#17 みんな、ミッションが苦手なのでは?

田中さん

前回、「ミッション」と「ビジョン」で語り切ろうとすることに限界が来ていると書きましたが、そもそもそんなものは言葉遊びでしかないのではないか、なんてことを考えたりすることが田中さんにはありませんか?

僕は思うんです。そして、どこかで言葉遊びでいいのではないかとも思ってたりするんですね。ただし、その遊びが夢中になれる遊びかどうかが問題だと思うんです。

今回もまた引用をさせていただきますね。これは僕のフェイスブックのコメント欄に知り合いのNPO法人職員が書いてくれた投稿になります。

課題解決のために設立したNPOは、そのための事業(自主事業)をやっていくことが目的・存在意義のはずなのに、組織を維持するという副次的な目的のために委託事業を始め、その結果本来のやりたいことができないというジレンマを抱える。

僕はこの視点がスタッフ側から見えるNPO法人像の典型として面白いと思いました。

理事長的経営感覚に立てば、委託事業は副次的ではなく、ミッションそのものだったり、若干の拡大解釈程度だったりすることが多いし、時代の風を読みながらマイナーチェンジしつつ生き残りを常に考えるわけです。

要するに経営者は清濁合わせ飲むわけですよ、濁った水をぐいっと。多分、時には鼻をつまんででもね。

でも、給料もらう側の現場は清い水しか飲みたくないし、その美味しいお水を飲むために高いお金払って資格取ってたり、ピュアな自己実現派のスタッフが多い。或いはもらえるものがもらえればそれでいい職業割り切り派のスタッフかね。

だから現場には「なんでこんな仕事取って来るのか意味わからない」とか、「うちの団体ってどこに向かってんだろ」なんて言葉が毎日飛び交う。でも、理事長はミッション内なんですね。

ここにミッションの大きな齟齬がある。初めに戻ると、経営者感覚に基づく「ミッション」や「ビジョン」で、マジョリティである職員層を語り切れるわけがない。

この語り口を捨てないと本質には迫れないのではないかって。じゃあ、どうしたらいいんだろうね、田中さん、どう思う?

田中さん、僕はピア二カを手に入れましたよ。

                                   石井

石井さま

なかなかディープな議論が続いてますね。

石井さんのお知り合いの以下のメモは非常に示唆に飛んでいますね。

そう、NPOは確かに「課題解決のために」設立されます。この方が書かれているとおり、そのために自主事業(たとえば引きこもり支援等)が開始されるのですが、主として経営安定のために多くは委託事業に手を染める。

この順番がある意味インパクトがあるため(①課題→②設立→③自主事業→④委託事業)、ソーシャルセクターであるNPOの最大理由「ミッション」が見えなくなってくるんですね。

ミッションは、①と②のあいだ、あるいは②と同時に発見されると思います。が、NPO等のソーシャルセクター黎明期の日本では、課題にぶつかったあと大慌てで法人を設立し、自主的に支援を始めてしまう。

言い換えると、現状を分析し、「目標」を掲げ、それを共有して具体的に展開するという(これが「戦略」)流れが一気に飛ばされて、目の前の課題にぶつかっていきます。

目の前の課題に実際にぶつかるのは現場スタッフです。この現場スタッフ達には、戦略あるいはその上位概念のミッションは伝わらない。

僕は、石井さんが言われるように、経営陣と現場の乖離があるとは思うのですが、大急ぎで②から③に向かう経営陣も珍しくないことから、つまりは、日本人全体がミッションや戦略に向いてないという身も蓋もない結論に到達する寸前です。★             

                                田中

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