【夢日記】ワグツング
2022/4/12
「ワグツングって知ってる?」
彼はそう言って私の方を見た。
「知らない。」
彼の名はワグツング。お笑い芸人だ。
彼は空になったワグツングを洗いながら続ける。
「誰もがワグツングを知っているのに知らないような状態なんだ。」
彼と私は家を出た。外にはポップ体で書かれた「ワグツング」のポスターがある。
車に乗って高速に乗った。
左ハンドルの車を運転しながら彼が言う。
「僕とワグツングがコンビを組んでからもう7年だ。」
私は窓の外を見た。
遠くの街を見ると、夕暮れの空に花火が上がっている。
いや、失敗しているのか?
中空に上がった光がフワッと周囲を明るくしたと思うと、光を抱えたまま落ちてゆく。
いくつもの花火が中空に登っては落ちてゆく。
「ワグツングが目印さ。」
彼が続ける。
「君もワグツングをしてみるといい。」
遠くの空では先程のものたちとは比べ物にならないくらい巨大な花火が幾つも空を目指していた。
あれは、やはり落ちるのか?
そうだとしたらまずくないか?
巨大な花火は空中で一旦止まり、じんわりと自重で速度を上げながら落ちていった。
「やば!」
私は窓に張り付いて様子を見る。
彼も気づいて「わわわわ!!!」とデカい声を上げた。
「あれって落ちたらどうなると思う?」
落下する巨体を眺めながら言うと、彼が答える。
「ここにいたらまずいよね。」
花火は地表でひときわ光り輝いて、周囲の空を昼間のように照らした。
「やっぱりね。早く出口へ行こう。」
私は言いながら花火を観察する。
地面がまだ煌々と光っており、土煙がよく見えた。
立ち上る煙の中が光っている。
おそらく火薬が舞い上がられている。
「飛んでくるんじゃないか?」
そう思ったのも束の間、再び空に打ち上げられた花火の星たちが我々に向かって何十、何百と落ちてきている。
光るもの、割れずに黒い輝きを持つもの、たくさんの星が視界を埋め尽くしたかと思うと
バラバラバラバラ!!!!
車を直撃して、2人は叫ぶだけだった。
「雹ってこんな感じなのかしら。」
呑気なことを考えていると、彼が車に置いていた本のタイトルが目に入った。
「ワグツング」
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