#26 決めてくれないカウンセラーと決めちゃう変な大人

田中さん

この間のスローカーブの話をちょっとさせて下さい。おさらい的に以下をコピペっておきます。

「変な大人」っていうのはよくわからないくせにきっとこうだろうと慈愛に満ちた勝手さで答えを提示してしまうんです。そのスローカーブが実はひきこもり経験者の若者たちに打ちやすい球だったりすのだろう。

キャリアカウンセラーというのは、答えはクライエントの心の中にあると教えを受けます。よって内省を深め、自身の中の答えに辿り着くお手伝いを傾聴などのテクニックを使って行なうわけです。

だからカウンセラーは勝手に答えを提示しちゃいけないんです。

でもこれって、いろいろな経験をしてきた方が、いろんな選択肢の中からベストチョイスをするとかならいいけど、ひきこもり経験者や、職業経験が極端に浅い、選択肢がない方には非常に酷なやり方なんです。

内省を深めれば深めるほど、自分が嫌になってしまうんです。むしろ、そこから逃がしてあげるために、その方の実現可能レベル合わせた提案(スローカーブ)をしてあげるべきなんです。

だからキャリアカウンセラーが使えないんじゃなくて、カウンセリングのノウハウが使えないと言った方が正しいんだよ、本当は。

でもそうなると残るのは、田中さんの言う、世界に一人であるという「単独性」で臨むしかなくなるわけだよね。

ここに彼らのキツさがあるんだと思うんだ。 そもそもアメリカ式の主体的なビジネスパーソンがお金払って受けるようなメソッドが、ひきこもり青年たちに通じるはずがないんですよ、残念ながら。

それよりも、変な大人が目の前の若者を見立てて、打てそうなゆるいスローカーブを投げてあげて、打ったら「やるじゃん」とか言ってた方がいいんです。

そこにシフトできるカウンセラーと、出来ないカウンセラーがいるんでしょうね。まあ、後者を規範的な専門家と僕らは揶揄しているんだけど、それも曖昧な専門性の中で頑にならざる得ないというわけなんだね。 

石巻でバイターンに取り組むNPO法人Switchの高橋理事長の趣味丸出しのPC。彼女は鉄道オタクのスピード狂です。今度紹介しますね。

                                いしい

スローカーブという他者

石井さま

ひきこもりやニート青年は経験が少ないので内面から答えは出ず、変な大人的な支援者が「スローカーブ」を投げて打ってもらう。

内面の答えを待つのはキャリアカウンセラーだけではなく、臨床心理士も当然含まれると思います。

もっと言うと、最近の人間関係全般がそんな感じでもあるような。

つまり、①「本当の自分」というのは「外」にあるのではなくて、生まれた時から元々持っているものだという90年ごろからの風潮が一番背景にあって、

② 95年の阪神大震災以降のカウンセリングブームを由来として社会に定着した「内面の答えを待つ」、といういわば「二重の内面の答え」です。

でもね、ここ5年ほどは除いて、中流社会の安定した世界が続いた日本では、若者の世界も安定しており、それほど経験できない。

特異な経験といえば「ひきこもり」程度ですが、ひきこもりは徹底的に「他者=外部」がない。

元々そんなたいした内面がない若者たちに「内面を語れ」という態度でひたすら待つのは、その受容的ソフトな佇まいとは反対に、随分横暴でデリカシーがない支援だと僕は思うんですね。

だから、「スローカーブという他者」は求められていると思うのです。★

                                                                                                   田中

★11/14夜@aimaカフェ(大阪市阿倍野区、予定)での第一回「無風トーク」、その日は昼間、実は住吉区tameruカフェのフォーラム「子ども若者のクォリティ・オブ・ライフ」があります。石井さんはそのゲストで来られます。昼間のフォーラムの余韻を抱えたまま、無風トークでは暴風が吹き荒れるか、凪ってしまうか。(田中)          

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