#23 “チャンキー”なスタッフがいなくなった
田中さん
ニューオリンズのガンボとか、沖縄のチャンプルーとか、(文化の)ごった煮な感じというのが僕はけっこう好きなんです。
この往復書簡ブログ?のタイトルにさせてもらってる「無風状態」の作曲者である細野さんは、世界中の音楽の要素をごちゃ混ぜにした自身のスタイルを、ちゃんこ鍋になぞらえ「チャンキー・サウンド」って呼んでましたね。
僕らがこの業界に足を踏み入れたのは、だいたい同じ頃なんだと思うけど、あの頃は本当に支援業界というのは“チャンキー”でしたよね?
僕だってハローワークでたまたま見つけて、「ひきこもり」も「NPO法人」もわからず仕事としてはじめたわけだし、田中さんだって異業種からの中途採用なわけだよね。お互い無資格者だしさw。
そんな出自のよくわからないミステリアスな大人たちが、よってたかって、どうしてそうなっちゃったのかよくわからない若者たちの面倒をみていたんだけど、それなりに成果を出してたよね。
それが委託事業の仕様書に、キャリアカウンセラーの資格保有者とか、臨床心理士を1名配置ということになって、委託事業を受けてもこれまでのミステリアスな出自の既存スタッフは、そこでは働かせることができなくて。
今思えば笑っちゃうんだけど、みんなで慌ててキャリコンの資格を取ってたんだよね。そして専門性が整理され、役割分担が生まれた時代が到来した。
僕らは10年遅かったら、「資格がないとちょっとぉ」とか言われて、この業界には入れなかった二人なんだよね。
石井
石井さま
そう、僕、20代は編集者で、毎日看護師さんや医師のインタビューしてましたもんね。
前職NPOに出会ったのも、取材活動を通じてで、毎月取材に訪れてはそのあと飲んでるうちに、ズボッとこの世界に入ってしまったのです。
あの、90年代中頃までは、不登校やひきこもり支援者のほとんどが“チャンキー“でした。
看護師さんや保育士さんなんかもボランティアで来られていましたが、彼女ら彼らは、日頃の専門性から若干自由になって、それこそ看護師という専門性/一般性ではなく、その人は世界に一人であるという「単独性」で臨み、そのことを楽しんでましたね。
臨床心理士が資格化された初期の頃もそのノリは十分残っていたのですが、ゼロ年代半ば頃からそのノリはほぼなくなった。
その頃にはPSWやキャリアカウンセラーもこの業界に参入するようになり、特にキャリアカウンセラーの質の低さが目に付くようになりました。
それら専門家たちはかなり規範的であり(学校の先生以上)、社会のメインストリームに戻ることが「良い」ことだと無反省に信じている。
僕も批判はあまりしたくないんだけども、専門性が本格導入されたここ10年弱、明らかに子ども若者支援者の質が低くなってるんですね。
そりゃ、専門家は心理テストや職業適性検査は提供できますが(まあこれらのテストシステムも、規範的社会参加システムの一機能ですが)。
僕らだからこそ言えると思って、あえて問題提起しています。★
田中
細野さんのチャンキーサウンドをお楽しみ下さい(石井)
【告知】田中と石井の「無風トーク」を開催致します!
11月14日(金)夕方から、大阪の阿倍野にある『aima Cafe』(予定)で、田中と石井の「無風トーク」を開催致します!是非、僕らのおしゃべりを聴きに来て下さい。出来れば、若者支援者からの質問に答え続けるLIVEな企画にしたいと思っています。
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