#56 ボカシ文化のソーシャルセクターでミッションを具体化する意味とは?(中編)
石井さま
そうか、ミッションを具体化するということは、誰かが「得」するということか。
でも言い換えると、ミッションの具体化とは、その「誰か」を具体化するということなんだなあとも今回思いました。
ドーナツトークでいうと、その「誰か」とは明らかにハイティーンや高校生なわけです。
もっと具体的には、虐待サバイバーの女性ハイティーンであったり、貧困家庭で孤立化するハイティーンですね。
それらハイティーンの「当事者」が、僕としては長い支援の仕事のなかでの「最後の対象」(もうひとつ、「親」になったハイティーン、つまりはシングルマザーへの文化支援も見据えてはいますが、それは少し先のことになります)だと想定しています(それにより虐待の連鎖をストップしたい)。
僕としては、そうしたハイティーンたちが「得」する支援、仕事、行動をとっていきたいと思っており、こうしたことに理解ある社会になってほしいと思っています。
サードプレイスも「ボカシ」だと自覚しているんです。だから次のミッションを再構成する予定の2020年には(もうちょっと早くなるかもしれないけど)、さらに具体的な(つまりはボカシのあまりない)ミッションに変更したいですね。
そのとき、サービスの受け手になるハイティーンたちがさらに「得」するような具体的ミッションにしたいと思っています。★
田中
田中さん
ぼくが「誰得?」と言ったのは、団体のミッションが明確になることで、団体の個性にエッジが立つ。そうなると、行政委託にしろ、当事者の相談先にしろ、依頼を出す側は自分のニーズと照らし合わせやすくなる。
そうなることで、団体や支援者のみならず、被支援者も得をするという論拠なのかな?と、書いていない部分を想像してみたんです。
でもね、いつも思うのは対象を具体化するということは、対象外のニーズも具体化させてしまうことになるんだよね。それって、よりニッチになっていくってことでもあるよね?
だから、具体化を進めるってことは社会的包摂と別ベクトルに針が振れることなんじゃないのかな?ってのがぼくのジレンマとしてあるし、それがソーシャル・セクターのジレンマなんじゃないのかな?
田中さんの言ってる(それが「NPO2.0」なのかはわからないけど)、掲げた具体的なミッションと支援実態が近づいていくことを良しとする考えた方は、自団体がこぼしてしまうニーズを拾えるネットワークやプレイヤーがちゃんといる前提じゃないと成立しなくないかなとか。
それと、経営者的には、ミッションの具体化により、その組織で働く人たちの支援者としての嗜好を限定してしまい、設立者の嗜好が強烈に全面に出るというのがちょっと怖い。
支援者って、理事長が頑張って取って来た委託事業も、「それは私がしたい支援じゃない」とか言って辞めるじゃん。
まあ、見せ方なんだろうけどミッションはどでかく、そのかわり誰のための支援なのか、どのような手法を取るのかは明確にでよくない?と、まだまだミッションの具体化に懐疑的なぼくでした(笑)
でも、この話面白いからつづけましょう。それと、無風状態でしか田中さんをウォッチしていない無風ファンには「NPO2.0」がわからないだろうから、今後の議論の土台として、一度、是非ここで説明して下さい。
いしい
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