Official髭男dismさんの曲、I LOVE...のすばらしさについて個人的感想と考察~現代ポップスの特徴~

 僕はOfficial髭男dismをアルバムTravelerから聞き始めました。ヒップホップと洋楽が基本的な守備範囲の僕にとっては一応邦楽もきちんと聴いておこう、という(何様やねん)と思われそうな理由で聴き出しました、が、歌詞、音楽ともにjpopの最高地点なんじゃないか?と感じて、本当に30回くらいは繰り返し聴きました。歌詞の微妙に後ろ向きな態度とそれでも前を見つめようというメッセージに励まされ、共感し、またなるほど最近の若者(自分も含め)はたしかにこう考えてしまう...と感心しつつ聴いていました。いまもTraveler聴いています。

 今回はシングルのI LOVE...が素晴らしいと思ったので書きたいと思います。最初、タイトルの時点でyouが言えないということだろう()と思いつつ聴いたことを覚えています。(ジャケットのインクはイレギュラーの比喩でしょうか?火のようにも見えます、TravelerとStand By You EPのジャケットにも火は使われていますが、単純に好きなんでしょうか...)

 僕は、Official髭男dismの音楽のすばらしさは特に歌詞だと思っています。メロディーと歌詞に注意して聴かれる方はわかっていただけるかと思いますが、歌詞の韻と、そのメロディーの一致の仕方、盛り上げ方、またそれによって、歌詞の内容にも相関関係が生まれ、とても微妙な感情を想起させられます。(メロディーを伸ばしているところ、アクセントの付いた部分を聞くとほぼaになっていると気づかないでしょうか?当然、それ以外にもパターンがありますが、どれも見事にはまっていることに気づくと思います。)歌詞の内容は野暮なので、触れないでおきますが、愛する人、大切な人のいる方、またいない方にも、とても響くものになっていると思います。

 ここからは、音について書きたいと思います。僕はヒップホップをよく聴く人なので最初に聴いた時に、トラップぽい感じにするのか、と思ったことを覚えています。(ハイハットが詰まりながらなり続けているところなどです。トラップの定義については避けさせていただきます。)

 最初にかなり大きな派手な音で引っ掛かりを作っていることが、とても印象にのこります。最初が一番音圧が大きい、また、そこから音数の少なく、ゆとりのあり、電子音メインっぽい展開をする。これを聴いて僕はBTSのDNAという曲を思い出しました。

 全世界にファンがいるBTSのこの大ヒット曲も、最初のギターが一番音が大きく、そこからその音圧を越すことなく曲が展開していく。(もしかすると、曲を作った後に派手にしたくて付け足したのかもしれない)そして最後にギターはない。ストリーミング・Youtube時代において飛ばされない、見るのをやめさせない、ということが必要になってきている現代の音楽家の戦略だろうと考えますが、この曲もこの戦略を踏襲していると思われます。(当然ですが、この最初が一番派手な曲というのはこの世に沢山あります)

 この最初のダダダダとぶつ切りになった音で最初に興味をひき、またトラップ調のリズム選びもあって、若いリスナーを飽きさせない工夫を、多くなされている、と感じ取れます。そこから、今らしい音の少なめのシンセとエレキギター主体のパートが始まり、そのまま行くのではなく、シンセがピアノに入れ替わり、長年愛されている多くの人が好きな、聴きなじみのあるjpopらしい曲調に変わっていきます。しかもピアノはきちんと弾いていることが解かる弾き方になっており、また曲の最後になんとペダルの音まで入れています。ばらしたら2曲リミックスができるんじゃないのか、と思うような豪華さのある構成ですが、意識しなければ気づかない自然さがあります。

 この2,3曲の良いところを綺麗にしたんじゃないかという贅沢な曲が最近の邦楽ポップスシーンでよく見られます。King Gnuさんの白日、などはわかりやすいんじゃないでしょうか。全パートが見せ場で、いってしまえばすべてサビ的な構成が、現在の邦楽シーンのトレンドであり魅力なのだろうかと考えています。(蛇足ですが、アニソンのようこそジャパリパークへ、がすべてサビ構成、の走りだったりするのでは...と思っていますわからないですが...)


 Official髭男dismさんの曲、I LOVE...から邦楽ポップスのシーンについてまで、個人の意見を書きました。私はこう思うなどあればコメントに書いていただけると嬉しいです。僕はネガティブなので、歌詞の””見えないものを見て笑う...””以下がとても好きです。こういう人多いんじゃないかな...では。







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