#105 「絶対的孤独の地平でトークする我々(僕と彼女彼)」の暗黙知は形式知化できるのか?

石井さま

2019年度「大和証券グループ 輝く未来へ こども応援基金」受賞、おめでとう! 石井さんがNPOパノラマを立ち上げるちょっと前、「シェアコロ」で奮闘していたあの頃を思い出すと、僕もすごく嬉しくなりました。パノラマのミッションがより浸透していけばいいですね。

さて、前回の最後に、 「田中さんの言う『絶対的孤独を引き出す』というのは、“素の自分に戻れる場所”を一時的に提供できているんだろうね。それどうやってるの?」 と石井さんが書いてましたが、それほど意識はしていません。

けれども、「絶対的孤独の地平でトークする我々(僕と彼女彼)」という雰囲気は度々感じています。 それは1時間もありませんが、20分程度であれば、「時空を超えた(哲学風に言うと『蝶番〈ちょうつがい〉の外れた』)時間」は確実に僕と彼女彼を覆います。

その瞬間の時空は、ものすごく緊張してるけど、ものすごく気持ちいいというか、何かが抜けている。楽しい。くつろいでいる。 そこでボソボソと「魂」が語られていくわけですが、その手法は、と問われると、最近の僕はどうでもよくなっています。

それはたぶん、石井さんの関わりの中にも当たり前のように降りている。

ドーナツトークでいうと、たとえばオックンや辻P(ふたりともPSW)の関わりの中にも時々降りている。 あ、スズキ氏(元当事者)のトーク中にも降りている。

亡くなった河合隼雄は「ジェニュイン」なんて気取って書いていましたが、僕にとっては、「ロック」とか「ライ麦」とか「魂」とか「ATフィールド」とか「言いたいことを言える」とか「自分にはなにもないけど寄り添うことはできる」とか、もはやなんでもいいんですね。

これ以上、「脱ぎ」ようのない、裸で佇むしかない、かつ微笑とともにそれを行ないつつ目の前の若者の話も聞けるという、そんな澄んだ星の上でやんわり座っていられるような境地からボソボソ語ることができれば。

田中俊英

田中さん

ありがとうございます。おかげさまで、起業したときから考えてきた「支援者支援」にぐっと歩み寄れそうです。そういえば、授賞式で大和証券の中田社長が「資本主義は格差を拡大します。だから本業で稼いだ利益を社会貢献に投資しなければならない」と言っていて、なんか清々しい思いになりました。

さて、前回のぼくの問いは、まさに“支援者支援”に向き合っていこうといしているぼくが、今目指している「暗黙知の形式知化」なんですよ。田中さんやぼくが何の気なしにやっていることの理屈を明らかにして、それを言語化していきたいんです。

ぼくも田中さんも、支援の言語化にはそれなりに貢献してきたと思うんだけど、それ広い意味での啓発だったり、同業者に対してはマインド・セット的なことをしてきたんだと思うんですよ。

これをもう一段引き上げて、現場で使える知識にしていきたいんです。多分、ここで田中さんがとても抽象的に語っていることを、ドーナツ・スタッフは田中さんの佇まいという視覚情報と足して、自分の支援の糧にしているんだと思うんだけど、そうじゃない人たちにとってはチンプンカンプンだと思うわけ。

だからさ、「もはやなんでもいいんですね」じゃなく、もう一踏ん張りしてちゃんと言葉にしていこうよ。

ぼくの個人的なモチベーションは、一貫して支援者やユースワーカーたちのステータス・アップによる正当な対価の獲得なんですよね。ぼくはそこに貢献するために、しばらく「暗黙知の形式知化」に拘りますよ。田中さんにも付き合ってもらわないと困りますからね!

いしい


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