#51 若者の未来と孤独
田中さん
若者支援業界で就労支援を仕事としていると、資本主義の手先のように、悪者扱いれることがあるんです。
どんな風に言われるか要約すると、「どうしようもない社会に無理矢理出すことが本当に支援なのか?」的なこと。
昔はこういう言葉に葛藤したり、振り回されたりして宙に放り投げられ、今の自分のスタンスに時間をかけて着地したんだと思います。
ぼくは支援をしていて、若者や家族がいつか、「あぁ、あんなこともあったけど、あんなことがあったから今があるんだよね」と言い合える“未来の今”をすごくイメージしています。
それを実現する手段として、ぼくにとっては「働く」ことがやっぱり一番現実的なんです。そうではない福祉的自立にもぼくは関わるし、そのときでも、同様の“未来の今”をイメージしてお手伝いをします。
自分自身もその時を目指して今を耐えているわけで…。
“現在の今”をどういう形で通過するか? それが“未来の今”につながれる唯一の手段だと思うんです。
長くこの仕事をしてきて、辿り着く“未来の今”はどんな形であれ、読後感的に「あぁ、あんなこともあったけど、あんなことがあったから今があるんだよね」となっている。
自分の仕事はその通過の仕組みを作ることなんだよなって思うんです。
いしい
★
石井さま
なるほど〜。
僕は、「現在を生ききること」について、よく若者たちと語り合います。
未来トークもたまにはするけど、あまり具体的なイメージを描きにくいことが多いため、「とりあえず『今』を燃焼するか」とよく言ってますね。
ただ、支援の計画としては、それこそ「アセスメント→長期目標→短期目標→超具体的な行動プラン」と、戦略的に進めます。この「戦略的ケースカンファレンス」に目覚めた最近は、以前にも増して戦略的に支援を進めていると思います。
たぶん、石井さんが「未来」を考えてるのも、この戦略的地平の上で考えてるようにも思えます。
そんな支援計画とは別の地平で、若者たちとは「現在」を語る。なんとなくそのほうが、前回の続きでいうと、若者の「孤独」を下支えできるような気がするんですよね
未来トークはどうも暗くなりがちなので、とりあえず現在を燃焼しよう、未来は勝手についてくるさ、みたいなトークのほうが、若者をどこかで支えてる気分になれる。
若者たちの「孤独」を保証してあげることができる、みたいな感じですね。★
田中
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