#2 高校のバイト禁止って…

田中さんへ

前回の、相談者の『他者への扉』を開けて、社会とつながるきっかけを作るドアーズってかっこいいですね。ゴールを決めるのではなく、扉を開けるお手伝い、それが支援者の仕事。なんかしっくりきます。

言われてみると、僕は次の専門家にパスを出すという田中さんのスタンスよりも踏み込んだ、ゴールを決めようというおこがましさがあったような気がするなあ。それが緘黙の方には重かったのかもしれませんね。

ところで、社会とつながるきっかけとしてのアルバイトについて、田中さんはどんな考えを持っていますか? 僕のやってる「バイターン」(バイトとインターンをかけた石井発案の造語)を広めていく過程で、高校のバイト禁止文化とバッティングすることが最近ちょくちょくあって。

僕自身は、非正規は問題のある働き方なのではなく、非正規であり続けることが問題なんだと言ってるんですけどね。

最近では、ちょっと進んだ先生から「バイト禁止を論破するいい理論はないですかね?」なんて言われるんですよ。田中さんなら、なんて答えます?また、お時間のあるときにお返事くださいねえ~。

                                                                                           石井より

石井さんへ

古い学校はいまだにバイト禁止みたいですね〜。

若い頃のバイト経験の重要性はもう説明不要だと思いますから、わかっていてもそのバイト禁止のルールを変化できないことは、「教師文化の保守性」を考えるうえで格好の事例でもあるような。

それはさておき、学校のバイト禁止文化にぶち当たった時、この頃の僕は、「まずは『高校生居場所カフェ』から試してみません?」とお願いすることにしています。

つまり、「となりカフェ」のような取り組みをまずは試していただき、学校に第三者の大人が入ることやその第三者と「働くこと」について語ることはそれなりに有効なんだと、現場の先生たちにまずは納得してもらう段階が必要なんじゃないかということです。

その有効性に気づいてもらうには、短くて一つの学期、長ければ丸々1年間くらいはかかると思います。カフェに通う生徒たちの表情が実際に変わった、そのために先生たちとカフェスタッフたちは共同で支援に取り組んできた等の、地味だけれども一定の実績示して始めて、その次の段階。

つまり「バイト面接を落ち続けているあの生徒のことをカフェスタッフに一度任せてみようじゃないか」という雰囲気が生まれるのでは、と思っています。

その段階になって初めて、「バイターン」という言葉を提示するほうが有効なのでは、とこの頃は思っています。

                              田中より

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