♯55 ボカシ文化のソーシャルセクターでミッションを具体化する意味とは?(前編)

石井さま

ミッションについてですが、前回石井さんが書いていたのは、スタッフ間でのミッションの共有の難しさですよね。確かにそれはあります。

僕はもうひとつ、そもそもの「ミッションの内容」もポイントだと思ってるんですね。

以前の組織で(NPOだけではなくその前の任意団体「ドーナツトーク社」でも)「コミュニケーション」や「ネットワーク」等、その時はそれなりに斬新だったんですが、まあ少し大きな意味すぎるミッションを掲げていたわけです。

それはそれでよかった。

けれども、時代が変わり「NPO2.0」の状況になった今、各ソーシャルセクター(広い意味でのNPO=非営利組織……特定非営利活動法人に加えて、一般社団法人、株式会社、社会福祉法人等、その他もろもろのソーシャルビジネスを手掛ける組織を指します。

また、「公益法人」(利益を配当せず解散時に財産を自治体等に提供する、も指してもいい)は、もっと具体的なミッションが必要になったと思うのです。

だからドーナツトークでは、「子ども若者と『サードプレイス』をつなぐ」という具体的ミッションを設定しました。またこのミッションを掲げる期間も、2020年を目安にしています。

ドーナツトークのビジョン他については、このサイトを参照いただければ幸いです。

サードプレイスという「居場所」をつくることで(直営と間接経営織り交ぜて)、子どもと若者を支援する、という「新時代」の具体性をもってきたのです。

これを浸透させる組織のスタッフについても、ドーナツトークの人事戦略があるのですが、それは次回以降に。★

                                 田中

田中さん

今回、田中さんが言っている「ミッションを具体的にする」って、具体的にすればするほど、ミッションは「目標」というチープなものになるだろうということと、「目標」になった途端に、達成度が容易く評価されてしまう恐怖が生じちゃう(笑)っていうことをぼくは考えました。

そういった意味で、ぼくはボカシましたね、ミッションを。ちなみに「若者と保護者、教える人と支える人が笑顔で暮らせる社会創り」っていうのが合宿で決めたシェアコロのミッションなんですけど。

「教える人と支える人」っていうのは先生と支援者で、そこへの支援をするぞっていう宣言なんですけどボカシたんです。理由はいろんな拡大解釈ができる隙を作って長く使えるようにってことです。

それを「いかん!」と田中さんは言ってるんですよね?これまでは良かったけど、「NPO2.0」(ぼくはまだイマイチ理解していませんが)になった今は、「いかん!」と。

でもね、これは揚げ足取るつもりはないけど、「サードプレイス」もある種のボカシ語だと思うんですよ。何に、どこに、誰にを具体化していないという点で。

それで、NPO法人の申請手続きのときのことを思い出したんです。定款の作成もボカシ語のオンパレードでさ、具体的なことを書くとボカシ語を使えと指導が入るわけ(笑)。「若者」ではなく「若者等」にしておきましょうと。

ちなみにNPO法人パノラマの第5条は以下です。

第5条 この法人は、第3条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1)特定非営利活動に係る事業
 ① 若者等の社会的自立支援事業
 ② 若者等の雇用機会提供事業
 ③ 若年者問題に関わる啓発・情報提供事業
 ④ 人材育成事業
 ⑤ 調査研究事業
 ⑥ その他、この法人が掲げる目的を達成するために必要な事業  

まあ、ここには課題集中校のとか、貧困なんて言葉は入れないわけです。定款に書いてないことが出来ないわけだから、法人がいろんなことにチャレンジする際の足かせにならないようにするためにね。

仕様書っていうのもある種の拡大解釈の余地を残す書き方がされているわけだけど、あれもケースバイケースを包括し、事業をスムースに運営するための余白ですよね。

何が言いたいかというと、田中さんのいうソーシャル・セクターはボカシの文化の中で、騙しだまし成熟していっているんじゃないだろうか?ミッションが曖昧になるには然るべき理由があるんじゃないのってことです。

具体的にするのは誰得なんだろうぁ、と考えてみました。まあ、団体が得するんだろうけど。そこ、次回期待していますのでよろしくね。

                                いしい

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