♯31 発達障がい支援に切り替える劇的パラダイムチェンジ

石井さま 

そろそろ発達障がいは一休みしようと思ったんですが、最後にこれだけ触れたくてもう一回発達障がいで書いてみますね。 

それは、タイトルにある通り、それまで「アドリブ」的支援でうまくいかなかった若者に対して、徹底的な「見通し」的支援でうまくいくようになる、その支援的価値観の転換、大げさに言うと「支援のパラダイムチェンジ」についてです。 

前にも書いたとおり、アスペルガー/発達障がい概念を知るまで、僕はそれまでの不登校支援をそのまま若者支援にも応用して、「日々のアドリブ的活動提案(その日いきなりイベントを提案する)」を居場所支援の中心にしていました。 

でもそれがうまくいかない人がいる。うまくいかないどころかトラブルになる。

そこで、この前も書いた、大阪府立こころの健康総合センターのSさんほか、この分野の先駆者のみなさんから勉強させていただき、発達障がいの方に対する支援の仕方を学んでいきました。

そのなかにあった「見通しの重要性」、言い換えると「プリント等の視覚情報を元に支援の計画を立て(見通しの伝達)、ミーティングし、計画通りに実行し、振り返る」という支援方式に変更すると、ほとんどトラブルはなくなった。 

トラブルどころか、良好な人間関係が形成され、自立支援にもプラスになったんですね。 

いまだに僕は忘れません。何人かのスタッフと、「あ、もしかしてこの若者はアスペルガー(凸凹含む)で、見通し支援が必要なのかもしれない」と、意見の一致を見るミーティングの瞬間を。 

その時、それまでのスタッフたちの苦労や若者に対する将来予想が一気にポジティブなものになっていき、「ああ、そうか、その角度から支援すればいいんだ」と前向きな議論になっていく、あのミーティングの瞬間が僕はとても好きでした。 

それだけ発達障がいは当時(10年くらい前)まだ日本では知られていませんでした。が、「見通し」支援に変えていくと良い結果になることが多く、発達障がいを僕自身受け入れることができたのです。★

                                 田中

田中さん

僕は田中さんに比べて、まだまだ未熟なんだろうな、なんてことを読みながら思ったりしました。

なんていうか、そういう体系的な整理が全然できていません。

でも、僕は発達障がいを持つ若者と、良好な関係性を築くことが得意だったりします。それはなんでだろうとうことを考えてみました。 

僕の得意なことは「生きづらさの言語化」です。

自分の生きづらさを上手に言葉にすることが苦手な発達障がいの方に、いろいろなシチュエーションを提示していき、「そんなときってどうなの?◯◯だったりするの?」。

その◯◯がドンピシャだったりしたときの、彼らの瞳の輝き、その後の笑い。彼らは自分でも、その特性を笑っちゃうんですね。僕も笑っちゃって「へえ〜そりゃ大変だねえ〜」なんつって。

僕はこれを「心の通訳」って呼んでいるんです。

ボキャ貧の女子高生にもこれは通じるんですよ。「マジそれぇ〜っ!」なんつって。はにかみ屋のひきこもり青年にもこれですね。

その瞬間に僕は通じ合えるし、彼らは理解者を得るんだと思うんです。

これは僕が小説や作詞をしていたことで身に付いた表現力が、支援者特性になっているんだと思っています。

広島に行って来ました。これは連れて行ってもらった僕好みの大衆酒場。カンチョー!                              

                                いしい    

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