#103 ある種の生徒は楽屋トークを求めている

石井さま

今日僕は2つの高校で生徒たちと会話してきました。

ひとつめは、授業の講師でした。信頼関係が築けているその高校では内容はこちらにお任せでしたので、僕は思い切って「自意識過剰」について語ってみました。

なぜか、10代のある時期で、女子であれば14才頃、男子であれば17才頃(ほんとうはティピカルな性別で区別したくないんですが、あまり過激なセクシュアルな理論の言葉を使うのは高校生支援においてはデメリットが多いです)、なぜ僕らは「人の目」が気になるんだろう、と。

一瞬静寂が訪れたものの、すぐににぎやかな雰囲気が訪れ、自意識過剰というナイーブなテーマは隠れてしまいそうになりました。

そこを僕はなんとか押し留め、20分ではありましたが生徒たちの関心を引きつけることに成功しました。

午後は、別の某高校でアートイベントのお手伝い。その作業をしながら僕は、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』について語りました。

それを知っている生徒、知らない生徒、いろいろな表情が現れましたが、彼女ら彼らは一様に、涼宮ハルヒが会話に登る以前とは違う表情を見せていました。

こんな体験から石井さん、僕は、これらの集団やグループのなかで、最もノリの悪い生徒が気になるんですね。そして彼女ら彼らのノリの悪さの奥に秘める、他者へのコミュニーケーション欲求に応えたいと思うのです。

こんな感じ、どう評します?

田中俊英

田中さん

ぼくはひきこもりの若者たちの居場所と、高校内居場所カフェ、居場所居酒屋「汽水」という地域の居場所、3つの居場所を運営してるんだけど、高校はほんと独特だよね。

人が集まればどんな集団にもヒエラルキーが発生するんだと思うけど、高校はスクールカーストという言葉があるくらい、その傾向が強いですよね。

そういうノリの悪い生徒をよく観察すると、①「ぼっちじゃない自分」を演出するための隠れ蓑的所属をしている生徒や、②使いっ走りや弄り甲斐のある生徒として、その集団に重宝されている生徒、まあ、その生徒はたいがいは①を含んでおり、バランスが取れていれば共依存的、取れてないと苛め的な状態になってる。

総じて相談の場などでは本当は仲が良いわけではないことをあっけらかんとカミングアウトすることが多い。つまり、相談室という他者の目のないない場では、演出的に作り上げた校内で都合の良いキャラ設定から降りることができる。

求められているのは、ある種の楽屋トークなんだろうって思います。それを親でも先生でもない大人と忌憚なくできるってことが、コミュニケーション欲求の第一段階かなって思います。

となりカフェなどの小規模カフェは、場自体が楽屋的なのかもしれませんね。

或いは、③そういう控えめな性格の生徒で、集団にとってはクッション的な役割を担ってたりしてて、特に問題にする必要が無さそうな生徒もいますよね。

ただ、バイトが続かないとか面接に受からない、行けないとなると見立ては変わってきますよね。

ぼくは、ギターやウクレレ、パチカ(アフリカのリズム楽器)など、好奇心を惹くアイテムを使い、好奇心のアンテナの高さや、目の輝きや、それを触る順番などの複合的な要素から見立てをして、アプローチを考えてますね。

このアプローチは、完全に孤立している生徒とはまるで別物ですよね。この辺、ほんと奥深いですよね〜。

いしい

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