姫鏡台【140字小説】
幾度鏡を覗き込めど映るのは醜い女の顔貌。これではいけない。こんな姿ではいけないのだ。繰り返し顔に筆を走らせ、目尻を描き足し紅を挿す。何れ顔を見るのが怖くなり、金魚鉢を投げつけ鏡を割り、その破片を頬に当てる。ここを切れば、美しくなれるかしら。誰かから愛されるかしら。私が美しい者なら。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?
幾度鏡を覗き込めど映るのは醜い女の顔貌。これではいけない。こんな姿ではいけないのだ。繰り返し顔に筆を走らせ、目尻を描き足し紅を挿す。何れ顔を見るのが怖くなり、金魚鉢を投げつけ鏡を割り、その破片を頬に当てる。ここを切れば、美しくなれるかしら。誰かから愛されるかしら。私が美しい者なら。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?