#64 アスペルガーの母はアスペルガー?

田中さん

ちょっとぼくの感じていることで、田中さんと話したいことができたので、急に発達障がいネタにさせてもらいます。

よく、講演終了後に保護者の方がぼくのところへやって来て、「子どもが病院でアスペルガーと診断されたんだけど、どうしたらいいでしょうか?」という、まとめればこれくらい文字数のことを永遠と話つづける保護者の方がいます。

ぼくに挨拶したい他の方々が後ろで列を作り、ぼくもそちらをチラチラ見て、“早く話を終わらせて下さいオーラ”を出すんだけど、その保護者には全然伝わりません。

まぁ、お構いなしなんですね。次の方と目が合って苦笑しあったりして。

興味深いことに、これは一回あったという話ではなく、形を変えて何度も経験していることなんだよね。

恐らく、講演をする支援者たちの摺り合わせられていないクローズドな「あるあるネタ」なんだと思うんだよ。

ぼくは“早く話を終わらせて下さいオーラ”を出しながら思うわけです。

「このお母さんもひょっとしてアスペルガーではないか?」と。

そして、子どもとのアスペルガー特性の程度差はあんまりなく、差があるのは、保護者の方の社会(就労)経験、愛され経験という正の学習経験からの自己効力感の高さのかなと。

要するに、同じ特性の親子なんだけど、生まれて来た時代背景により、生きにくさとならなかった保護者と、生きにくさになってしまった子どもっていうことを感じずにはいられないわけ。

田中さんはどう思う??

                                いしい

石井さま

これはやはり「あるあるネタ」なんですね。というか、アスペルガーの遺伝の話は科学的な根拠がなくても「あるあるネタ」として語られればいいんじゃないかとも僕は思っています。

発達障がいに関する遺伝率の高さは、僕はまだわかったようでよくわかりません。どちらかというと、このサイト(http://leaf-school.jp/hattatsu/aspe.html)の意見に近いかも。
遺伝であるといわれることは多いですが、まだ一般化されていないと思うんですね。

石井さんの意見もこれとたぶんよく似ているからこそ、「あるあるネタ」となかば揶揄して書いてるんだと思います。

けど、長年僕もたくさんの人と面談・支援してきて思うのは、一応信頼関係を構築できたと思われる親御さんとの会話では、「発達障がいと遺伝」に関しては結構ポジティブに受け入れられることが多い。

むしろ、発達障がいは遺伝であると語ることが、親御さんとの円滑な関係を結べます。

そんな雰囲気になった時、親御さんのみなさんは、なんというか、誰かに「背中」を押してほしいのかなあ、と思ったりします。

親御さんの親御さんも実はそうした傾向を持っていた、なんていうトークも出てきたりして、そうなってくると、僕が担当している若者の「リアルな社会参加」についてのトークが始まったりする。

リアルな社会参加とは、障害者手帳や障害年金も使った「自立」のことです。

でも、発達障がいは時代時代の社会背景との関連も密接なため(団塊世代にもたくさん発達凸凹はいらっしゃるが、1970年は正社員率が大卒の場合確か80%あたり)、遺伝と環境の議論はなかなか一般化できません。

だから、支援に有効であればそれを使いつつ、同時に「あるあるネタ」で構わないのでは、なんて僕は思います。★

                                 田中

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