#22 曖昧な専門性では「単独的支援」は難しい

石井さま

ミッションから話はケースカンファレンス、そして「子ども若者支援業界の曖昧な専門性」へと話が移行してきましたね。「無風」どころか、ますます風が吹いてきた〜

僕は今、コンサルやスーパーバイザーのような仕事もしていて、最近痛感するのが、「子ども若者支援には『替え』が効かない」場合があるということです。

子ども若者支援には、我々のようなある種の「変な大人」(世の常識から自由な人たち)のあり方そのものが、結果として子ども若者を癒すというメカニズムがあると思います。

あるいはそこ(変な大人)までいかなくても、ひきこもりや不登校から勇気を持って出てきてそこで初めて出会った大人というのは、彼女ら彼ら当事者にとっては、本当に貴重な存在だと思うんです。

そうした「外の世界で初めて心を許した大人」は、たとえば「臨床心理士1名」や「支援スタッフ1名」といった「事業仕様書の1名」ではない。

その大人、あるいは支援者は、なかなか替えが効かない人なんですね。

そういう意味で、圧倒的な専門家だと思うのです。

まずはこうした、子ども若者にとっての「替えが効かない専門家」であるということを自覚することから、我々の業界はスタートする必要があるのではないか。

用語の統一も、多ジャンルの人々が集うための技術のように思います。

言いかえると、様々な子ども若者が、その子ども若者という単独性の尊重という点でまずは支援機関につながっているため、我々はいろいろなジャンルの寄せ集めになってしまう。

だからまずは目の前の単独性を尊重しよう、そのために用語の統一性と担当性の徹底があると思います。ああ、つい書きすぎてしまう〜

                                田中★

田中さん

「外の世界で初めて心を許した大人」っていうのは、「無風状態」の第一回目のカンモクの若者にどう寄り添うかっていう話で、田中さんが書いた、他者への扉を開く「ドアーズ」と連続した話になっていて、興味深いですね。

「替えが効かない専門家」ということと「属人性」について僕はちょっと書いてみたいです。

僕たちがドアを開くとき、田中であったり石井にしかできない属人的なスキルを発揮しているんですよね。それは僕ら二人だけじゃなく、ありとあらゆる支援者が、その人にしかできない属人的な力を発揮していると言っていいと思うんです。

ただ、若者が「通ってもいいな」と思うドアはたったひとつしかない場合もあれば、けっこうたくさんある場合もあり、これが困難度ということなのかもしれません。

そういった意味で、困難ケースを担当する僕らは、数少ないドアを探り当てる能力の高い支援者なんだと思いますし、僕らに開けれなかったドアを新人君やボラがスッと開けちゃう時もあるわけです。

そしてその無数にあるドアは「どこでもドア」のようになっていて、いろいろな場所に行くことができるんです。

どういうことかというと、田中さんが開けた赤い色のドアも、僕が開けた緑色のドアも就労という場につながっていたり、或いは福祉や医療という場につながって、入口は違えど出口が同じということが起こるわけです。

たまに、僕なら福祉の場に連れて行ってあげたい方を、別の支援者は就労という場に連れて行ってしまい、大変なことになっているとか、そういうことも起こります。

困難性=ドアの数で考えると、僕らはいろいろなジャンルの属人的集団としてのチャンプルーにならざるを得ないんだと思うんですよね。

まとまりませんが、午後からの高校での講演の準備があるんでこの辺で。まだ続けましょう。

                                 石井

【告知】田中と石井の「無風トーク」を開催致します!

11月14日(金)夕方から、大阪の阿倍野にある『aima Cafe』(予定)で、田中と石井の「無風トーク」を開催致します!是非、僕らのおしゃべりを聴きに来て下さい。出来れば、若者支援者からの質問に答え続けるLIVEな企画にしたいと思っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?