を見張っていた


「最初から、私が陽炎だ」


「着物を脱いで、俺達とやりまくる気持ちになったのか」さっきと同じ左頬の男が卑猥な顔も淫靡な声もわざと似せたもので、実際はそんな気持ちが湧かないでいた


陽炎は、横に顔を向け、投げ捨てた首から血を流してる毛むくじゃらの男の頭を蹴り踏みつけ
「この男を見て、なぜそう思う。着物に血をつける気がしなくてな。ふむ、こうすればわかるか」


陽炎が一歩踏み出すと、陽炎から左手にいた左頬に傷がある男が、陽炎の持つ半紙で両目を、首をさっくり切られ、陽炎はもう男の後に回っており、男達は前に一歩出たと思ったら仲間の男の後に既にいる事に驚き凍りつく中、男の首から血は吹き飛び、囲炉裏の魚や男達にかかり、一瞬で修羅の世界に迷い込んだと思うと同時、ここで初めて皆脇差しや小刀、ナタを手に構え、囲んでいた囲炉裏から後ずさり、陽炎も、彼等に合わせて前に進みでる

それを見て彼ら、また後ろにざっと下がり、陽炎は頭が座っていた場所に立っていた
距離が詰まっていた

考えられない事だった

敵に会えば、無意識に体が己の武器を手に構えるのに、まして自分達は元忍
(自分達に、何が起こったと思った)

土間にいる下っ端が、ただただ見開き驚愕した顔を、陽炎越しに三人の眼に映っていた 


続く→
陽炎5 仮面の赤影の忍者 二次小説

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